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4話 ダンジョン


 とりあえず、探索クエストを受けてきた。

 探索クエストとは大きな目的なく、フィールドに出て、異変を探したり必要な物資を集めたりするクエストだ。純粋に新しい技や魔法を試すために受ける人もいる。


「カンネルさんは、敵に攻撃を行えば回復するし、味方に支援をすると攻撃になる、でしたよね?」


「あぁ、スキル呪縛の効果でな。効果反転の魔法をかけてもらったこともあったが……結果は変わらずだ。他はヘイト稼ぎなら出来る。防御力には自信があるしな」


 そう、一応効果反転の魔法も存在はする。大抵は敵に使用するスキルで、今の俺とほぼ同じ状況にすることで相手を混乱させるスキルだ。


「うーん……デバフ系のスキルは自分にかける際は何かしらの大きなバフ効果がある物ですし、そもそも基本は敵に使うスキルになるはずなのですが」


 そう、そこが問題なのだ。このスキルを敵に付与出来るのであれば、強力な武器になり得るはずなのだ。しかし、それが出来たら俺はここにいない。


「私もほとんど戦闘は出来ませんし、このままだと採取クエストしかできないパーティーになっちゃいますね」


「そいつは困るなぁ。採取クエストだと生計が……なぁ」


 そう。採取クエストだけで生活していくのはほぼ不可能だ。それこそ危険な地域に赴いて希少価値の高い物を持って帰って来れるのならばまだやりようはある。ただ、戦闘能力のない俺達が達成できるクエストでは無い。

 

「まぁとにかく今日の日銭は稼がないと行けませんし、薬草でも拾って帰りましょう。私、そういうのを見つけるスキルは潤沢にありますから」


 そうだな。先ずは今日を生き抜かねば。


〜〜〜ギルドにて〜〜〜


「納品の依頼ですね。探索クエストで入手した薬草『ナイキク』の納品となります。低級回復薬の素材となりますが、ご自身での調合は致しませんか? 低級回復薬であれば」


「あっいや、調合できるメンバーがいませんのでそのままの納品でお願いします」


 ザワつくギルド内。そりゃそうだ。低級回復薬なんて買うことなんてしない。基本的にはその辺に生えてる薬草を調合すればできるのだから。

 ただ、その調合スキルすら俺のスキルの効果を受ける。マトモな回復薬なんて作成できない。


「それではナイキクの納品を受け付けます。報酬は後ほどお渡ししますので、ギルド内にてお待ちください」


 そうして俺達パーティーの初クエストは終了した。

 モンスターとの遭遇も無く、特に問題なく帰ってこれた。道中、俺のスキルを調べるためアリシアさんの回復を行ったが結果は変わらず。

 それに比べてアリシアさんは非常に優秀だった。確かに攻撃魔法は初級の炎魔法すら発動に時間はかかるわ威力は低いしで、攻撃として使うのは不可能だったが、その他の魔法は俺にとっては非常に助かる物だった。


「カンネルさん、明日はどうしますか? 今日みたいに探索で適当な薬草を探しに行きます?」


 正直それしかできることは無いし、生きていくためにはお金が必要だからなぁ


「そうだな。暫くはそうするしか無い。そのうち何かしらの方法でもう少し稼げるようにしないと不安だがな」


「ふふっ、そうですね。ずっとこのままって訳にも行きませんからね」


 と言ったものの……本当に何も思いつかない。


 そんな雑談をしながら報酬受け取りのためギルドの食堂で待っていると、丁度別のパーティーが帰ってきた。そして慌てた様子でカウンターに向かうと


「ダンジョンの出現を確認しました……場所は西の森、入口付近です。俺たちの目の前で地面から入口が生えてきたんだ!

 内部は見れなかったので何のダンジョンかは分からない! でも仲間が1人……ダンジョンに飲み込まれたんだ……頼むッ誰か助けてくれ! 俺らの装備じゃダンジョン攻略は無理だ! 頼む!」


 ダンジョン出現か、ダンジョン攻略パーティーなら喜んで突っ込んで行くだろうなぁ


「ダンジョンの出現と同時に飲み込まれた感じでしょうか? それとも出現後に?」


「そんなことはどうでもいいだろ!? 早く救助隊を」


「いえ、ギルドとして確実な情報が必要です。情報がない状態では救助隊の派遣は不可能です。依頼とするのならギルドボードに必要事項を記入の上、ギルドに報告をお願いします」


「それじゃあ時間がかかるじゃないか! 俺達は普段討伐を行わないんだ! 今回も討伐用の装備は」


「それでもです。救助隊が二次遭難するような自体は避けなければなりません。お仲間が心配なのは分かりますが、ご理解ください」


 残酷なようだが、ギルドの対応は正解だな。ダンジョンにも様々な種類があるから、事前情報のないダンジョンに冒険者では無い、ギルド職員で構成された救助隊を突入させるのはリスクが高い。


「そう……ですね。すみません、ダンジョンは出現と同時に俺の仲間を飲み込みました。地面に引きずり込まれるようにして……」


「そう……ですか。分かりました。ギルドからの依頼としてダンジョン調査を行います。

 情報が集まり次第、ギルドより救助隊を派遣致します。また、その間冒険者の皆様による救助活動も受け付けますので、暫くお待ちください。確約はできませんが、無事見つかることをお祈りしております」


 ダンジョンの出現と同時に冒険者が取り込まれる……まるでダンジョンに喰われたような感じだな。まぁ俺達には関係の無い話か。


 そう思っていた。その話を聞いたその時は……

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