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第7話 ステータス


 ギルドにはゾンビの発見を知らせた。知らせを聞いた職員達は、驚きこそしたが淡々とゾンビ発生時のマニュアルをこなしていた。


「西の森、入口付近に生成されたダンジョンはゾンビダンジョンの可能性があります。それに伴い西の森の危険度を上昇させております。立ち入る際は注意してください。

 また、ダンジョンの攻略を行う方はギルドにて登録を行います。死亡した際の人数把握を確実にする為に、ご協力をお願いします。

 繰り返します、ダンジョンはゾンビダンジョンの可能性があります」


 とりあえず俺は宿を取りに行きますか……


〜〜〜街の宿にて〜〜〜


「すまねぇなぁ。2部屋は空いてないんだ。ほら、今ダンジョンが生成されたって話だろ? 街の外からダンジョン攻略を目指して冒険者が集まっているみたいでな」


 困ったなぁ。宿が取れないとは……折角少し金に余裕が出来たってのに、また馬小屋か


「あーでも、1部屋だけ空いてるぞ? まぁ1人用の部屋だが、そこを貸してやることなら出来る。2人用の金額をいただく訳にはいかねぇから1部屋分で良いが、どうする?」


「いや、流石にそれは」


「その部屋でお願いします!」


 えっ? アリシアさん? 流石にそれは


「それじゃそれで手続きしてしまうぞ? 部屋は2階の端っこだ。風呂は付いているが壊れてるから、入りたけりゃ自分でお湯は用意してくれ。飯は3食、朝と昼と夜、1階の食堂で終わりの時間までに来てくれりゃ出してやる。その他聞きたいことはあるか?」


「いえ、ありません。ありがとうございます!」


「いやちょっと待て、それでいいのかアリシア? 流石に俺は別のところで泊まってくるから」


「パーティーメンバーじゃないですか、私は気にしませんよ。それに、今は他の宿も取れないでしょう。折角ですから今後のことも話し合いたいですし」


 そこまで言われちゃしょうがないのか……うむ。


「分かった。スマンなおっちゃん。さっきので頼むぜ」


「おうよ。こっちこそ2部屋用意してやれんくてスマンな! ハッハッハ」


 見た目はイカツイけどいいオッチャンだったな。まぁ1人分の値段で2人分の飯が手に入るのは願ったり叶ったりだしな。


〜〜〜部屋にて〜〜〜


「さて、とりあえず……生還できましたね! 2人とも無事に!」


「あぁ、そうだな……流石に死んだかと思ったが、無事だったな」


「それに、私とカンネルさんの2人でのモンスター退治も初めてです! 喜ばしい事ですね!」


 うん。なんかテンション高いよね? どうしちゃったのかな?

 いや、理由は分かってる。そこに転がってる酒瓶。俺は一滴も飲んでいない。そう、アリシアが一人で空けた。2本。


「アリシアのおかげだよ。バフ付与まで出来るとは流石だな」


「そんな事ないですよ。結局ゾンビを倒したのはカンネルさんじゃないですか! それよりホラ! カンネルさんも飲みましょう!」


「俺だけじゃ勝てないさ。実際アンデッド相手にも何度か試したんだがな。俺は飲まんぞ」


「そうだったんですねぇ。それにしてもなんで急にゾンビを斬れるようになったんですかね?」


 そう。そこが分からない。今までモンスター相手にダメージを与えたことは無かった。何をしてもダメージにならなかったのだ。


「もし良かったらカンネルさんの冒険者カードを見せて貰ってもいいですか? 私のもお見せしますので」


「ん? あぁ、構わないぞ? 何も面白いものは無いだろうけどな」


 そう言って俺達はカードを交換する。冒険者カードには職業と取得スキル、その他細々としたステータスが表示されているのだが、やはりウィザードなだけあって魔法攻撃力は高めだな。スキルの量も多いし、何より魔法適正上昇のスキルは優秀すぎる。

 適正のない魔法であっても適正職業並に扱えるようになるって……これがあれば他の職業要らなくなるレベルだぞ。


「あの〜カンネルさんのジョブって……騎士なんですよね?」


 そこに書いてあるのは騎士のはずだが?


「あぁ。攻撃が出来ないのなら味方を守ろうと思って騎士を選んだんだ。結果は知っての通りだがな」


「そうなんですね……いや、騎士のステータスは初めて見たのですが、確かに防御系のステータスが非常に高いのは分かります。ただ、この『アンデッド特攻と耐性』が突出して高いのが気になりまして」


 ん? そんなに高かった記憶はないんだが


「というか、高いどころかほぼカンストしていらっしゃいますよこれ。見てくださいよ」


「そんな訳ないだろ? 殆どレベルも上がってないからステータスも初期値から変わってないはずだぞ?」


 そう言ってカードを返してもらう。いつ以来だろうか、自分のカードを見るのは。見てもレベルは上がらんしスキルも取れないからなぁ


「ほら! アンデッド特攻と耐性めちゃくちゃ高いじゃないですか!」


 本当だった。めちゃくちゃなステータスになっていた。一応この世界のステータスの上限値は確認されている。ただ、所謂カンスト値を達成したのは過去に1人、英雄とされている初代勇者のみだ。


「これ、カンストしたらどうなるんですかね? 勇者様は物凄く強かったって話しでしたし、もしかしたらカンネルさんも?」


「いや、そんなわけないだろう? それに確かに高いけどもカンストしている訳では無いしな。それよりも明日は別の仕事を探さないといけないし早く寝るぞ。暫くあの森には近付けないだろ?」


「そうですね。モンスター狩りが出来れば悩む必要なかったんですけどねぇ」


「言うな。悲しくなるだろ」


 そうして俺達は眠りについた。俺は床だったがな……馬小屋よりはマシだったよ。

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