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第16話 ループの主


 気がつけば俺は眠っていたらしい。目を覚ますと心配そうに覗き込むアリシアと目が合った。


「大丈夫ですか? どこか具合悪いとかありませんか?」


「大丈夫だ。ありがとう」


「そうですか」


 起き上がろうとすると


「まだダメです。もう少しこのまま」


 頭を抑えられてしまった


「いや、でも急がないと」


「カンネルさん……相当長いこと眠っていたんですよ? 洞窟の中なので正確な時間は分かりませんが、それでもかなり長い間でした。それだけ疲れていたのでしょう?」


「そうなのか……それはすまなかった。そんなに長い間魔物は平気だったのか?」


「えぇ、何度も襲われました。何度も何度も……何度も何度も何度も! 助けを呼んでも誰も来てくれませんでした。カンネルさんも助けてくれませんでした。そのせいで私……」


 死んじゃったんですよ?


 そういったアリシアの顔は右半分が魔物に噛みちぎられていた。体はボロボロで骨や内蔵が見えている状態だった。


「は?」


「カンネルさんのせいですよ? 何度も助けてって……助けてって叫んだのに」



〜〜〜〜〜〜


「アリシアッ!?」


「目が覚めましたか? カンネルさん? 大丈夫ですか? うなされていたようですが」


「アリシア……良かった。すまない、寝てしまっていたようだな」


「いえ、そんなに長い間寝てませんでしたから。魔物の襲撃も無かったですしね」


「そうか……ありがとう。お陰で大分良くなったよ」


「そうですか! 良かったです。また辛くなったら言ってくださいね」


 俺は起き上がる。ふと下を見ればアリシアの太腿に俺の頭の跡が残っていた。


「あっ、跡残っちゃいましたね。ちょっと恥ずかしいかも」


「すっ、済まない……」


 それからまた探索を再開した。あれから声は聞こえてこない。やはり疲れから来るものだったのだろうか。


「カンネルさん、アレ! 初めて見ます! 扉……ですかね?」


「まるでココにダンジョンの主が居ますよって佇まいだな。とはいえ、ここまで一度も魔物と戦闘にならないのも気味が悪い」


 一度も魔物と戦闘にならない。ここがダンジョンであるなら有り得ない話だ。しかし、ここはただの洞窟。稀に魔物が住み着かない洞窟もあるらしい。この洞窟がそうだったとすれば、上のループの原因はここ以外にいることとなるが……


「もしも、ループの原因がここに居る魔物だとして……私達に倒せるでしょうか?」


「何がなんでも倒すさ。どんな手段でも。帰って肉食わねぇと死んでも死にきれねぇだろ?」


「ふふっ、そうですね! わたしもできる限りの事はしますから」


「任せたぞ?」


 扉の前に立つ。中からは物音ひとつ聞こえない。開けた瞬間トラップだったって可能性もある。だが……俺達はダンジョン攻略しに来たわけじゃない。食料も持ち込んでいるわけじゃないから、ここにループの原因が居てくれなければ……俺達は


「開けるぞ、アリシア」


「はい、カンネルさん」


 意を決して扉を開ける。部屋の中は何も無い。ただ、中央には人影があった


「カンネルさん……あれって」


「人間じゃないだろ。どう考えても魔物だ」


 警戒しつつそんな会話を交わす。しかし、その人影は全く動く気配を見せない。


「今なら後ろから……」


 近付いた瞬間


「炎……よ……我が……えに」


 なにか聞こえてくる


「立ち……はだ……者達を……焼き……尽」


 魔術の詠唱!? マズイ!


「アリシアぁ! 伏せろぉ!」


 咄嗟に俺はアリシアと人影の間に割って入る


「炎壁」


 目の前に炎の壁が現れる。その炎は俺達を飲み込んだ。


「カンネルさん! カンネルさんっ!」


「大……丈夫だ。この程度!」


 しかし、2度目の詠唱を始めた人影。よく見れば肌は腐り、首は骨が見えていた。魔法屍(デッドマジシャン)だ。ウィッチになるだけの魔力量もないまま、アンデット化した、魔術師の成れの果て。魔法を扱えるゾンビのようなものだった。


「カンネルさん! どうしますか! 相手はデッドマジシャンですよ!?」


「広域的にはゾンビだろ! アリシア! いつものでやるぞ!」


 アリシアの神ノ贈物でバフをかけられるカンネル。その手にはパイルから譲り受けた剣が握られている。


「オラァァァ」


 雄叫びと共に踏み込むカンネル。デッドマジシャンまでは距離がある。もう1発は魔法が飛んでくる距離だ。


「炎壁」


 2度目の魔法。カンネルは余裕を持って避けることが出来た。


 ただ、後ろにいたアリシアはカンネルによって視界が遮られており、魔法の発動の瞬間を見逃していた。

 後方に吹き飛ぶアリシア。カンネルはそれを見ていることしか出来なかった。


「立ちは……る……」


 アリシアの元へ行って回復薬を飲ませないと恐らくアリシアは死ぬ。ただ、アリシアの元へ辿り着く頃にはアイツの詠唱が終わるだろう……どうしたら……どうしたらいいんだよ!


(迷エ)

(迷イヲ捨テロ)


 また幻聴が聞こえ始めたと思った。しかし……


「迷エ! 迷エ迷エ!」


「迷イヲ捨テロ! 迷ウナ!」


 気がつけばそこには真っ黒な姿の騎士が2体、立っていた。

いつもご覧頂きありがとうございます!


さて、新しい何かが、乱入してきました。敵なのか味方なのか? 次話明らかになります! 正直もう少し描写が上手く出来たらなぁとは思いましたが、自分の力不足を悔やみます。


皆様のブクマ、評価が励みになります! もしもこの物語が面白い、続きが読みたいと思っていただけましたら是非! 評価とブクマをよろしくお願いします!

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