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RelicCode(なろう版)  作者: 初仁岬
Ⅰ.皇都炎上編
15/22

若き師範

変則的ですが火曜日更新です。

来週は月曜に間に合わせたい……

 遺跡の攻略軍一行はラミュリアの環境に慣れるべく、遺跡には突入することもなく数日を過ごしていた。


 ラミュリアは空の都と呼ばれるだけあって、標高の高い場所に築かれた都市であり、無理な進軍を行えば高山病になりかねないとラミュリアの領主、サイ・アズール公爵が攻略軍に告げたためだ。

 実際、これだけの規模になってくると高山病の兆候が見られる者がいるもので、治まるまでの間はここで休むようにとサイが提案したのだ。

 これには皇帝派の長もお互いにここで宿泊するのであれば万全を期した方がいいと判断したのだろう。好意に甘えることにしたようだ。


 長期間、二つの派閥が生活を共にするとなると途中いざこざが起きるのではないかと危惧されていたが、それも無用の心配に終わった。

 皇帝派はその人数の多さからアズール家の敷地で待機していたのだが、対する殿下派は人数が少ないためガーランド家の敷地で待機することになったのだ。

 そして、なし崩しに更に一週間が過ぎた。


 § § §


「ねぇ、高山病対策とはいえ一週間も留まる必要はないわよね?」


 誰もがそう思いつつも、決して口にしなかった疑問を最初に零したのは綾香だった。


「そうなのですか?」

「フィーはあんまり登山とかしないのか?」

「私はしませんね……」


 聞けばアルスティーナ皇国は自然要塞などとアルバレア帝国側から称されるだけあって、とても登るのは難しいと思われる険しい、そして危険な山こそ多くあれど、登山のようなレジャースポットとなり得る山は少ないのだそうだ。

 それ故に、攻略軍にサイが滞在を提案した際に、わざわざ高山病から説明していたほどだ。


「お二人は経験があるんですか?」


 フィーエルの問いに二人は何処へ行ったかと思案する。

 多くの日本人が小学校や中学校の遠足で……というのはあっても、登山と言えるようなことはしないーーと思う。

 山が近かったり、登山が好きだったりすれば別かもしれないが、今のご時世、部屋に篭ってゲーム、外に出てもゲーセン。釣り? ゲームでやれるじゃん(笑)というような有様だ。


 わざわざ、森林浴しに行こうと登山する必要はない。ボタン一つでクーラーが付けば、それだけで森林浴以上に涼めるからだ。


 まぁ、普通とは言えない二人は経験している。経験だけ


「俺は何となく一人で富士山に登ったくらいか」

「私も親に連れられて六甲山に登ったくらいかしら……」

「フジサン? ロッコウサン?」


 結局、それくらいしか出てこなかった。別に趣味という訳ではないのだから当然と言えば当然だが……

 とはいえ、質問した本人は聞き慣れない地名に目を回す。


 慌てて隼人が補足を入れた。


「ああ、俺たちの居た世界の山の名前だよ。ここより少し低いくらいの高さの山だ」

「それと滞在時間に何の関係が?」

「普通は高山病対策で確かに留まるものなのだけど、精々一、二時間くらいなの。私たちの世界で一番高い山だって精々、数日留まる程度のはずよ」


 実際、高山病の兆候が見られた者も今は安定しているようで、元気に外で稽古に励んでいるんだそうだ。

 勿論、回復したとは言え、酸素が希薄していることに変わりはない。王城の近くで稽古しているノリで稽古していた連中は何度か体調を崩しているようだ。


 しかし、誰も気付いていないだけで、事はサイの思惑通りに進んでいた。


「久しぶりだな隼人」


 そう、殿下派が滞在するガーランド家の当主、ルーファス・ガーランドの登場である。

 一週間に渡って土地を借りてはいたものの、ルーファス自身は所用で外に出ていたのだ。


「ルー兄? 何でここに」

「何でって、そりゃ、殿下と可愛い弟の一大事だって言うじゃないか。臣下として、兄として攻略に参加しないわけがないだろう? それに、サイ殿はタイミング悪く騎士団を外に出していて連合軍しか用意できなかったそうじゃないか。救援を頼みたいと連絡があったから、ちょっとばかし時間稼ぎして貰って、こっちに急いで戻ってきたのさ」

「こっちに戻ってきたって……どこに行ってたんだ?」

「ちょっくら、皇都まで」

「アルスティーナに?  なんでまた」


 遺跡攻略で出兵されたタイミングで呼び出されたということになる。


「なんでって、何か爵位を子爵まで昇格させるから皇都を守れとかなんとか。まぁ、断ってきたけどな。我がガーランド家はアズール公爵家に忠誠を誓っているし、皇帝とアズール家が支持する殿下は対立中だからね」


 どうやら、皇帝はこのタイミングでアルスティーナの双璧を成すガーランドを引き入れようと画策していたようだ。


 ガーランド家はその名を知らない者は居ないほどに名の知れた名家であるが、爵位はその知名度と釣り合いの取れない士爵であった。

 功績だけで見れば一つ上の准男爵であれば裕に超え、男爵の功績をも上回る。下手をすれば、子爵にも迫ると言われているほどだ。 


 そのガーランド家が士爵であることには理由がある。

 遠い先祖がアルスティーナ皇国の出来る以前にこの地に存在した国の敗残兵なのだ。


 敗残兵となった彼らは新生アルスティーナ皇国に忠誠を誓い、その身柄は公爵が預かることとなった。今のアズール公爵家とガーランド士爵家の原型である。


 ガーランド士爵家はその伝統故に忠誠に厚く、誠実な者ばかりが当主となり家を継ぐ。ルーファス・ガーランドもその一人だった。


 ルーファス・ガーランドは今のガーランド士爵家から独立して、新たにガーランド辺境伯家を築きアズール公爵家を支えてくれないかとサイ・アズールが打診し、当時の皇帝もそれを認めるほどの功績を一代で成していた。

 にも関わらず、本人は「アズール公爵家にこの身は捧げており、名誉ある地位を使って部下を使うのではなく、己自らがこの身体を使ってアズール公爵家に貢献したい。それに、領地を治めるのなら私のような魔法師よりも聡明な方が大勢いらっしゃる」と言って断ったのだそうだ。


 そんなルーファスを取り入れようとしたのだ。当然、成功するはずもなく、結果的にカウンターを食らう羽目になってしまったが……サイも皇帝相手に意外と容赦ない。


 何にせよ、三大騎士団の一つ炎牙、殿下派の実力者を集めて構成された連合軍、そして、ガーランド家とその門下生たちが参加することになった。

 ガーランド家は連合軍に合流し、ライカ・レイフォルト率いる近接魔法戦闘を得意とした先行部隊と、ルーファス・ガーランド率いる遠隔魔法戦闘を得意とした後方支援部隊の二組に分かれ炎牙と隼人たちを支援するという方向性で固まった。


 § § §


 遺跡は石造りの見るからに遺跡な扉から中へと入っていく。

 この遺跡は元々、調査を終えた遺跡として認知されていたのだが、最近になって新しい通路が発見されたのだそうだ。


 当然、この遺跡はラミュリア領内にある遺跡なので管理は一括してアズール公爵家が担っている。

 普通に考えれば、わざわざ皇帝派に連絡せずに殿下派で調査すればいい様に思えるのだが、これはどこの世界でも共通なのだろうか……色々と国としての制約があるのだ。


 管理は公爵家が担っていても、あくまで皇国の財産という扱いなのだ。

 管理者の特権として、多少の優先権は存在するが、残念ながら聖遺物であるRelicCodeにはその優先権が適用されない。

 見つけた者勝ち。何とも原始的なルールである。


 何れにしても、裏迷宮の入り口までは既に攻略済みで魔物の討伐やトラップ解除は済んでいる。何事もなく入り口へと着くことが出来た。


 裏迷宮と言ったところだろうか……


 入り口へと辿り着いた隼人が最初に感じた印象はそんな感じだった。

 入り口の前は広間になっていて、元々は遺跡を守るガーディアンのようなモノが居たらしい。

 ゲーム的に言うと中ボス用の部屋の様なものだったのだ。

 ボス級の魔物であったことと、遺跡の中間地点であったこともあり隠し扉に気づく事が出来なかったのだ。


「ここからが本番ですか」

「気にするところはそこなのか?」


 裏迷宮ー隼人はそう呼称すると内心で決めたーの入り口を見据える隼人。

 隠し扉と言われても、どこがどう隠してあるのか原型を見ていないが故にまるで想像することが出来なかった。


 隠し扉と言われれば普通なら一人ずつしか入れない様な入り口をイメージするだろう。大きくても一個小隊とか……

 だが、目の前の扉は遺跡の入り口の大きさを遥かに凌ぎ、一個大隊で平然と通れるのではないかと思わせるようなサイズの代物だった。

 そもそも、これは本当に入り口なのか? 初めて見ればただの分岐あるいは廊下にしか見えない。それほどのものだった。


 隼人たちが又聞きした内容によれば、元々は他と変わらない壁で、スイッチを見つけた途端、変形を開始して入り口になったのだとか。


 この世界の魔法は色々な世界の技術を蓄積しているのもあってか大規模なものも多くある。

 これもその一つだ。


 現代日本に住む人々が異世界に来て、まずこれを見たら腰を抜かすだろう。ハ◯ー・ポッターでもここまでじゃないと。


「では、早速進軍を開始する」


 皇帝派の長の号令を合図に、皇帝派と殿下派の両方が一斉に突入する。年始の年男みたいに見えなくもないが、武器を持つ彼らはどこか殺伐としていた。


「俺たちも行くか」


 出来れば無縁でありたかった戦闘。この先が未開の地である以上、ゼロであることは期待できないだろう。

 平和ボケしている高校生には辛いものがある。

 一年の修練は武芸でしかなく、実戦などではなかったのだから……

就活……上手く行かないものです。

まだ一社しか受けてないのですから当たり前ですが、何とか内定を決めておかないと来年バイト先にパート採用して貰わないといけなくなります。

いい加減な店長と店長代理には、出来ればこれ以上お世話になりたくないので新卒採用どっかにして貰いたいところですね(でないと、トコトン使われて就職どころじゃなくなってしまう気がする)。

そんなこんなで、久々の更新です。

YouTubeの更新も再開しているので、時間ないッス……

明日の「才女の異世界開拓記」もまるで書き終わってません。

だけど、今日はこのあと明日の動画の仮編集を済ませエンコードし、本編集を済ませ、明後日以降用に「ゼルダの伝説 時のオカリナ」「アサシンクリード オリジンズ」の収録をして、更に明日の分書き上げないといけません。

その上、来月のMF〆切に合わせて新作書こうとしてるんですから、頭を抱えたくもなります……

せめて就活の不安だけでも払拭できれば……

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