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第11話 謎


 あれからどれだけ経ったか……アリシアは魔力切れで気を失う寸前。パイルも生きてはいるが……恐らく既に目をやられている。食われていないのが奇跡だと言ってもいい。


「カンネル、生きてるか?」


「あぁ。なんとかな」


「そうかぁ……もし、もしもだ、俺がコイツの餌食になった時ゃ俺のパーティーメンバーのことは頼んだぞ……」


「バカ言うな。お前のパーティーなんか知ったこっちゃない。だから生き延びるぞ」


 そう言いはしたものの俺もそろそろ限界だ。しかもアリシアのバフが切れかけている。これが無くなった瞬間、俺達はまず間違いなく死ぬ。それ迄にパイルのパーティーメンバーが助けを連れてきてくれりゃ良いんだがな。


 しかし、運は味方しないようだった。空が暗くなり始める。レイス種は基本夜間しか活動しない。その為昼間でも活動していたコイツが、本来の能力を発揮するのは恐らく夜間になる。


「パイル! 一旦離れよう、このままだと本当に全滅してしまうぞ!」


「……」


「パイル!」


「あっ……あぁ、分かった。すまねぇが前歩いてくれるか? もう殆ど何も見えてねぇんだ。悪ぃな」


「分かった、アリシア! 大丈夫か!」


「大丈夫です、ついて行きます」


「それじゃあ行くぞ!」


 レイスの攻撃を交わした後俺達は森の入口に向けて走り出した。走ることすらままならなかったが、それでも走り続けた。しかし、日は落ちて当たりが暗くなった頃、付いてきていたレイスが動く。


「キィィィィィィン」


 まるで金属を引っ掻くような耳に残る音を発するレイス。瞬間周りのゾンビ共がより一層活発になる。


「カンネル、お前はそこの嬢ちゃん連れて逃げな。アイツは動けねぇ人間連れて逃げるのは無理な相手だ」


「さっきも言ったろ! お前も生きて帰るんだよ!」


「さっきとは状況が違うだろ……あれから大分時間も経った。もう外も暗くなってきてるだろ? アイツは俺みたいなお荷物抱えて逃げ切れる相手じゃねぇのよ」


 クソっ! 分かってるよそんなこと……でもだからといってここで見捨てるなんて、そんなのは俺のなりたかった冒険者じゃねぇんだよ


「ガァァァァァァ!!!」


 レイスが吠える。ヤツの体の周りに真っ黒な槍のようなものが発生した。


「お前ら伏せろぉ!」


 頭上をかすめていく槍。なんとか全員無事ではあったものの、パイルは吹き飛ばされ、レイスに完全に追いつかれた形となった。


「アリシア!パイルを連れて走れ!」


「私も残ります! 残らせてください!」


「ダメだ! そこの頑固者を連れて森を抜けろ!もうそんなに距離は無いはずだ!」


「でも」


「早く行けぇ!」


 後ろに向かって走り始めたアリシア達を逃さないとばかりに槍を射出するレイス。


「させるかよ!」


 まだ辛うじてアリシアのかけてくれたバフが残ってる。今ならまだ戦えるんだよ。そう思っていたのだが……


「は?」


 俺の剣は空を切るだけだった。そしてレイスの放った槍は俺の肩に突き刺さる。タイミング悪くバフが切れたようだった。

 痛い、痛い、血が止まらない、死ぬ、死にたくない、アリシアが、パイルが、違う、俺の想像と違う、俺は、俺は、英雄になりたかった、なれない、英雄にはなれない、人殺しだ、誰も守れず……




 ふざけるな




 フザケルナ




 オレは……




 殺シテデモ生キ残ル


 俺の傷口から真っ黒な瘴気が立ち上る。ソレは段々と人の形を型取り、1人の騎士の格好となった。


「オマエが、オレを、オレの仲間たちヲ……






 


 ユルサナイ」


 そこで俺は意識を失った


〜〜〜アリシア視点〜〜〜


 カンネルさんがレイスの出す真っ黒な槍に貫かれた後、その傷口から瘴気が立ち上った。絶望しか無かった。何の能力も持たない私をパーティーに誘ってくれたカンネルさん、何も出来ないと言いつつ、聖属性以外の攻撃でゾンビを撃破したカンネルさん、そんなカンネルさんが、レイスの攻撃を受けた。

 しかも特殊個体、ただのレイスですら攻撃をされれば普通の人なら助からない。そのまま生命力を吸い取られて死ぬか、レイスの傀儡になるかしかない。助かるわけが無い……そう思っていた。

 しかし、その瘴気は人型になり騎士の姿になった。そして周りのゾンビを片っ端から斬り伏せていった。アレが何なのかは分からない。あんなモンスター知らないし、召喚系のスキルにもそんなものは無かったはず。

 ただ、現実にアレは居て今もゾンビを斬り飛ばしていた。得体の知れない魔物がゾンビとレイスを相手取っている。私はその場から動けなかった。それから数分もしない内にレイスを斬り伏せた。

 次に視線に捉えられたのは私達だった。


「オマエも、オレの仲間ヲ、殺ソウとすル」


「ちっちが……違います」


「オレは、マモル」


「違う! イヤだ! 来ないで!」


「苦しンデ……悲シンで……絶望ノ中デ……死ネ!」


 一歩づつ近寄ってくる騎士、イヤだ……死にたくない。


 目の前で剣が振り上げられる。嫌だ、死にたくない。


 そこからは無意識に回復魔法を唱えようとするアリシア


 「星辰の……輝きより……奏でる煌めきを以て……傷付いた……彼の者を……癒したまえ 星々ノ祈リスターライト・ヒーリング


 しかし疲労と魔力切れで意識を失ってしまう

10話を超え、PVもそこそこ増えてきました。皆様のお陰です。本当にありがとうございます!

もし、面白いな、続きが読みたいなと思っていただけましたら、是非、ブクマ、評価の方よろしくお願いします!

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