感謝の言葉
……早く、逃げなくては。
全身が生傷だらけで火傷のようにヒリヒリと痛む。そんな身体を引きずりながら、私は路地裏の細い道を必死で走っていた。
知らずに“ヤツら”の領域に踏み込んだのが失敗だった。
……背後から徐々に気配が迫ってくる。
しつこく追っては来るものの、なんとか今さえやり過ごせば諦め去っていくような短絡的な連中だ。
――ガチャ!!
突然、真横の建物の扉が開き、反射的に身を引いて止まってしまう。
そこには老人が立っていて、驚いたように私を見ていた。
……まずい、このままではヤツらに見つかってしまう!
不安気に顔を見ていると、老人は悟ったように「大丈夫だよ」と優しく微笑みながら私を部屋の中に招き入れ、パタンッと扉を閉めた。
その優しい声音に敵意は無く、心底安心できた。
私はそんな命の恩人に精一杯の感謝を伝える……
「ニャ~オ」
ฅ^._.^ฅ