33話 ノアのゲームってなんですか?
(゜∀。)話を続けるための伏線ちゃんを貼りまくりんです
更新遅れたのはスマホがぶっ壊れてデータが消えてなくなったから……(ノシ 'ω')ノシ バンバン
イースベルとの戦いが終わったあと、盛大に宴が行われ、ベースキャンプは来た時以上に騒々しくなった。
そんな宴も終わり、みんなが眠りについたころ。シルティスがこちらへやって来てループの経緯を話そうとしたが、ある程度わかっているからと断った。
どんなことでも知りすぎることは罪だ。賢者はあれは物事を知っているのではなく、罪にならない範囲で完璧な回答をあてがってくるだけ。これもコウジの弁だったりするが。
知ってはいけないことを知り、死んだ奴らなんてたくさんいるんだ。御国だってそういうことしてたかもしれないし、それこそ、あの時の東京の光景もそうだろう。知りすぎた人間がいたから生き返ること無く、その場にいた人間はみんなそのまま消された。
今残っている記憶が正確なものだと証明できる両親の遺物もこの場所にはないし、あれ以降の記憶がすべて捏造されたものかもしれない。自分の記憶が信じられない。と、考えていくと延々とマイナスに考えられてしまうが、それでもあの凄惨な出来事が夢の中のものだとは思いたくない。しかし忘れたいということも事実の中にあるのだからすこぶる厄介だ。
少ししか分かっていない段階でこの有様だ。すべて知ってしまったら更にマイナス思考は止まらなくなるだろう。知を得ることはマイナス思考のブレーキを外してしまう行為なのだ。
好きなことだけ考えて、あとは適当に頭の隅にとどめるだけ。そうすればいいだけだと言うのに、こちらの世界に来てから昔を思い出す機会が異様に多い。
そのような効果がスキルにあるんだとしたら、ぜひとも早くこの冒険を終わらせて元の世界に帰ってとっととスキルとおさらばしたいものだ。
「ご主人、『シンクロ』」
唐突に横にいたシルティスがシンクロを使ったため、脳内にいっせいに情報が流れ込んでくる。
今までの俺はどうやら火の付与魔法を覚えれずに苦戦していたらしい。ほかの付与魔法はすぐに覚えることが出来たから簡単だと勝手に思い込んだ。そこが失敗ってところか。それにしても無理やり教えてくるとは。
……しかし、重要なのはそこではない。今回のイースベルと前回のイースベルは何かが違うとは思っていた。喋り方にしろ攻撃パターンにしろだ。
それがこの記憶を見るとさらにハッキリする。イースベルは毎回違う攻撃パターンをもち、毎回違う性格の個体がここを襲撃しに来ている。
これはどういうことなのだろうか。
そして考慮すべきは魔族であるシルティスが、しっかりと人間側に裏切ったと情報が知れ渡っているということ。
バルトラとの戦いの時に時間をかけすぎたか? 魔族間の交流によってシルティスの現在の状況がバレてしまったかもしれない。
となるとこれは非常にやりにくいだろう。コウジの話だと、魔族の中には強い魔族の発する魔力で場所がわかるという個体がいるという。人間の魔力は感じられないらしいのでこの間必死に魔力の気配とやらを消そうとした俺の努力は必要なかった……
一方シルティスは常に位置バレ状態。
シルティスが俺たちと行動していることがバレたということは、シルティス=勇者を倒すための目印になり兼ねない。
狙い撃ちされたり、待ち伏せされたりと色々面倒なことが起こるかもしれない。ある程度の気配は消せるらしいがそれでもさすがに少し無理があるように感じた。
……イースベルの性格の謎は、とりあえず南の魔王のところに行けば何かわかるだろうから、今後の行動しだいだな。
今のシルティスから受け取った記憶で、リプレイもしすぎると逆にわからなくなることが分かった。
これからはなるべく命を落とすような危険は避けて通るべきだろう。
なにせ、今回のように防御力など関係なく丸呑みにしてくるような奴がいるとも限らないからな。
シンクロしている間に脳内でテキパキと今後頭に留めておくことをまとめ終え、ちょうど手頃な位置においてあった焚き火が切れたのでキャンプの中で寝ることにした。
「ふー、久々の睡眠だわ……」
「お疲れさん……」
ひどく眠たげなシルティスに一声をかけ、俺も久々に一眠りすることにした。
生活リズムの正常化は大切だお。
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『あー、1号やられちゃったかー』
『私たちの中じゃあいちばん弱かったから、当たり前といえば当たり前ねぇ♡』
『それでも無限にある命じゃあないんだ。しっかりと考えて使って欲しかったものだよ。なぁ、2号』
『だねー、コアまで破壊されちゃったら母様の修復も効かないしねー』
『……』
『4ちゃん、だまりこけちゃあだあめ♡』
『……うるさい、5号』
『えーー♡ もうっ、イケズねぇ♡』
雪が降り積もる中、4人のイースベルが楽しげに会話をしている。
氷子イースベルは人間でいうところのホムンクルス、人造人間のようなものである。
彼らは1人目の死後、どのようにして彼らを母である氷王に近づけないようにするかを議論していた。
『5号、この場合は4号の言っているとおりだ。ふざけるんじゃあない』
『もう、3ちゃんもお堅いんだから♡』
全く同じ姿の女性4人が、向かい合って異なる口調で話しているというものは見ていてかなり不思議なものだ。
岩陰に1人張り込んでいた柳沼桃花は、この会話を聞いてある人物を思い出した。
(……まさか、こいつらの言う1号を倒したのって……ヲタみん?)
コウジとマキナの寝ている間に抜け出してここまで来た柳沼は、岩の後ろで擬態魔法を使って岩に化けていた。
(ヲタみんにも倒せたってことは雑魚なのかな、あいつら?)
いまだにエイジの強さを信じることの出来ない柳沼は、そのように思考すると自身のスキルを発動させる準備をする。
(『連撃』!!)
スキル『連撃』。一打につきレベル×所持スキル÷2の数値の数だけ相手に攻撃を当てる技。
言ってみれば普通1回の攻撃が、レベル25、スキルを3つ持っている人が使えばば、37回攻撃になるということだ。
この例は柳沼本人のもので、彼女はこのスキルを使って数々の敵を打ち倒してきた。
が、しかし。彼女のその圧倒的な自信と傲慢から来る強さはイースベルたちに届くことはない。
『お姉ちゃんっ、こんなところで何してるの?』
「え?」
背後からの声に振り向くと、そこには片手に木箱を持った少年がたっていた。
『お姉ちゃんがこんなところいると不都合なんだ、だからね……』
残酷な笑みを浮かべて箱を持っていない左手を掲げると、柳沼に手のひらを向けてこう言い放つ。
『消えてもらうね?』
「は?」
瞬間、柳沼桃花という存在はこの世界から消された。
当の本人は昼間なのに誰もいない学校に、1人でぽつんと返された。
『さぁ、そろそろ第2ゲームの仕込みをしなくちゃ』
少年は獰猛な獣のようにクククと喉を鳴らしながら笑い、一瞬でどこかに消えてしまった。
『ノアのゲームの始まりだよ!』
その場にこだましているはずの少年の声。しかし、その声がイースベルたちの耳に届くことは無かった。
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