遺跡の魔法陣
久々です。ごめんなさい。
そして、何を思ったか新作「巻き込まれ破壊王は自由に生きる」という新作書き始めてます。
良かったら読んでやってください。
また、時を同じくしてカクヨムの方にも「RelicCode(カクヨム版)」を投稿いたしました。
こちらは「RelicCode(なろう版)」を元に加筆修正を加えたものです。
なろう版でも多少の修正を加えてはいますが、設定が大きく変わらない程度に留めています。
何方かと言えばカクヨム版の方が読みやすく仕上がっていると思い(たい)ますので、良かったらそちらもご確認頂ければと思います。
ただ、あくまで原作はなろう版ですので、最新話のご確認はなろう版にてお願いします。
遺跡に入って数分、先頭を行く皇帝派に動きがあった。
一本道であった入口の先、皇帝派と迷宮内の魔物とが接敵したのだ。
「皇帝派が粋がってて敵を倒してくれるから俺たちは楽できるが……後でイチャモン付けられたりしないか?」
「それは流石にないと思いますが……」
皇帝派は複数の騎士団で構成されており、その規模から功を焦る者も多く、殿下派の想像通り統率が取れていなかった。
殿下派からすれば後ろからついて行くだけでいいために、楽をすることは出来るが一つ問題があった。
聖遺物に出くわした時に彼らが先頭を行く以上、皇帝派に流れてしまうというものだ。
分岐がないとは思えないが、ここが隠された通路の先であるため、場合によっては本気で分岐がない可能性すらあるのだ。
「ところで、一つ気になってたんだが、この遺跡はラミュリアにある訳だろ? なんで、皇帝派を呼ばないと行けなかったんだ?」
現在のアルスティーナ皇国は一国家で有りながら、二つの地方自治を持つ連合国家のような体制を取っている。
それぞれが独自の政を行い、国外への外交に関しては中央自治が行うというものだ。
ただ、一つの国である以上、その資源は等しく共有されるべきといった詭弁から半ば強制的に皇帝派の介入を認めさせられたのだ。
「それって、法律違反じゃないのか?」
「正直、抵触していると言われても反論は出来ないでしょうね。実際、アルスティーナでは両陣営の侯爵が出張って言い争っているという風に聞いています」
「やけに詳しいなレイア」
「メイド専用のネットワークというものです。同陣営の情報なら大抵分かります」
元々、諜報員として活躍していたと隼人は聞いている。情報戦なら彼女に並べるものは少なくとも殿下派にはいないだろう。
「私も一つ聞きたいんだけど」
「ん? どうした綾」
「なんで、メイドがいるの?」
「そう言えば、なんでだ?」
今は皇帝派から少し間を空けて進行している。
殿下派は先頭にライカ・レイフォルト率いる連合軍。真ん中に隼人、綾香、フィーエル、レイアとルーファス・ガーランド率いるガーランド一門。そして、最後尾に炎牙が付いて来ている。
本来であればレイアとフィーエルはお留守番のはずだった。
「フィーも約束と違くないか?」
「想定以上に大所帯になりましたし、すぐ近くに名高い天才魔法師ルーファス卿もいらっしゃいますから大丈夫ですよ」
「その油断が危険なんじゃないかと思っているんだがな……」
「隼人、その辺でな。なんか前であったみたいだぞ」
ルーファスに注意され隼人は前に意識を向け直す。
その先にはトンネルの出口のように光が見えた。
一行が勢いよく出た先にはまた新しい大きな空間が待っていた。
「行き止まり?」
「いや、足元に魔法陣がある。何かがあるのは間違いない」
「起動したりしないかしら?」
「大丈夫だと思いますよ綾香。ここは遺跡ですし、この魔方陣は今と違って贄を必要とする古代儀式魔法の陣のはずです。贄となる者がいない以上、起動することはありません」
フィーエルがそう言った直後だった。
ズシン……と、何かが動く音がした。
「何だ?」「おい、嘘だろ」「クソっ! 罠か!」「総員戦闘態勢!」
皇帝派が騒ぎ始めていた。
その方向を見れば、壁に掘られた石像が動き始めていた。
「ゴーレムってやつか? だが、魔紋もなしにどうやって。そもそも、魔力供給は?」
「分かりません。魔力は恐らく遺跡内に漂っているものを取り込んでいるんでしょうけど……」
「漂ってる?」
「ご主人様。以前、魔導工学に関して少しお話したことを覚えていらっしゃいますか?」
「ああ、鹵獲した魔導アーマーを見せてもらった時に話してたやつだな」
「そうです。魔力は命が生み出す言わば生命エネルギー。魔力生成とはその大小は違えど全ての命に与えられた特権です。当然、その中には植物なども含みます。そうして、体外に放出されて空気と同様に漂っている魔力が存在します。魔導工学ではこれを取り込み変換して魔導を発動しているとされています。古の魔法であれば、そういったものを取り込むことも出来るのかもしれません」
事実、ゴーレムらしきものは動きこちらに向かってきている。
古の魔法とやらはこの世界で常識的に語られる魔法とは違うということは間違いないのだろう。
「何にしても、あのデカブツ倒さないとこっちが潰されてしまうな」
「隼人、何かいい策でもあるの?」
「ないよ。綾は?」
「いくらか突いて弱点探すしかないんじゃない?」
「ま、それが一番堅実か……。レイア」
隼人はレイアからスオーネを受け取る。
「取り敢えず、こっちに一体来てるな。綾、手加減なしだ。全力で潰すぞ」
「大丈夫?」
「問題ない。弱点さえ分かってしまえば、連合軍と炎牙で始末できるだろうさ――行くぞ!」
身体強化の魔法を即時発動させる。
隼人は地面を踏み抜き、大きなクレーターを残し消える。
直後、フィーエルたちの目の前には頭が砕かれ後ろに倒れるゴーレムの姿があった。
「流石、ご主人様です」
「隼人って本当に凄かったのね……」
見慣れたレイアは当然の結果だと胸を張り、ガウィンとの戦闘しか見ていないフィーエルはその力に驚く。
しかし、それも束の間だった。
倒れたはずのゴーレムが再生を始めたのだ。
「やっぱり、RPGらしくどっかに核があるとかそういうパターンなのか?」
「その核らしいものも、操ってるであろう術式も見つからないから困ってるんだけど!」
隼人に続き、綾香が再生を始めていたゴーレムに突っ込む。
綾香の持つ刀の刀身に刻まれた魔紋が魔力に反応して淡く光る。
綾香が到達する前に再生を終えたゴーレムは腕を振り下ろす。
それを身体強化で避けつつ、紅蓮の槍を空中に展開し放つ。綾香の会得した魔法の一つだ。
魔法で具現化された槍はゴーレムの関節に突き刺さり動きを止める。ただし、再生能力のあるゴーレム相手では一瞬しか止めることは出来ない。
だが、綾香にはその一瞬で十分だった。
力強く踏み込んだ綾香の剣閃はゴーレムの首を、腕を、足を切り落とす。
ゴーレムは再び転倒した。
「おいおい、なんなんだアイツら」「殿下派の代理人たちだ」
その圧倒的戦闘能力は皇帝派にも衝撃を与える。
何せ、皇帝派の代理人は一人一体ずつゴーレムを相手にしてはいるものの、現状維持が精一杯で一人で圧倒できるほどの力を発揮していなかったのだから。
だからこそ、皇帝派には被害が出始めていた。
「負傷者を下がらせろ!」「治療班こっちに!」「駄目だ! 向こうも押し切られた!!」
殿下派は少数ながら優秀な者を集めていた。故に死者はまだ出ていない。
しかし、無傷で居られるほど敵も甘くはなく、全体の三分の一ほどが手傷を負っていた。
それに対し、皇帝派は数だけ多くてそもそも連携が取れていないことが仇となり、既に死者も出始めていた。
そして、死者が出てしまったからこそ、彼らは新たな悲劇に見舞われた。
「どうする綾。色々、切ったり砕いたりしてみたが、弱点が見つからない。そろそろ、魔力のストックが切れそうなんだが……」
「私も接近して見てみたけど、術式の跡も見当たらないわ」
「ん? おい、地面が光ってないか?」
そう、魔法陣が紅く光り始めていた。
当然だ。この魔方陣は古の儀式魔法陣。贄を必要とするから発動しないのであって、死者があれば発動してしまうのだから。
「マズい!」
気付くと同時に地面に降り立った隼人は全力で跳躍する。
当然、フィーエルの下にだ。
「フィー! 伏せろ!」
フィーエルを抱きかかえると同時、隼人の意識は暗転した。
その日、遺跡の調査に出ていた大部隊は、死者諸共、広間から消え去ったのだった……
皆さんこんにちは。初仁です。
前書きにもありましたが、ろくに更新していないクソ野郎が新作書き始めました。
言い訳は新作「巻き込まれ破壊王は自由に生きる」の方でしているので、そっち読んでください。
最近、ケータイで書くということを覚えました。正確に言うと慣れたって感じですが……
「RelicCode」「才女の異世界開拓記」はPagesで書いている関係でケータイで書いてません(iPhoneなので書けますが、iPhone版のPagesは超使いにくいです)。
ただ、最近、You Tube優先だったせいで書けてないということが良く分かったので、ちょっと、こっち優先気味にしようとは思ってます。
改善されなかったら私の実力不足です(´・ω・`)
では、また次回。