3歩目 教会へ
両手で顔を覆っている間に教会のある街へ着きました。
街に入る為に門番のチェックが必要です。
「次の者、前へ!」
「オラだよ。」
「ユイシャ様でしたか! 失礼しました! ・・・・それで上の者は?」
「人には、知られたくない事も有るだよ。」
「・・・・なるほど、どうぞお通り下さい。 少年、強く生きるんだぞ!」
止めて!
手を振って見送らないで!
周りの人もつられて手を振らないで!!
そのまま僕は、放心状態に陥りました。
「着いただよ。」
いつの間にか教会に着いた様です。
僕は、ユイシャさんに降ろされ、教会の門の前に立たされました。
「長旅だったからお疲れ様だべ。」
「いえ、私は、何もしていませんでしたので! ありがとうございました!」
「でも顔が疲れているだよ?」
「・・・・、これは・・・・そ、それより中に入りましょう!」
教会の扉を開け、中に入ります。
中を見渡すと僕は、ギョッとしました!
「聖女様、野菜持って来ただよ~。」
「!? ユイシャさん! 台座の上! ひ、人が死んでます!!」
教会の正面にある台座の上に剣が刺さった女性の姿がありました!
「誰か呼ばないと! そうだ!教会の人なら回復魔法を使える人がいるはず!!」
「ありゃ、まただべか。」
「え?」
すると横たわっていた女性の顔がこちらを向きます。
「ギャ~~~~!!?」
女性はそのまま、ムクリと起き、剣を雑に引きぬいて捨てました。
「!?」
「ああ、また死に損なったじゃねぇか! クソが!!」
「ええぇぇぇ!?」
「聖女様、何回やってもダメだって言ってるだべよ? オートで回復や蘇生がかかる体質なんだべ。」
「おお、ユイシャか。 だがマキヤットゥも言ってたじゃないか。『神に近づけたければ死ぬのが手っ取り早い』って。」
「賢者様の言う事聞いたらダメだべよ。」
「それより、そのガキは、何だ?」
「ああ、フルッチさんと言って、王様からオラ達を集める様に言われたらしいだよ。」
「はっ、フルッチと言います! 聖女様に出会えて光栄です!!」
「おっさんの使いの者か、俺は、マコっていう。 所でお前は、神を信じるか?」
「は、はい。?」
「何だ?信じてないのか? 殺すぞ!!」
「い、いえ! 信じてます!!」
「じゃ、死んねば神に近づけるぞ。」
「ええぇぇぇ!?」
何かこの人、滅茶苦茶だ!!
僕が対応に困っていると教徒の方がやって来ました。
「聖女様、懺悔したいと言う者が。」
「ふ~ん、簀巻きにして、森か川に捨てておけ。」
「分かりました。」
分かったらダメです!
逃げて、懺悔しに来た人逃げて~!
この教会、聖女だけじゃなく教徒もおかしかった~!
聖女様は、神様の像の前に跪き、祈りの言葉を捧げました。
「神・ルンよ、哀れな子羊を送ります。 その魂をお導き下さい。」
僕は、聖女様の横で必死にお祈りしました。
神様、導いたらダメです!
三途の川を渡る前にどうか送り返して下さい!!
その後、ユイシャさんに言われるまで手紙を渡す事を忘れてしまいましたが仕方なかったと懺悔しました。