21話 バーサーカー
街から1日かからないぐらいの距離にある村、小規模な村だが、街へ来る商人たちは必ず寄るという、街の発展の要となっているスタト村。その、スタト村の傍でオオトカゲモドキが発見された。村の駐在騎士達も気を張りつめて警戒に当たっている。ギルドへ討伐依頼は出したものの、冒険者がいつくるかも分からない状態。
冒険者よりも先にオオトカゲモドキが村を襲えば……
「隊長! 西方よりオオトカゲモドキ、数体体接近中です! 大型を確認!」
「大型混じりか……クソ! 村民の避難を最優先! 騎兵隊はオオトカゲモドキを村の進路から外れるよう誘導しろ! 取りこぼしは俺らで処理する! 行けぇ!」
「了解!」
冒険者の到着よりも早くオオトカゲモドキの群れが村に到着してしまった。村民の避難も進めていたものの、間に合いそうには無い。なんでオオトカゲモドキが群れを作っているんだ……本来オオトカゲモドキは強い縄張り意識を持つため、群れることは無いはずだと言うのに
「隊長ぉ! 更に南方からも!」
「どれだけ居るんだ!」
「いえ、南方から来たのはオオトカゲです!」
最悪すぎる。オオトカゲと、オオトカゲモドキの縄張り争いに巻き込まれた形だ。いよいよこの村を捨てて撤退が現実味を帯びてくる。
「……村民の脱出を視野に入れつつ、我々も撤退用意を。限界まで粘るが、恐らく防衛は厳しいだろう」
「そう……ですね。今ならまだ被害も少ないですし、村民の脱出経路を確保します」
「あぁ。頼んだぞ」
〜〜〜〜〜〜
「おい! おいリーシャ! ちょっと待てって」
「なんだい? バテたのか? 情けないねェ」
「ちげぇよ。足元みてみろ。この足跡、1匹や2匹じゃねぇぞ?」
「それに大型も混じっていますね。腹を引き摺る走り方をしている個体がいます。大型種の特徴ですね」
大型混じり、群れでリーダーを立てることの出来るほどの規模か。それ程の規模なのにも関わらず、移動速度も速い。
「急ぐぞ! 村にもう到着しているかもしれん」
急ぎ足で村に向かう。壊滅していなければいいが。
〜〜〜〜〜〜
「村だ! もう戦闘が始まってんぞ!」
「リーシャ、行けるか?」
「あったりまえよォ! 待ってたんだからなァ!」
「よし! ヤバくなったら下がれ!」
見たところそこまで多くは無い、途中ではぐれた個体も居るのだろう。見たところ村の中まで侵入はされていないようだし、リーシャが何処まで出来るかだが……そこは信じるしか無いのだろう
「オラァ! 重撃震!」
リーシャの一撃で、オオトカゲモドキが爆散する。文字通り爆散である。跡形もなく吹き飛んでいた。
「次ィ! ハッハァー! 最高ォ!」
次から次にオオトカゲモドキを粉砕していくリーシャ。俺たちはそれをただ、黙って見ているしか無かった
「こんなものかァ!?」
ちぎっては投げ、ちぎっては投げ。その場が血の海に変わるのに時間は要さなかった。
気が付けば周りにいたオオトカゲモドキは大型の個体のみになっている。
「ハッ! 中々骨のある奴が居るじゃねぇか!」
突っ込んでいくリーシャ。しかし、
「ガァァァ!!!」
トカゲモドキの後ろからオオトカゲが飛び出してくる。
「チィ!」
弾き飛ばされるリーシャ。立ち上がりはしたものの、左腕がおかしな方向に曲がってしまっている。
「リーシャ! 下がれ!」
オオトカゲはトカゲモドキを踏み潰し、リーシャに食らいつこうとその大顎を広げる。
「星よ! 彼の者を救たまえ! 鉄壁!」
アリシアが叫ぶ。本来よりも短縮した詠唱ではあるものの、オオトカゲの顎はしっかりと障壁によって、受け止められていた。
「よくやった! アリシア!」
その隙に俺はリーシャを助けに行く
「チェンジステップ!」
俺とリーシャの位置が入れ替わる。今回も成功だな。最近調子がいい気がする。っと、そんな事悠長に考えている時間は無い。目の前には、今にも障壁を食い破ろうとしているオオトカゲがいる。一か八か、思いっきり剣を振り抜いてやろうか……しかし
「重撃震!」
オオトカゲの首が飛ぶ。目の前に立っていたのはリーシャだった。
「ハァァァァァァ!!!」
髪の毛は逆立ち、正に 「鬼」 の形相で首を刎ねたオオトカゲの前に立ち尽くしている。しかし、左腕は相変わらず、力無く垂れ下がるだけだった。
「アリシア! リーシャの回復を」
アリシアが駆け寄ってくるが、
「次! 殺してやる!」
リーシャは走り出す。今、オオトカゲが現れた方向に向かって。
「待て! リーシャ! 治療が先だ」
「ハァァァァァァ!!! 疾風」
物凄い速さで駆け出すリーシャ。俺達も後を追うが、全く追いつける気がしない。完全に姿が見えなくなった頃、リーシャの叫ぶ声が聞こえてくる。
「重撃震! 戦斧ノ使イ手!」
片っ端からオオトカゲを切り捨てていくリーシャ。
「暴力ノ化身」
リーシャから、空気のゆらめきの様な物が発せられる。まるでオーラのようにリーシャの周りに現れたソレは、魔力だ。体内で魔力の循環を早めるとそれだけ出力が上がる。その結果、あのように抑えきれなくなった魔力が体外にて、発生することがある。
しかし、無駄に外に浪費し続ける事になる魔力。余程の魔力量を持っていなければ、簡単に魔力切れを起こすだろう。強者は体外へ漏れ出る魔力を抑え込むことによって、さらに強力な魔法やスキルを発動するのだが……
「ぶっ飛べ! 重撃震!」
抑えるつもりが全くない。戦士は元より魔力総量が少ない傾向にある。魔力をほぼ使わずとも、強力な一撃を放つ事が出来る故に魔力総量が余り増えないのだ。
俺達が止めようとするも、下手に近付けば、その戦斧は俺たちに向く。あれでは……まるで……
「暴力による支配じゃないか」
いつもご覧いただきありがとうございます!
お久しぶりです。ストックは全く用意できませんでした。リアルの方が思いの外忙しくなっていまして……言い訳も並べたところで! 今回からリーシャさん、ガッツリ戦闘始めた模様ですが……なんだか、不穏な空気です。戦士というそこそこ優秀なジョブでありながら、何故か高ランクパーティーに所属しないリーシャさんの秘密が分かるかもしれませんね!
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