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RelicCode(なろう版)  作者: 初仁岬
Ⅰ.皇都炎上編
6/22

皇都の巡回視察

 今後の方針が一切決まっていない隼人たちはまず、フィーエルの誘いもあり皇都を回ることにした。

 この世界に来てすぐに各領地へと引き取られた隼人と綾香はザドキル皇帝陛下の人となりを知らない。それを少しでも知るには丁度いいだろうということだった。


 皇都は運営こそ伯爵家や子爵家が行っているが、指示をしているのは陛下自身。陛下の性格が街の様子に色濃く出ているのだとフィーエルは言う。

 フィーエルから直接聞くのもいいが、一人からの視点それも血族のものとなるとあまりあてにならない。客観的な情報を。というフィーエルの配慮だった。


「それで? どこから見て回るの?」


 そう呟くのは綾香だ。ジト目で見つめられどう答えたものかと隼人は思案する。

 綾香がジト目になるのも無理はないのでどうフォローしたものかと考えているのだ。


「まずはマーケットでお散歩するのがいいと思いますよ」


 そう提案するのは、ジト目の原因であるフィーエルだ。何故か隼人と腕を組んでいる。


「マーケットか。規模はどれくらいなんだ?」

「お父様はあれでただの戦闘狂ではなく、ちゃんと国益のことも考えていますよ。なので、出店は推奨していますし、場合によっては国で出店を支援することも多々あるようです。通りを外れれば不定期のフリーマーケット会場があったりしますし……」


 第一印象が最悪であっただけで、あれで結構まともな王のようだ。


「そう。一通り周りましょ」

「そうだな。時に殿下。なんで俺たちは腕を組んでるんだ?」


 今更ではあるが当然の疑問を隼人は投げかける。


「ふふ、せっかくのデートじゃありませんか。一人お付きが混じってますが」

「誰がお付きですか、誰が」


 なんて、綾香が次は反対の腕を取る。容姿端麗な綾香と誰もが知る皇都の姫――その二人を侍らせている隼人は注目の的だった。当然、悪い意味で……

 特にここは城の廊下であり、使用人は勿論のこと貴族も多く出入りしている。

 俺が召喚された異世界人であることを知っているのか、今のこの状況を咎める者はいないが、普通であれば小言の一つを言われても仕方ない。客観的に見ればこの状況は王族を誑かしている様にしか見えないだろうから。


 だが、隼人はそれに動じたりするようなことはない。一人厄介な人物が常日頃から同じクラスに居たのだから当然といえば当然だ。


「それで……このまま行く気か?」


 呆れながら分かりきったことを聞くものの答えは変わらず「「当然」」という端的な答えだった。


 § § §


 三人は大通りへと出た。

 フリーマーケット的なものは開催されていないらしく、仕方なしに個人商店を回ることにしたのだ。

 出たと言っても皇都の大通りは大正門から城まで一直線に続く通りなので、城から一歩出れば必然的に大通りに出ることとなる。

 街並みは中世の雰囲気を醸し出しているからか、味のある緩やかな活気づき方をしている。


 大通りと少し中に入った区画には貴族や旅行者、商人なんかが通いそうな綺麗な店が広がり、更に奥に入れば家の一角で店を開く個人商店や鍛冶屋などが立ち並ぶ。


「大通りの方は良いんですか?」


 隼人が先導し奥の方まで来てからフィーエルが聞く。普通であれば大通りから順に聞くからだろう。


「迷ったけど、大通りの店舗には話を聞かなくてもいいだろ」

「というより聞くだけ無駄なんじゃない?」


 綾香の回答に隼人は頷く。


「表の店舗は貴族向けの店ばかりなんだろ? 多分、色々と聞いても貴族に媚びへつらう回答しか来ないよ」


 そういえば……そこで、隼人が何かに気づく。


「このままじゃ不味いな」


 ふと、立ち止まり隼人は呟く。


「どうしたの? って――あぁ……」


 綾香は言うまでもなく気づく。そう、フィーエルのことだ。誰がどう見てもフィーエルだ。奥まった街であっても皇都なのだから知らないはずがない。


「このままだと遠慮されるな……いや、待てよ? 俺たちもこのままだと不味いのか?」


 隼人は続けて当然の疑問を呟く。

 皇都へ召喚された隼人たちは既にその存在を公開されている。全員とは言わずとも噂でその存在は知れ渡っているはずだ。

 かもしれませんね。と、フィーエルは微笑む。いい案がありますよ。と


「今日のところはお散歩だけに留めて明日また来ましょう」


 そう言ってフィーエルが先導するのだった。当然だが目立ちまくっていた。

 後ろで実は付いてきていた護衛の二人も慌てている。案外、フィーエルは気づいていてワザと慌てさせているのかもしれない。中々、嫌らしい趣味をお持ちのようだ。


「ふふ、隼人、幾ら口にしなくても失礼ですよ」


 なんて言うのだから、綾香と同様に注意しないといけないかもしれない。恐らく、隼人が考えていることなど言わずとも何となく分かっているのだろうから。

 綾香のことと違い、隼人自身、フィーエルの考えていることは何も分かっていないわけだが……


 結局日暮れまで街を歩き周り、昼食は一度表に戻りフィーエル行きつけのお店で取り、夕食は当たり前のように城で取った。


「では、明日を楽しみにしていて下さいね」


 そう言ってフィーエルは部屋へと戻っていった。さて、戻るかと隼人は歩を進めようとしたが綾香に呼び止められた。


「隼人。今から少し星を見に行かない?」

「何だ? 早速、良い場所を見つけたのか? それとも、フィーエルみたく星見(よち)でもするか?」


 と冗談を言ってみたものの、綾香の反応は薄い。ただ、その真剣さを感じた隼人は黙って付いていくことにする。

 勿論、こちらを気にしている人物に牽制してからだ。


 目的地も分からず淡々と綾香に付いて行く。その足取りは重くも軽くもなく単調。まるで感情のない人形のようにも見える。


「ここか……懐かしいな」


 二人が訪れたのは城のとあるベランダだ。

 ここが、一年と三ヶ月前フィーエルに勧誘された場所だ。星見の話を聞き、返事を保留した場所。


「たしか『星がよく見える場所だから星見の能力が発動しやすい場所』だったかしら? まぁ、星は良く見えるけど、山に行けばもっとよく見える気がするわ」


 綾香は手すりに腰掛け夜空を見上げる。隼人は正面に立ち壁に背を預けるようにしながら夜空を見上げる。


「この世界にも星があるのはいいが、やっぱり違うなぁって思うよな。どう考えてもあっちで見えていた星座が見えない」

「それ以前に宇宙というものがこの世界にあるのかも怪しいかもしれないけど」


 長い髪を後ろへと払いながらそう答える綾香は月明かりに照らされ綺麗だった。そして、寂しそうでもあった。


「あっちの世界が恋しいのか?」


 隼人は冗談めかしに言うが、何となくそうなのではないかと分かっていた。


「さぁ、どうなのかしらね。でも、多分そうなんだと思う。たまに、向こうでの生活を思い出すから」


 その答えは隼人の予想通りの回答だった。

 綾香は全体的に感情に乏しい。だから曖昧な表現をすることが多いのだが、今回は自分で戻りたいかもしれないと理解している分、普段よりもいい傾向にある。

 この傾向を活かすために隼人は深く聞き込んで見る。


「戻れるなら戻りたいか?」


 綾香は隼人に向き直る。少しの間、考えるように隼人を見つめた後「隼人次第」と一言返した。


「隼人がこっちに残るなら、向こうに戻れたとしても残るし、隼人が是が非でも戻るって言うなら、私も是が非でも戻るわ」

「いい加減、あいつらともちゃんと話せばいいと思うんだがな……。間宮や、味島ならともかく、巴はそれなりに分かってくれるだろ」


 直後、隼人は綾香にギロっと睨まれる。


「な、なんだ?」


 何も分からず聞いてみるも「別に……」と拗ねてしまう。

 そこでようやく拗ねた理由に気づく。


「あぁ、巴って名前で呼んだのが気に入らないのか? といっても、アイツのお陰で色々と助かってる面もあるから自然とな……」


 まるで浮気がバレて言い訳するかのような隼人の反論は「そう」とあっさり流されてしまう。


 そもそも、間宮真司をリーダーに味島光輝、柏木巴、桜庭綾香は幼馴染である。

 ただ、文武両道な綾香と他の三人は折り合いが悪く、幼稚園で知り合って親同士が勝手に仲良くなったから一緒に居ただけの存在でしかないのだ。

 隼人とは高校に入ってクラスが一緒になったことで知り合った。周りと距離を置く綾香を見かねて隼人が声をかけたのだ。

 お互い何か通じ合うものがあったのか、二人はあっという間に仲良くなった。それこそ、一心同体と言えるほどに。二人の間には言葉など不要なのだ。

 だから、言わずとも綾香の言いたいことが分かる。気後れしているのだ。

 巴がある程度、自分と対等に話してくれると分かっていても、今更声をかけるのが恥ずかしいのだ。何せ、向こうからは散々アプローチがあったのだから当然だ。


「気にする必要はないと思うがなぁ……。まぁ、なんだったら俺も入れて三人で話す機会をその内設けよう。もっとも、アイツは皇帝派に配属になってしまったから当分は無理だろうけどな」


 そう言って隼人は起き上がり部屋へと向かう。その背に綾香が声をかける。


「ねぇ、隼人」

「何だ?」


 振り向かずに隼人は応える。


「もしも、私が敵として目の前に現れたとして、私を殺さないと大勢の国民が死ぬってなったら私を殺せる?」


 それは、分かりきったことを改めて確認しているかのようだ。俺の答えを知りながら答えを聞くことで安心したい。綾香はそう思っているのだろう。


「ああ。その時は容赦なく殺すだろうな。それがこの世界での生き方だ」


 隼人は迷うことなく答える。


「逆に、俺が目の前に立ち塞がったら?」

「それは無いわ」


 綾香の返答も即答だった。「だって、隼人が悪に落ちたら、私も一緒に悪に落ちてるから」って――

 案外、あんな質問をしたのは遠回しに「いつでも私だけは隼人の味方をするから」と伝えたかっただけなのかもしれない。


 そのまま。二人は無言で解散し、部屋に戻り床に付く。明日の巡回を考えながら……


 § § §


「お早うございます。お二人とも」


 朝、隼人と綾香は二人揃って食堂で朝食を取っていたのだが、どこからともなく現れたフィーエルに声をかけられる。

 心なしか、その声は弾んでいるようにも聞こえる。悪い予感しかしなかった。

 よくよく考えれば、一年と三ヶ月前にベランダで話しかけられた時もこの悪巧みをしているかのような笑顔を見たような気がする。

 どうしてこう、仕掛け人は隠そうとしないのだろうかと呆れつつ隼人は先を促す。


「昨日言ってた準備が出来ましたので、早速着替えましょ?」


 そう言ってそれぞれ鉄製のカバンを渡される。


「中に変装衣装を入れてあります。部屋で着替えてきて下さいね」


 フィーエルも着替えがあるらしく渡すものを早々に渡して引っ込んでしまった。

 集合は城の前とのこと。そんな遠くで集合で変装しあった三人がお互い分かるのだろうかと思いつつも、綾香も隼人も部屋へと一度戻るのだった。

 ギリギリ間に合ったぁ……

 先週に懲りてちゃんと書こうと思ったのに結局、さっき書き終わりました。

 相変わらず推敲時間なかったので、もしかしたら後で少し書き換えとかあるかもしれません。ごめんよ。

 最近、溜めていた「JustBecause!」というCanonやら湘南モノレールやら、小田急、ビックカメラ、有隣堂等々が協賛しているアニメを見ました。

 今期ロクにアニメ見てませんが超オススメです。今後の展開次第ではありますが、久々に恋愛モノで感情描写の多いものを見た気がします。

 何に驚いたってやなぎなぎさんが作曲やってることですね。この人、作詞と歌だけじゃなくて作曲まで出来たのね。エロゲ業界出身とは思えない……(「しゅぷれーむキャンディ」の「飛べない魔法使い」がデビュー曲だったはず)。

 アニメへの露出は「あの夏で待ってる」の「ビードロ模様」でしたっけね。「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」のOPを経て今に至ることを考えると感慨深いものです。まぁ、最後に聞いたのは多分二年位前の「オラリオン(終わりのセラフED)」だと思うけど……←知らないだけで他にも歌ってたのかな?

 次回もちゃんと間に合うように頑張ります。


※新人賞用まったく書けてないので、ちょいとそっち優先するかも

※JustBecause!に触発されたので、その内、恋愛モノ書いてみようかと思ってます

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