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婚家の墓守を押しつけられた私、ご先祖様は黄金竜だそうで、親族をこらしめてくださるそうです  作者: 江本マシメサ
第五章 すべての元凶は〝彼〟

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黄金竜に愛されし一族よ

 ハッと意識が戻ると、黄金色の輝きに包まれているのに気づいた。

 同時にジェイクさんの叫びが聞こえた。


「ぎゃあ!!」


 私の首を絞めていたはずなのに、体が吹き飛ばされている。


『我がブレスは悪しき者のみをこらしめるものぞ! ぞんぶんに味わえ!』


 厳格な女性を思わせる凜々しい声を振り返る。

 そこにいたのは、空を舞う美しい黄金竜だった。その背には金髪に青い瞳を持つ、白い外套を合わせた制服姿の男性が乗っていた。


「オデット!」

「ブリザール様?」


 その姿は夢でみたブリザール様の姿そのものだった。

 呪いが解けたのだろうか? ようやくその姿で会えたのだ。

 ブリザール様がバルコニーに降り立った瞬間、ジェイクさんが闇魔法を展開させる。


「おのれ、ブリザールめ!」


 黒魔法で作った黒い球が放たれたが、ブリザール様が展開させた結界が跳ね返す。

 そのままジェイクさんに当たり、ダメージを受けていた。


「こ、こしゃくな……!!」


 立ち上がって新たな闇魔法で攻撃しようとしたものの、再度ジェイクさんはブレス攻撃に晒される。


「うわあああああああ!!!!」

『そのように金が好きならば、我がブレスの中で息絶えるとよい!!』


 ケロ様は何か思うところがあったのか、殺さずに失神させるだけに止めたようだ。

 ジェイクさんは倒れ、白目を剥いたまま意識を失っている。


『ブリザールよ、その男を騎士隊に突き出せ!』

「もちろんそのつもりだ」


 ブリザール様は魔法で作った縄でジェイクさんを縛り、目と口元には布を当てていた。これで悪さはできないだろう。


 ブリザール様が魔法で騎士隊に通報すると、すぐに駆けつけてくれた。

 自分の力で歩かせようとケロ様が提案したので、ジェイクさんは目覚める。


「なんだ、こいつらは! 私はヴェルノワ公爵家の当主となる男だぞ!」

「何を言っているんだ! 大人しくついてこい!」

「おい、乱暴に扱うな! というか、この拘束はなんだ!」

「黙って歩け!」


 あまりにも抵抗を繰り返すので、最後は引きずられて連行されていった。

 その様子を見てぽつりと呟く。


「ブリザール様、すべて終わったのですか?」

「ああ、終わった」

「よ、よかったあ~~~~~」


 今度は喜びの涙が溢れ出る。そんな私をケロ様は優しげな瞳で見守り、ブリザール様はそっと抱きしめてくれた。


「ブリザール様のお体が黒い炎に包まれたとき、もう終わったと思いました」

「私もそう思っていた」


 けれども運よく攻撃を受けた瞬間、呪いが解けたという。


「呪いが解けたら、本体に意識が戻るようにしていたんだ」

「そうだったのですね」


 ただ、どうして突然呪いが解けたのか。それはロマン君の活躍があったらしい。


「ロマンが最後の石版の欠片を発見し、霊廟へ運んでくれたようだ」

『すべての石版が集まると、我もふ化できたのだ!』


 ブリザール様へかけられた呪いは、ケロ様の力で相殺させたようだ。

 復活し元の姿となったケロ様と、呪いが解けたブリザール様は揃ってやってきたという。


「本当に助かりました」

「それはこっちの台詞だ。オデットのおかげで、私達は助かったのだ」

『そうぞ!』


 ロマン君は離れで待っているという。早く帰って感謝しなければ。


「ブリザール様、ケロ様、私達の家に帰りましょう」

「ああ」

『そうだな!』


 ケロ様はお馴染みのカエルの姿と化し、私の胸に飛び込んできた。


『皆と過ごすには、竜の姿は不便だからな』

「はい!」

「何をしている。行くぞ」


 みんなで離れに帰ったのだった。

 ロマン君は離れの玄関先に座り込み、私達の帰りを待っていてくれたようだ。


「オデットお姉さん!!」

「ロマン君!!」


 駆け寄ってきたロマン君をぎゅ~~~っと抱きしめる。


「ただいま帰りました!」

「お帰りなさい」


 そんな言葉を言い合えることがどれだけ嬉しいか。胸がいっぱいになる。


「ロマン君、ブリザール様の呪いは解けたし、ケロ様の力も元に戻りました。それから、悪い人も捕まりましたよ」

「はい――!」


 何もかも解決した。二度と、呪いに怯える日々を過ごさなくてもよくなったのだ。

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[良い点] >『皆と過ごすには、竜の姿は不便だからな』 ソレでこそケロ様! [気になる点] ケロ様黄金竜形態 西洋の竜(羽根の生えたトカゲ) 東洋の竜(蛇に角と足が生えた感じ) のどっちかな? 胸…
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