5歩目 悪徳領主の町へ
僕達は次の英雄パーティーメンバー、世界最強の暗殺者が依頼を受けたであろう街へとやって来ました。
そして、街に入ってすぐ僕達と目が合った人が近づいてきます。
金色の羽を背中に付けた一人カーニバルの様な男が妖艶なウォークをしながら近づいてきます。
僕が目を逸らしても近づいてくる気配を感じます。
「・・・・皆さん、ここはやめて、次の街に行きませんか?」
「何故だ?」
「ここには、多分いませんよ? さぁ、次へ行きましょう!」
「いや、前から来ているモノが我らの仲間だが?」
「違います! 他人の空似ですよ!」
「フォゥッ!!」
逃げ遅れました。
一人カーニバルの様な方が僕達の目の前でポーズを決めています。
「ミンナ~、こんな所で何してるのぉ?」
「お前を探していたのだ。」
「ん? 何かあったのぉ?」
「魔王が復活するらしくてな、王から招集がかかったのだ。」
「へぇ~、それでこの子はぁ?」
「フルッチは、オラ達のまとめ役を王様から頼まれただよ。」
「そうなんだぁ? アタシは、タロタロスって言うの、よろしくね?」
「は、はい、よ、ろしくお願いします。」
「あ、ちょっとまっててねぇ。」
おもむろに僕達から離れて行き、通行人をナイフで刺しました。
ええぇぇぇ~!?
あの人、何で急に通行人刺してるの!!?
そして戻ってきました。
「な、何で急に刺したんですか!? しかも真昼間の街のど真ん中で!!」
「えっ、依頼受けてたからぁ?」
「タロタロス良くやった!」
「聖女が暗殺者を褒めないで下さい!! こんな堂々と刺したら・・・・」
「キャーーーー!!」
「ほら、騒ぎになりました! 逃げましょ!!」
他の通行人の悲鳴に警備兵達がすぐに駆け付けます。
ああ、またも逃げ遅れました。
「どうしたんだ!?」
「あの人が近づいたらこの人が急に倒れて、血を流して!」
「何? そこの君、さぞびっくりしただろうが犯人は、必ず捕まえる。」
へっ?
何故か、タロタロス様を見た警備兵の人達が優しく声をかけています?
「あの~? この人を疑わないのですか?」
「何を言っているんだ君は、こんな目立つ者が犯人なわけないだろう。 真犯人は、必ずどこかにいる!」
周りの通行人達もウンウンと頷いています。
あれ?僕がおかしいのでしょうか?
「さぁ、次は、領主を殺しに行くよぉ~。」
「堂々と言わないでください!」
「ははは、今日はエイプリルフールだからな、だがあんまりデカい嘘はついてはダメだぞ?」
「は~い。」
何故だろうか?
彼にかかわる事を周りの人達が全てプラス思考にとらえてしまいます。
「タロタロス様の能力は、人徳だべ。」
「はい?」
「幼少期は、偉い方の息子で何処に行くにも顔パスだったらしいべ、次第に顔パススキルが進化して人徳になっただよ。」
「意味が分かりません。」
「つまりは、誰からでも怪しまれず任務をこなせるということだ。」
「はぁ・・・・、でも僕は、犯人だと分かっていますよ?」
「それは、我が肩に乗っているからであろう。 本来は、高レベルでないとレジストできないからな。」
つまり、縮んで僕の肩に乗っているレンチョン様のおかげで僕は、真犯人を知る事が出来たと?
知りたくなかった現実を知った気分です。
「終わったよ~。」
何処かへ行っていたタロタロス様が戻ってきました。
しばらくして、警備兵達が慌ただしく動き出します。
「君達! 観光楽しんで行ってくれたまえ!! 我々は、急ぎの仕事が入ったのでこれで失礼する!」
僕は、その理由も犯人も知っているけど何も言えませんでした。
真っ当な領主がこの町に来ます様に。
「フォゥッ!!」
フォゥッ! じゃない!!