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3話 スカベンジドリーマーズ


「俺とパーティーを組みませんか?」


 自分でも何故そんな事を言ったのか分からない。ヤケになっただけかもしれない。ただ、何故か俺はその魔法使いに声をかけていた。


「えっ? あの……私、ですか?」


「それ以外に誰か居るのか?」


 まぁ困惑するのも仕方ないよなぁ。


「えっと……その……私、迷惑かけちゃうかもしれませんし」


 さっきまで必死こいてパーティーに入ろうとしてた癖によく言うよ……いや、俺のこと知ってんのか? 俺も追放者って知ってて断ろうとしてんのか?


「俺も今パーティーメンバーが居ないから気にする必要は無いぞ……まぁ嫌ならば別にいいんだが」


 ここで断られたら本気で別の仕事を探そう。追放されたヤツを拾おうとして断られるとか……まともな精神で居られる自信が無い。


「……よろしく……お願いします」


 よし。パーティーメンバーは確保したな


〜〜〜数分後〜〜〜


「さて、先ずは自己紹介といきますか。俺はカンネル、元星光七色のメンバーだった。まぁ訳あって追い出されちまったが」


「カンネルさんもですか……私はアリシア、私もパーティーを追放されて……私……ウィザードなのに……攻撃魔法が使えなくて、それで……」


 成程、確かにそりゃ致命的だ。魔法使いにも種類は居る、しかし前衛系のジョブと違って魔法使いは自分でジョブを選べない。

 だからこそ珍しい。普通は適正に合ったジョブが選択される仕組みになっているはず、それなのに彼女は、ウィザードという攻撃特化のジョブでありながら攻撃魔法が使えない。


「まぁその……気にする事はないさ、ほかの魔法も使えなくはないんだろ?」


「えっ? はい、使えないことは無いですが、本職の方に比べてしまうと……」


 使えない訳じゃないなら何とでもなるはず。元のパーティーには魔法使いは居なかった。そもそも魔法使いの数が圧倒的に足りていないのだ。それを攻撃魔法が使えないからという理由で追放するなんて……惜しいことをしたぞ? 前のパーティーは


「それじゃ、とりあえずパーティー登録してこようか」


「はい」


〜〜〜カウンターにて〜〜〜


「それではパーティーの登録を行います。お2人とも冒険者ランクは灰色となりますので、パーティーランクも灰色でのスタートとなります。パーティー名はお決まりでしょうか?」


 しまった……パーティー名を考えていなかった。何かないか? 夢を追いかける、拾い漁る、俺の夢、俺だって強くなりたかった。アイツらと超有名な冒険者になりたかった。まだチャンスはあるはず!


「アリシアさん、夢を漁る者達ってことで漁夢人スカベンジドリーマーズなんてどうかな? 俺はまだ夢を諦めていないから」


「……私も、夢を追いかけても良いのでしょうか?」


「このパーティーに居る限りは」


「それなら……よろしくお願いします」


「そういう事で、俺は、俺達のパーティーはスカベンジドリーマーズで、よろしくお願いします!」


 そうしてこのギルドに新しいパーティーが追加された。夢を追いかけて諦めない為に、どれだけ惨めになろうとも、必ず夢を叶えるために動く、そんなパーティーが


〜〜〜その後のギルドにて〜〜〜


「そんな訳で、俺達は新しいパーティーを得ました。しかし、問題は山積みです。先ずはパーティー解散後のギルドの保護が受けられなくなります。つまり、お金を稼がないといけません」


「はい」


「アリシアさんは何か考えはありますか?」


 今のパーティーは討伐で稼ぐには戦力不足過ぎる。俺は攻撃できない、アリシアさんも攻撃魔法は使えない。しかし、採取クエストでは稼ぎとしては余りにも貧弱。悩ましいところだが……


「あの、私の事は呼び捨てで構いません。それで、稼ぐ方法なのですが、協力パーティーを組むのはどうでしょうか?

 収納魔法なら私も使えます。確かにスカウトマンのような大容量の収納は使えませんが、このランクで収納魔法が使えるのなら価値はあるかと」


「確かに、このランクでスカウトマンを雇うことの出来るパーティーは居ないでしょうからね。それでは協力してくれるパーティーを探す方針で行きましょう」


「それと……もし宜しければ、カンネルさんの、その……追放理由をお聞きしても? あぁ、言いたくなければ言わなくても大丈夫です。話しにくい事もあるとは思いますから」


 そういえばそうだったな。


「いや、話しておこう。俺のジョブは騎士なのだが、とあるスキルのせいでまともに戦闘が行えない。味方へのサポートもマトモにすることが出来ない厄介なスキルさ。辛うじて防御系スキルなら発動は可能だが、逆に言えばそれしか出来ない。

 先に伝えておけばよかった。申し訳ない。もしも今の話を聞いて、やっていけないと思ったのならパーティーを抜けてくれても構わない。どうする?」


「いえ、拾っていただいたのは私ですから、抜けることはしません……しかし、それだとほかのパーティーへの協力を仰ぐことも難しいかもしれませんね。攻撃の使えない私と、攻撃がそもそもできないカンネルさんだと、パーティーの相性が悪すぎますから。

 そうですね……1度お互いの能力を知る為にも2人だけで探索に出ませんか? 今の時期ならそこまで強力なモンスターも出てこないでしょうし」


 そうだな、俺達お互いのことを知らなさ過ぎたしな。衝動的にパーティーを組んだだけに過ぎない。

 もしもここでアリシアさんに愛想をつかされたらいよいよ俺は冒険者を辞めざるを得ないのか……まぁ仕方ない! 覚悟を決めろ俺!


「分かりました。それでは探索クエストを受注してきますね」


「よろしくお願いします」

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