ある日の夢
ふと気が付くと、僕は真っ暗な空間に立っていた。
自分の身体ははっきりと見えるのに地面すら見えない。
ここはどこだろう、とりあえず歩いてみる。
歩いて、歩いて、歩いて、歩いて、歩いて、歩いて、歩いて、歩いて、歩き続けた。
どこまで歩いても見える色は黒。
でも足は不思議と止まらなかった。
どれくらい歩いただろうか、ふと気づけばすぐ近くに女の子が立っている。
5,6歳だろうか、とても幼く、そして可愛らしい顔をしている。
真っ暗な空間の中でもなぜかわかる黒い和服を着ていた。
その女の子は僕に無表情で手を差し出した。
僕はその手を握りまた歩き出した。
果てのない空間を二人で手をつなぎながら歩いていく。
歩いて、歩いて、歩いて、歩いて、歩いて、歩いて、歩いて、歩いて。
どれくらい歩いたかもわからないほどに時間がたって気が付いた。
歩いている先に大きな渦が見える。
真っ暗な空間でなおさらに深く黒い何かが渦を巻いている。
あそこに行ってはいけない、本能で分かった。
足を止めようとする、出来ない。
引きずられている、だれに?
隣を見るとにったりとおぞましい顔で笑う女の子が僕の手を引っ張っている。
全身に寒気が走った。
振りほどこうとする、出来ない。
渦は近づいてくる。
ありったけの力を込めて抵抗する、意味がない。
渦はもう目の前。
無我夢中で叫びながら後ろに戻ろうとした。
すると自分の肩からぶちっという音がして。
目が覚めた。
なんだ夢かと安堵する。
そして気づく、一人暮らしのはずなのに隣に誰かいる。
脳裏に女の子の顔が浮かぶ。
恐怖で僕は隣を見ることができなかった。
朝まで目をつむり、震えながらすごした。
そして、朝になって右肩をみるとはっきりと右手の手形が残っていた。




