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第15話 冒険者とは


 奥へ進む二人、道幅は狭くなく、所々に発光する鉱石が露出しているお陰か、足元は見える程度の明かりが確保されている。


「思っていた程ジメジメしてませんね。森の中にある洞窟ですし、もっとジメジメしてるもんだと思ってました」


「そうだな、この程度なら苦にならない湿気だ」


 更に洞窟内にしては魔物の痕跡が殆どない。普通であれば食い散らかされた魔物の死体や血痕が残っているものだ。しかし、どれだけ進もうとそれらの痕跡すら見当たらない。


「まさか洞窟まであのループが続いてるとか無いですよね?」


「大丈夫だ。一応足元に印は残しながら歩いてる。今のところはループしている感じは無い」


 とはいえ洞窟内だ。特に変わった景色もないため、ループしていると感じても何もおかしくは無い。もしも、この先にループの原因があるとすれば、近付けばそれだけ影響も大きくなる可能性はある。


(迷ウナ……進メ)


「クソっ! またかよ!」


「カンネルさん? どうしました?」


「あっ……いやなんでもない。すまない」


 心配そうな顔をしてくるアリシア。


「本当に大丈夫ですか?」


 分からない。俺はおかしくなったのだろうか


「……大丈夫だ」


 俺は俺だ。大丈夫だ。


(カンネルさんですよね?)


 俺だ。いや……俺じゃないのか?


(迷エ……迷ウナ。進メ……進ムナ。殺セ……殺スナ)


 カンネルの頭の中に響く声は次第に大きくなる。それと同時に、カンネルの迷いも大きくなっていく


「カンネルさん、一旦休みましょう。顔色凄い悪いですよ」


「いや……大丈夫だ。進もう」


「ダメです。もしモンスターに襲われたらどうするつもりですか! そんな状態で逃げられるわけがないじゃないですか」


(迷ウ。迷ウ。人ハ、迷ウ。)


 ホントになんなんだよコレ……


「カンネルさん!」


「そうだな……少し休もう」


(本当ニ休ンデモ良イノカ?)


「あーもう! さっきから何なんだよ!」


 ハッとする。声を出すつもりはなかった。ふと横を見ればアリシアが驚いた顔をしていた


「すみません……ご迷惑でしたか?」


「あっ、いや、違う……違うんだ。すまない」


「いえ……私もちょっとしつこかったかもしれません」


 違う……そうじゃない。アリシアはなんにも悪くない。


(オマエ、マタ間違エタ。迷エ迷エ!)


 クソッ! この声はなんなんだよ本当に! お前は誰なんだよ!


「アリシア……なんにも聞こえてないのか?」


「なんの事ですか?」


「さっきからずっと……声が聞こえるんだ。アリシアには聞こえてないのか?」


「……私には何も」


「そうか……すまない。変なことを聞いたな」


 アリシアには聞こえてない。という事は敵の攻撃では無いのか……


(本当ニ? 本当ニ敵ジャナイノカ?)


 またかよ……


「カンネルさん……ちょっと来てもらえますか?」


「なんだ?」


「こっちへ」


 言われるがままにアリシアの側へ行く。壁に少しだけ窪みが出来ていた。そこの中に入っていく。


「とりあえずここで少し休みましょう。こっちに来て座ってください」


 アリシアのその言葉に俺は従う。もう何も考えたくない。


(放棄スル。考エル事ヲ。迷ッタ末ニ。オマエ、負ケタ。己ニ)


「回復魔法をかけますから……こちらに」


 アリシアが自分の膝を叩く。膝枕ってやつか?


「いや、そこまではしなくていい。それこそ休むのに魔力を使ってしまっては」


「良いから……ほら」


 引っ張られて俺は倒れ込む。抵抗すらできなかった……俺は俺が思っていた以上に弱っていたのか。


「昨日は、パイルさんに自分の武器の手入れを怠ったって言われてたじゃないですか。自分の身体の手入れも怠ったらダメですよ?

 声が聞こえるって言ってましたけど、スキルや魔法での攻撃なら私にも聞こえていておかしくないですから、疲れから来るものじゃないですか? すこし休んでください」


 そうしてアリシアは回復魔法を唱える。傷がある訳では無かったが……なんと言うか、少し温かい気持ちになった。


〜〜〜〜〜〜


「パイルさんですよね?」


「ん? そうだが?」


「一応……身元が分からない遺体が見つかりまして……その、もしかしたらパイルさんの、パーティーメンバーではないかの確認をお願いしたく」


「……そうか。分かった」


 結果は他人ではあった。だが


「ここまで捜索をして見つからないとなると……ギルドとしては死亡扱いに」


「そうだな。せめて何かしらアイツの装備品でも見つかれば」


「ごめんなさい……私のせいで」


「レイティアのせいじゃねぇよ。お前はギルドにたどり着いたじゃねぇか。お前のお陰で俺は生きていたんだから。それにまだ死んだって決まったわけじゃねぇぞ?」


「でもギルドは……」


「そりゃギルドだっていつまでも生きてんのか死んでんのか分からねぇやつを探し続けることは無理だろうよ。ただ、俺は諦めてねぇから。

 だから……アイツが戻ってきた時に俺達のパーティーが無くなってるなんて事には……出来ねぇだろ?」


「そうですね……そうですね!」


 心のどこかでは分かっていた。恐らくルディオはもう既に死んでいるだろうと。でも認めたくなかった。認められるわけが無いだろ……パーティー結成の時からずっと共に冒険をしてきた仲間が、死んだなんて、信じられるわけが無い。だからこそ俺は絶対に見つけてやる。あいつがどんな姿になっていたって

いつもご覧頂きありがとうございます!


レイス討伐出来ました。とはいえ、助けに来たパーティーのメンバーの一人が行方不明、謎の魔物が現れたこと。謎は深まるばかりです。今後その謎は解き明かされるのか、乞うご期待!


皆様の応援で執筆が進みます。ブクマも一つ付けて頂けました! 本当にありがとうございます!

もしもこの作品が面白い、続きが読みたいと思っていただけましたら、評価、ブクマの方是非! よろしくお願いします!

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