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人妻になった私

 拝啓、天国にいるお父さん、お母さんへ。

 オデットという名を受けて早くも二十二年経った私は、なんと、ヴェルノワ公爵家のご当主様と結婚することになりました。

 ご当主様の年齢は八十歳。なんと、年の差五十八歳です。

 しかも寝たきりで、意思の疎通はできません。

 私はご当主様の妻として、ご当主様の看病に加え、ご当主様以外誰もいない離れの管理、さらに離れの裏手にある霊廟の墓守を命じられました。

 これって妻の仕事ではなくて、使用人の仕事では?

 などと思いましたが、まあ、元気に暮らしています。

 いじわるな六十六歳の義弟やその妻、娘などもいますが、私は絶対に負けません。

 どうか見守っていてください――敬具。


 今は亡き両親への手紙を書き終えると、はーーーーー、と深く長いため息が零れてしまう。

 それに返事をするように、お腹がぐーーーーーと鳴った。


「結局、食事はもらえませんでした」


 私の独り言に答えるように、再度お腹がぐう、と鳴った。

 話し相手がお腹の虫しかいない生活なんて辛すぎる。

 本邸へ行っても、私の食事なんてない、と言われてしまったのだ。

 その辺の葉っぱを食べたものの、パンを食べなければお腹は膨れない。

 どうしてこうなってしまったのか。

 本来ならば初夜が執り行われるはずの晩。当然ながら、寝たきり状態のご当主様が私の寝室なんて訪れることもない。

 何もすることなどないので、自らの人生を振り返ってしまった。

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