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一番エライ
俺が一番エライんや!
一番エライと豪語する男は確かに優秀だった。
優秀な大学を卒業し、有名な企業に就職し、そこで出世して独立。定年後は公務員の嘱託職員として働いていた。
ある日、職場で公務員として働く若者に質問された。
凄いと思った年下の子はいますか?
年下に凄いと思った事はない!上の立場なんだから、そんな事思っちゃダメだよ。
そうですか。私は年下に凄い子がいっぱいいましてね。こうべを垂れてばっかりですよ。
そんなんじゃダメだよ。シャキッとしないと。ナメられるよ。
優秀な爺さんは過去の栄光を若者に自慢した。
一通り聞いた後、若者は質問した。
仲の良い後輩はいましたか?
もちろんいたよ。気の合う奴な。そいつらといる時は楽しかったよ。
その人達を凄いとは思わなかったですか?
思わなかったねぇ。そこは線引きしないと、上と下でね。ナメられちゃうよ。
…そうですか。
若者は年下の子達からお昼ゴハンに誘われ、外に出た。
あんなんじゃダメだ。あいつは出世できん!
爺さんは内心思ったが、実はこの爺さん友達が1人もいない。
独立も1人だけの会社。
つまり、一番エライ最大の理由は一人ぼっちだったからである。




