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第17話 今晩こそはお肉


 2体の騎士。真っ黒な鎧に身を包み、言葉を発する。しかし、その言葉に意思は感じられず、何かに従うように、うわ言のように放つだけだった。


「迷ウナ! 迷エバ死ヌ!」

「迷エ! 迷ッテ死ネ!」


 瞬間騎士が動く。1歩目でデッドマジシャンまでの距離を半分に、2歩目で腰を落とし抜剣の構えを取り、3歩目でデッドマジシャンの首を捉えていた。僅か数秒でデッドマジシャンを討伐していたのだ。

 動かなかったもう片方、気が付けばアリシアの元へ向かっている。


「まっ待て!」


 あんな強力な魔物、俺じゃどうしようもない。それでも、声を掛けずには居られなかった。せめて、言葉の通じる魔物であってくれと祈りながら


「迷エバ死ヌ。迷ウナ」


 そういった騎士はアリシアに向けて剣を構える。

 俺は咄嗟に走り出した。走ったところで何かが変えられる訳では無い。きっと俺も殺されて、アリシアも……でも、それでも俺は!


「アリシアから離れやがれぇぇぇぇぇ!!!」


 剣を振り抜く。その剣は有り得ないことに騎士の首元を完全に捉えていた。しかし、金属同士がぶつかり合う音がするだけで、振りぬくことは叶わなかった。


「迷イハ、捨テヨ」


 その一言を残し、騎士は消滅する。


「は?」


 2体目の騎士もコチラに寄ってくる。


「迷エバ助カラナイ。オ前ハ、迷ッタ。今回ダケダ。助ケテヤル」


 そう言って騎士は瓶に入った液体を取り出す。あれは……


最上級回復薬エクスヒールポーション……か?」


 アリシアは傍から見れば既に息絶えているとしか思えない状態だった。手足は焦げ落ち、背骨も本来曲がらないであろう方向に捻じ曲がっていた。

 そこに騎士は回復薬を掛ける。それだけで手足は元に戻り、捻れていた体も元の姿へ戻っていく。


「有り得ない……あれは既に製法が失われている回復薬だぞ……王宮でも数個所持しているかどうかと言われている本当に伝説級の……それをなんで」


「迷エバ死ヌ。シカシ、迷ウノガ人ダ」


 そう言って2体目の騎士も消滅する。後に残ったのは戦闘が起こった跡だけだった。


〜〜〜〜〜〜


 あれから俺はアリシアを背負って洞窟の入口まで戻ってきていた。アリシアだが、あの回復薬は本物だったらしい。未だ目は覚まさないものの、呼吸もちゃんとしている。あの騎士は何だったのか、謎は深まるばかりだが……あの騎士の声、俺に聞こえていた幻聴と同じものだったと思う。つまりアレは幻聴では無かった?

 俺はカードを見る。スキル欄に追加された闇というスキル。全くもって謎なままだが、今までこんなことは無かった。今回の騎士が俺のスキルによって召喚できたのだとしたら、俺はとんでもない能力を手に入れているのかもしれない。


「ん……」


「おっ? 目を覚ましたか? 大丈夫か? 調子悪いところとか無いか?」


「……カンネルさん?」


「あぁ、カンネルさんだ」


「デッドマジシャンは?」


「なんか討伐できた。よく分かってねぇんだけどな」


「そうですか」


 それだけ言うと寝息を立て始めるアリシア。まぁ、もう洞窟も出るし、問題は無いだろう。あれだけの怪我を負ったんだし、無理する必要も無いだろうからな。


〜〜〜〜〜〜


「確認しました。共同墓地の調査、ありがとうございます。そして申し訳ございませんでした。そのような危険な状態になっているとは」


「いえ、幸いこちらも誰も死んでないですから」


「それでもです。それで、1つ確認したいことがありまして……」


「はい?」


「デッドマジシャンがループ式ダンジョンを構築していたと言うことでしょうか? 報告にはそのような報告を受けたと記載がありますが」


 うーん、難しいよな。あれはダンジョンではなかったっぽいし? ダンジョンならボスを倒せばダンジョンの核が手に入るはずなのだ。核は様々な物に加工がしやすく、低級であってもそこそこの値段で取引をされているはず。しかし、デッドマジシャンは核を落とさなかった。つまりダンジョンボスでは無い。


「確実なことは言えませんが、デッドマジシャンはダンジョン核を落としませんでした。どこかに隠してある可能性もありますが、そもそもダンジョンですらない可能性があります」


「そうですか、分かりました。ありがとうございます。それではこちらが今回の報酬となります。基本報酬に加えて、危険な任務へ赴かせてしまった迷惑料、更に危険な魔物の討伐の臨時報酬を上乗せしております。ご確認ください」


 そう言われて袋を受け取る。想像以上に重い。中身を確認してみると、ここ数日はなんにもしなくても遊んで過ごせるぐらいの金が入っていた。


「流石になんかの間違いでは? 金貨まで見えるんだが」


「いえ、我々ギルドは適正なクエストの斡旋が仕事です。それなのに圧倒的上位のクエストとなっていたものを案内したとなれば我々の信用に係わりますから」


 そうか。まぁラッキーだったってことだな! 帰りに、少しいい肉買って帰るか。アリシア喜ぶぞ!

いつもご覧頂きありがとうございます!


さて、騎士が2体、迷いの騎士と迷わずの騎士です。どこから出てきたのかはまだ分かりませんが、カンネル達が助かったのは事実ですね!帰ったらお肉、食べられるといいですが・・・


皆様の応援本当にありがとうございます。ブクマ、評価がモチベに繋がりますので、この作品が面白い、続きが読みたいと思っていただけましたら是非! よろしくお願いします!

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