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72話 SAN値がピンチするそうですが?

更新やしたー(_・ω・)_バァン…

「さて、今後の方針、などと悠長に語っている場ではないな。速急に話を進める。今現在、城の魔王と名乗る謎の実力者のおかげでここ東京は前線を押し戻している。このまま海外に向けて展開していきたいところだが、それは我々の仕事だ。それよりもお前にやってもらわなくては行けない仕事がある」


「勿体ぶるなよ、速急とか言っておいて」


 こいつの説明口調、妙にイライラするんだよな。言いたいことはわかるけど変に長いから聞いてて飽きが出る。


「では本題に入る。勇者エイジ、エルピスを探せ」


「エルピス? なんだよそれ」


「詳しくは城の魔王が置いていった、このパンドラの思念体から聞くといい」


 バルトラがパンドラの思念体と言って紹介してきたのは黒い長髪にナイスバディなお姉さんだった。


「どうも、人類をダメにした女世界代表です♡」


「……」


「……コホン、さてそんな冗談はさておき、いや、事実のいえば事実なんだけどそれは本当の私がやった事で、え、ええと、とにかく、ソシャゲ大好き日本人の若者たちならみんな、パンドラの匣って言うものは知ってるわよね?」


「まぁ一応」


 恥ずかしそうに話し出したパンドラ。これは色々と失敗しましたねと突っ込んであげた方が良かったのだろうか?


「それは本当は開けてはいけないものだったのだけれど、本物の私は好奇心旺盛でね、開けちゃったのよ。そして人類への災厄が世界に降り注ぎ、残ったのは希望(エルピス)という、まるで絞りカスのようなものだったの」


 ああ、あのクシャッとした文字で書かれるやつ、エルピスって読むんだ。へぇ、初めて知ったわ。


「でもね、エルピスは使う人間によって全にも悪にもなりうる。希望は善性ではなくて中性だったということね。つまり、悪にも希望(エルピス)を抱く素質はあるということ。そしてそれを得たことに自信すら気づかずに地球を滅ぼそうとしているのが、北欧最大のトリックスター、ロキの成れの果てよ」


「ロキ、の成れの果て?」


「ええ。本来のロキは既に北欧神立ちと共に滅んでいるわ。彼はロキの悪性だけを思念として体に植え付けられた普通の人間。別世界からやってきた、ロキによく似たエイリアンだと思えばいいわ」


「……」


 ロキによく似たエイリアンって……なんてめんどくさいんだこれ、頭こんがらがるんだけど。


「とにかく、ロキと同じ力を持つ人間が、自分がロキだと勘違いした挙句、何かの拍子に鬼神と悪神のことを嗅ぎ付けて、地球から人間を送り付けて異世界の魔王たちを殺させることで2柱の復活を早期に行うことを目論んでいたわけ」


「そもそもどうしてロキはパンドラの匣なんかに近づくことになった? エルピスは、匣に残った残りカスなんだろ? じゃあ箱から取らないとダメじゃないか」


「エルピスには、意思がある」


「は?」


「クトゥルフ神話、という神話大系を知っているかしら」


「おいおいパンドラちゃーん、そこら辺は俺に話させてくれよぃ」


 後ろにいた、がたいの大きい偉そうな男がグイッと前に出てきた……何こいつ、怖。


「クトゥルフ神話ってぇ言われるとむずがゆい訳だが、まぁ俺の分野だ、坊主に話してぇやるよ」


「は、はぁ」


「さて、じゃあわかりやすいようにあれを出すか。SAN値減らしたりするなよ?」


「は?」


 彼の言っていることがわからないでいると、彼の両手が触手に変わった。えぇ、地球に来てまで異世界要素続くのか、タダでさえ地球の神話のせいでぐちゃぐちゃだってのに。


「俺の名前はクトゥルフ。今は故あってこの人間の姿を借りているってぇわけだ」


「SAN値ッがピンチッしそうだなッ」


「何言ってんのヤン兄」


 俺の方を向いてなぜ知らないのかとでも言いたげに唖然とするヤン兄。俺だってなんでも万能に知ってるわけじゃないんだぜ、察しろよ、殴るぞ♡


「んじゃあ話を進めるがァ、エルピスってのはクトゥルフ神話でいう、《ニャルラトホテプ》、《ナイアーラトテップ》ってぇやつに人間を変容させるクソみてぇな物質の事だ」


「はぁッ!?」


「うおっ、うるせぇな黒山羊の坊主」


 一時的な発狂をするヤン兄を横目に俺は話の続行を頼む。


「あれは放置して続きを頼む」


「おう、ニャルラトホテプってのはな、エルピスが取り付いた人間の総称だ。その人間の心似合わせて姿を変容させ、その人間が望む力を人間に与える。まぁ頭がいいだけの野生児みたいになるのは確かだな。人類としての生は忘れて完全に別物になる。俺らの神話大系で多く語られてるニャルラトホテプは、変容前のやつか人を操る能力を持ったやつに操られた人間達だな」


 クトゥルフ神話についてはソシャゲでキャラが出てきた時にさらう程度しか調べていないためよくわからないが、ニャルラトホテプは確かに「這いよる混沌」だとか「無貌の神」だとか色々呼び名があったのが印象的で覚えている。


 それが全て、一人一人がエルピスによって力を得た、彼の話通りの生物だったとしたら、クトゥグア()と対立しているのは野生に帰ったことで火に対する恐怖をさらに色濃く焼き付け直したということだろうか。


 それとも、それが自分ではなく別の神という存在に人類が与えられた、他の生命の叡智の結晶だからか。


 なんにしても、ここまで色々話しておいて肝心のエルピスの奪取の仕方はまだ教えてもらえないのだからバルトラサイドの事の雑さが疑える結果となったな。

読んで下さりありがとうございました(ノシ 'ω')ノシ バンバン

ブックマーク、感想、レビューもいただけると嬉しいです(ノシ 'ω')ノシ バンバン!

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