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第18話 新しいパーティー


「帰ったぞー」


 返事は無い。まぁまだ寝ているんだろう。晩飯は……まだ作らない方がいいか。

 

 それにしてもこの、「闇」 とかいうスキル本当に意味がわからねぇな。あの騎士達を召喚したのがこのスキルなのであれば、発動条件も分からねぇし、そもそも騎士に指示を出した覚えもない。つまり、自立思考しているってことだろ?

 

 確かにテイマーのスキルである程度自由に動く魔物なんかを召喚するスキルはあるものの、俺はテイマーでは無いし、あんな魔物は見た事がない。


「闇……か。本当俺の思い描いていた冒険者像から離れていくな」


 俺はもっと、キラキラしたカッコイイ騎士になりたかった。味方を守り、敵を圧倒する騎士に憧れていたのに、蓋を開けてみれば、味方を窮地に追い込み、なんか訳の分からん魔物を召喚するであろうスキルを手に入れる。

 

 ここのどこにキラキラしたかっこいい騎士像があるのだろうか。それに、さっきの騎士の一体はアリシアを殺そうとした。あれは絶対に俺の意思じゃない。


 いや、もしかしたら俺は心のどこかで……


(迷ウナ)


 そうだ。迷ってはならない。俺は俺なのだ。俺の意思の中に無いものは俺じゃない。俺は神に誓って、アリシアを殺そうとしたわけじゃない。


「あれ? カンネルさん、帰ってきていたのですか?」


「おぉ、アリシア。大丈夫か?」


「はい、なんの問題もないですよ。むしろよく寝てスッキリした所です」


 良かった。正直魔物が出した回復薬なぞ信用出来ないからな。あの後家に帰る途中気が付いた。流石に迂闊だったなと。


「それなら良かった。今から飯を作るからちょっと待ってろ。臨時収入が大きかったからな! ちょっといい肉手に入れてきたぞ!」


「本当ですか!? 頑張った甲斐がありましたね!」


 満面の笑みでそういうアリシア。あぁ、本当に良かった。


〜〜〜〜〜〜


 晩飯を食べ終わった俺たちは、今後の活動方針を決めなくてはならない。勿論今回の報酬で、暫くは働かなくても良さそうだが、それだといざと言う時に困る。


 とはいえ、俺達は駆け出しもいいところの弱小パーティー。それに、攻撃能力を持っていない。


「さて、今回の1件で明らかになったのは、やはりパーティーの攻撃力不足だ。相手がゾンビで且つ、自分達に有利な環境下でのみ、俺は攻撃が行える。しかし、それだけじゃあ今後は厳しいだろう」


 そうだ。ゾンビだけを相手する訳には行かない。そもそも、ゾンビ自体発生するだけでギルドに緊張が走るのだ。そんなポンポン生まれてきていいものじゃない。


「つまり、新しいメンバーを入れると?」


「そのつもりだ。今の活動資金が無くなる前に、新しいメンバーを募集する。正直俺達はめちゃくちゃ弱い。個人の能力が高い冒険者はこんなパーティーには入らないだろう」


 冒険者達は自分で所属するパーティーを選べるのだから、恵まれたスキル持ちはパーティーを選ぶ側になる。逆に、スキルに恵まれなかったものは入りやすいパーティーを探す。それでもあまりにも弱いパーティーは避けるだろう。なんたって自分も弱いのに、パーティーも弱けりゃ死ぬ可能性が高くなるからな。


「つまり?」


「俺たちみたいな落ちこぼれを探す。それで且つ、攻撃スキルを持っていればラッキーって感じだな」


「落ちこぼれって」


「しょうが無いだろ?」


「まぁそうですけど」


 まぁ、アリシアは職業適性が合わなかっただけで、適性があれば十分強力な魔法使いになっていたとは思うが。


「そんな訳で、明日からはパーティーメンバーの募集をしつつ、近隣の採取や、手伝い系のクエストをこなしていく」


「分かりました。いいひと見つかるといいですねぇ」


「そうだな。最悪、俺の元パーティーメンバーにも協力を仰ぐよ」


「はい!」


 そんな感じで眠りにつく。明日からの希望に胸を膨らませ……いや、落胆しないようにだけする。


〜〜〜〜〜〜


「パーティー募集ですね? かしこまりました。ギルドからの斡旋は行いますか? 手数料が発生しますし、必ずご案内できるわけではありませんが」


「いや、張り紙を出す許可だけ欲しい。あまり期待はできないからな」


「かしこまりました。少々お待ちください、今書類を持ってきますので」


 ここのギルドでは掲示板にものを書き込む、張り出す際には許可が必要らしい。朝入ってすぐに貼り付けようとしたら職員の人に止められた。何でも過去に同じ書き込みを延々と繰り返す奴がいたらしく、掲示板が使い物にならなくなったとか。


「お待たせ致しました。コチラに、お名前と、要件を記入の上、再度窓口までお越しください」


 渡された紙には、『張り出し許可証』と書かれていた。俺は必要な所を書き込み、再度受付に渡す。


「ありがとうございます。確認できました。貼り付け期間は本日より10日間とさせていただきます。以降も継続する場合は再度、お手続きが必要となりますので、ご了承ください」


「分かりました」


 そうして俺はパーティーメンバー募集の張り紙を掲示板に張りつけた。


『冒険者メンバー募集 漁夢人

 募集要項: 初心者歓迎。攻撃スキル持ち優遇

 当方、攻撃力に難アリのパーティーとなっております。回復及び、例外的にゾンビ相手のみ戦闘が可能。パーティーの活動の幅を広げるべく、新たなパーティーメンバーを募集します。連絡は漁夢人リーダー、カンネルまで』


 よし、まぁこれで入ってくるもの好きも居なさそうではあるが……嘘は書けないしな

いつもご覧頂きありがとうございます!


ここまで書いて、未だゾンビダンジョンが登場していないなと思ったこの頃。作中のカンネル君も嘘は言えないと言っておりますが・・・まぁ、もうすぐだと思います。登場するの・・・多分。


いつも応援ありがとうございます! 皆様のブクマ、いいね、評価がモチベに直結しております! もしも、この作品が面白い、続きが読みたいと思っていただけましたら是非! よろしくお願いします!

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