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パラサイト戦記  作者: 五月雨拳人
第一章 生きる目的と、その意味
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第七話 慢心

 熊の身体を乗っ取った俺は、もはや森の王と言っても過言ではなかった。

 この身体を傷つけられる者はこの周辺にはおらず、俺は他者を一方的に捕獲し喰らう事ができた。

 最強とは、こういう事なのだろうか。

 自分の命を脅かす他の存在がいないというのを最強と呼ぶのなら、今の俺はまさしく最強だった。

 こうして己の強さに自惚れていた俺は、まさに怖いもの知らずだった。我が物顔で森を歩き、あらゆる木に己の縄張りを示す爪痕を刻んだ。こうして森は完全に俺の支配下となった。

 だがそれは、そう長くは続かなかった。

 熊の身体を手に入れてから二度目の秋を迎えた頃、俺は縄張りの水辺を遠く離れた山の奥に足を踏み入れていた。この身体は食い扶持がかさむので、縄張りを広げる事にしたのだ。

 山の中は、今までいた森や水辺と違い未知の領域だった。俺は最初は警戒しながら進んでいたが、すぐに緊張の糸が切れ、森の王者らしく堂々と歩くようになっていた。

 そうして新しい景色や空気の匂いを堪能していると、やがて日が暮れた。そして日が沈み、空に月が昇ると、どこかで遠吠えが聞こえた。

 狼の鳴き声だった。

 狼は、水場では滅多に見かけなかったが、その恐ろしさは十分伝え聞いていた。本来なら、警戒すべき相手だ。

 だが己を最強と疑わず完全に油断しきっていた俺は、致命的なミスを犯した。

 気がつけば俺は、狼の群れに囲まれていた。

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