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第14話 無限ループ


 墓地、と言ってもおどろおどろしいような所ではなく、比較的整理のされたものであった。しかし、やはり管理者不在では限度があるのか、茂みが鬱蒼と生い茂り、全体的に日の当たらないジメッとした感じはしている。


「なんといいますか、夜になれば怖いもの見たさの冒険者達が集まりそうですね」


「あぁ、日が暮れたら何も見えなくなるだろうしな。とっとと終わらせてしまおうぜ」


「そうですね」


 墓地の奥に進む2人。奥に進むほど、暗くなり、湿度も上がっていく。


「いやぁ、いよいよ何か出そうな雰囲気だな」


「やめてくださいよ。ゴースト系出てきたらなんにも出来ないんですから……」


「まぁでも、一応ギルドが管理しては居るんだろ? そうそうやばい魔物は出てこねぇって」


「そうですかね……そう言えば、あのネオレイスはモンスター指定されたらしいですよ」


「ほぉ。確かにモンスター級ではあるよな。ゾンビ増やすし、強化してたっぽいし」


 魔物とモンスター。明確な区分は無いものの、ギルドによって選定される。モンスターとは主に、何者かによって召喚された後、様々な理由によって野生化したもの。もしくはは自然発生的に強化個体として発生したものとされている。今回のネオレイスは後者だろう。魔物は発生条件は様々だ。元から存在する魔物が子を作ったもの、魔力の溜まり場から自然発生するもの等だ


「そんな魔物に襲われて良く無事だったな俺たち」


「ですねぇ」


 そんな他愛もない会話をしながら進むこと数分。


「あっ、これが最深部じゃないです? この石碑が目印だって言ってませんでした?」


「あぁ、そうだな。これだ。それじゃ帰るか」


「そうですね! 魔物にも遭遇しませんでしたし、ラッキーですね!」


 全くだ。とはいえ、外に出るまでは油断出来ないが……


「まだ気を抜くなよ。一応通ってきた道とはいえ、何が起きるか分からねぇからな」


「はぁい」


 そうして来た道を引き返す。ここまでは順調だった。そう、ここまでは。


〜〜〜〜〜〜


「カンネルさん……この森、そんなに広かったですか?」


「いや、そんなわけないと思うが」


「でもかれこれ数時間経ってるような気がするんですけど」


「そんなわけは……」


「カンネルさん?」


「アリシア……あれって」


 そこにあったのは最深部の石碑。


「あれ? 戻ってきちゃいました?」


「そうみたいだな。どこかで道を間違えたんだろう」


 そうは言ったものの、この道は一本道だったはずだ。迷いようがない。


「とりあえず、もう一度来た道を戻ろう」


「一本道で遭難なんて洒落になりませんからね」


 そう言って来た道をもどる2人。しかし


「またありますよ……アレ」


「そうだな……木に目印をつけながら進むか。右手の木に印をつけていこう」


「分かりました」


 右手の触れられる程近い木に二本線を描きながら進む二人。だが


「カンネルさん……左の木に同じ印が……」


「おいおい、どうなってんだ?」


 そう、気が付けば右に印をつけていたはずが、左の木に同じ印が現れていた。


(迷エ……苦シメ……)


「あ?」


「どうしました?」


「いや……今なんか声が聞こえたような気がして」


「ちょっ!? やめてくださいよ! こんな時に冗談なんて」


「そうだな……すまんすまん」


(オマエ……迷ウ……)


 何だって? 何が迷うって? てかいきなりそんな声が聞こえてくるとか……ホントにゴースト系の魔物が居るのか? 取り憑かれてたりしたら厄介なんだが


「とにかくもう一度戻ってみよう」


「そうですね……早く出ないと夜になっちゃいます」


 しかし、いつまで経っても同じところを周回し続ける。更に、


「カンネルさん……私達、お昼すぎに来ましたよね?」


「そうだな」


「あれから結構経ちましたよね?」


「あぁ、そうだな」


「じゃあなんで……全然暗くならないんですか? そろそろ日が沈んでもおかしくないじゃないですか」


「その通りだな」


 どうなってんだ? まるで迷宮じゃないか……


「このまま行けばもうすぐ石碑だよな?」


「はい、さっきまでと一緒なら恐らく」


「ここらで引き返してみるってのはどうだ?」


「成程、元の場所に戻される前にって訳ですね?」


「1部の迷宮の仕掛けにはそういった仕掛けがあるそうだからな」


 むしろそれで解決しなければ俺達にできることは無い。助けが来るまでひたすらに待つことになる。

 引き返してみることにした二人、しかし、結果は良くならなかった。


「カンネルさん、もう暫く石碑は見てないですけど」


「あぁ」


「木の印は両方についてますよね」


「そうだな」


「むしろ悪化してませんか?」


「……認めたくないが、悪化したな」


 そう、悪化したのだ。より短いスパンで周回するようになったのだ。


(迷ッタ。オマエ、迷ウ……)


 クソッ何なんだよ……さっきから


「どうしますか? カンネルさん……」


「どうすっかなぁ……魔物のせいでこうなってるならその本体を倒すしかないし、迷宮の仕掛け的なやつならどこかに魔法陣があるはずなんだが。とりあえずもう少し進んでみるか。進んでないように見えて進んでるってやつもあるしな」


「分かりました」


(オマエガ、悪イ。オマエノセイ。オマエノセイデ、オマエノ大切、壊レル)


 あぁ! マジでなんだんだよ!魔物の仕業か?


「カンネルさん、顔色悪いですけど……大丈夫ですか?」


「ん? あぁ、大丈夫だ。問題ない」


「そうですか? もし辛かったら言ってくださいね? 回復魔法使いますから」


「ありがとう」


 しかしそれからしばらく歩き続けるも状況は改善しなかった。


「一旦休もう。今まで見た事のない洞窟が見える。恐らく魔物だろう。そいつをどうにかしないとこのループは解けない」


 問題は……その魔物を討伐できるかどうかだ。俺達には攻撃手段が少なすぎる。ゾンビ系なら何とか……


「魔物が居たとしてどうするんです? 倒せなかったら……」


「この手の魔法を使うのはアンデットが多い。だから、俺達にもどうにかできる可能性に賭けるしかない」


「はぁ……まぁそうですね。今回もまた綱渡りですか。私達も攻撃ができるパーティーメンバー1人欲しいですね」


「そうだなぁ……まぁ俺たちのパーティーに入ってくれるヤツがいるかどうかだがな」


「アハハ、そうですね……1人は攻撃もサポートもままならず、もう1人は攻撃のできないウィザード……」


「おいおい、ゾンビ相手なら戦えるぞ」


「確かに」


 そんな雑談をしながら休息をとる。もし、相手がアンデットじゃなければ勝ち目は無い。ゾンビが相手ならまだ何とかなるとは思うが、ほかのアンデッドなら勝率は5割……

 賭けとは言ったものの大分不利な賭けだ。


「よし、行くぞアリシア」


「はい、神ノ贈物」


「準備万端……とは言えないが、やるぞ!」


「はい!」


 そうして2人は洞窟へ向かって進み始めた

いつもご覧頂きありがとうございます!


カンネル達は新しいクエストに赴くことになりましたが、やっぱり一筋縄では行かないようです。謎の声や、ループする森、何が起きているのでしょうか? 乞うご期待です!


先日、評価が付きました! 本当にありがとうございます! もしも、この作品が面白い、続きが読みたいと思っていただけましたら、いいね、評価、ブクマの方是非ともよろしくお願いします!

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