第三話 ステップアップ
プランクトンの身体を乗っ取った俺は、さらに大きなプランクトンに食われ、食った相手を乗っ取るという行為を繰り返した。
こうして徐々に大きく強い身体と高い知能を手に入れ、俺自身も容れ物に応じた身体に成長していった。だが所詮は食物連鎖最底辺のプランクトンだ。強さも知能も高が知れている。なので俺は、次の段階に進む事を決めた。
身体の大きさも頃合いだと判断した俺は、捕食される相手をプランクトン類から、上位のもの――魚類に移す事にした。
小魚から始まり、徐々に大きな魚へと身体を乗り換えていく。
さすがに魚はプランクトンとは違い、一応は脊椎動物だ。骨格と筋肉に裏打ちされた運動性能。そしてその内部に詰め込まれた内臓は、これまでとは比べ物にならないほど複雑な機能を持ち、それぞれが絶妙なバランスで繋がっている。
生物としてワンランク上がったという事は、当然中枢となる脳も高度になったというわけで、これまでのプランクトンのように簡単にすべてを掌握するというわけにはいかなくなった。
しかし、数をこなすうちにそれにも慣れた。そして大型の魚をいくつか渡り歩いたのち、
俺は陸に上がる決意をした。
1時間後に第四話を公開します。