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31話 リベンジマッチと行きませんか 1

(´;ω;`)遅くなってごめんなさい

「おお! 魔王を倒した勇者様たちが来てくださったぞ!」


「これでこのキャンプをさらに拡張し前線に押し出すことも夢じゃないですな!」


「カスカ殿、我々も行軍に入れてくだされ!」


「聞いていたとおり、魔族の者もこの行軍に参加しているのですな! 敵対関係にありながら我々に協力していただけるとはありがたい限り」


 中に入るとキャンプ地の人々から熱烈な歓迎を受けた。シルティスの情報もある程度は知れ渡っているようで、彼女が不便になることは無さそうだ。


 全員がかなり手厚い歓迎を受けたのだが、中でもヤン兄はかなりの集られ様で胴上げまでに発展しそうになったので慌てて制止する。


「え、なになに、ヤン兄実はお国では人気なの?」


「お国とか言ってんじゃねえよ。俺のお国は日本だっつの。これは俺が今までやってきたことの結果だ」


 にやけ顔でそう答えるヤン兄。


 ……これだけの人望があるなら、ヤン兄のスキルの能力をフルで使えるかもしれないな。


「勇者様たちが来てくださったのなら、今夜の戦はもう勝利したも同然! なぜ毎晩私たちを殺さないのかがわかりませんが、いたぶられたのは事実。倍返しで葬ってやりましょうぞ!」


 やけにテンションの高いリーダー格の兵士が、声高らかにそう宣言する。


「……おいシルティス、もしかしてなんだけど、前周回の時にこいつら全員死んでたのって俺達がここに向かってたからだったりしない?」


「その通りだから今回は早めに来たのよ、ご主人」


「やっぱりか」


 これは死人を出したらヤン兄は戦力にならなくなるな……質より量なんだから1人でも多くまともな戦力がいて欲しい。今回はヤン兄にも頑張ってもらわないと。


「これでやっと氷子イースベルを撃退できますな」


「ええ! アイツには散々手をやかされましたからな」


「西を取り戻したこの勢いで南も制圧したいものですな」


 おいおい、おっさん達が妙なやる気を起こしてるよ。


 というか、あいつの名前『氷子イースベル』って言うのか。


「おいシルティス。イースベルとか言うやつの能力はなんだ」


 前回はあんなにもあっさりやられてしまった。イースベルとやらの能力について気になったが、予想がつかないのでシルティスにそっと聞いてみる。


「ご主人は一回使われてるじゃないの。『フォールンダウト』あれがやつのスキルよ」


 その能力の中身がまったくもってわからないから聞いてるんですけどね……


「その効果がいまいちな」


「ご主人はあれをかけられた時にどうなった?」


「……その場から動けなくなったな」


「あとは自分で何とかしてね、ご主人。私からそれを言うことは、前前周回のご主人から禁止されてるから」


「は? どういうことだか全くわからないんだが?」


「まぁ、そういうこった。そのうち分かる」


「ヤン兄、シルティスと同化したからって色々わかったぶっちゃって……」


「実際わかってるからな」


「それ言われちゃうと返す言葉がなくなるんだけど?」


「あー、俺から言えんのは、このサキュバスはこの時間を10回くらい繰り返してて、お前はそれ以上の時間を繰り返してたってことだな」


「俺はその前から周回をしていたのか……」


 となると、前々回の俺と今の俺は別人と考えて、何を考えたか前々回の俺は『リプレイ』を使わなかったからそのまま死亡し、シルティスだけが過去に戻った。そして今の俺がまた周回をしていると。


 シルティスに全ての情報は託していたようなので問題はないと思うのだが、今までの俺が何度も周回して倒せなかったのだ。


今の俺がイースベルを倒すことが出来るかと問われると、正直いって不可能である可能性が高いだろう。


 それにしても、時間を巻き戻す能力か……自称神幼女の話を聞いていた感じだと、そういう能力まではなさそうな感じがしていたんだけど、確認ミスか?


 ……いや、死ななかったという事実を上書きしているだけ? ちがう、そんなことが出来るなら最初からあの幼女が全てやって終わらせているはず。


 まさか、スキルの能力は神の能力や力に連動していない? だとしたら神の力とは別のところで力が動いていることになるので、神が地上に深く干渉できないという絶対条件はちゃんと守っている。


 ほかの能力でもそのようなものがないかちゃんと確かめてみるべきかもしれないな。


 なんにせよ、些細な齟齬が生まれても、時間軸の収束で結末が同じになってしまったらそこでおしまいだ。


 結末を変えるには世界線を超える、とかだっただろうか。


「ささ、勇者様方、宴の用意が済みましたので宴会の席へどうぞ」


 熟考中にリーダー格の兵士がものすごく高くなったテンションで俺たちを宴席に誘ってくる。


 ……おいおいこいつら、まだ身の安全が保証されたわけじゃないのにそんなこと始めやがって。仕方ない、ここは演説タイムと行きますかね。


「まだ身の安全が保証されたわけじゃありません。宴会は、ここに来るという、そのイースベルという魔族を倒してから始めましょうか」


「なんと!? それは素晴らしいお言葉でございますが、すれば我々は如何様に?」


「一時的にここの外へ避難をしてください。恐らく今晩来るであろうイースベルを我々が迎え撃ちます」


 なかなか言っても聞かない兵士達を半ば無理やり外へ押し出すように荷物を持ってキャンプを出させ、イースベルが来るのを待つ。


 ……しかしまぁ、敵さんがそんな簡単にこちらの事情を察してくれるわけがないと思うので、しばらく待つのは覚悟しよう。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





「……来たわ」


「分かった」


 シルティスの感知能力でイースベルの感知を行っても、こちらとしては戦闘の準備に十分な時間をとることが出来ることが分かっていたので彼女に感知を任せていた。というか俺が使うと見えすぎてしまうのと、戦闘経験が豊富でない俺が妙に尻込みするからという理由があるためにシルティスに任せざるをえなかった。


 まるで空の上から舞い降りてくるかのようにゆっくりと下降してきたそれは、上機嫌に喋り出す。


『うふふ、今日は殺してもいい獲物たちが来てるのね?』


「お前に俺達が倒せるかな?」


 気丈に装うが、1度は自分が殺された相手。意味もわからず殺されてしまった以上、どう対処していいのか凡人の頭ではそんな簡単に浮かぶはずもない。


『ぺろりと、美味しく頂くわ♡』


 嬉しそうになくイースベル。それをどのようにすれば狩れるのか。それだけをただひたすらに考えて、俺は目の前の的に向かっていった。

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