絶対安全圏
絶対安全圏から
世界をみていた
泣いたり怒ったり
羨んだりしながら
絶対安全圏から
出ることなど考えて
いなくて
出る必要もないと
思っていた
私の中でひとつ、またひとつ
小さくなるのを感じていた
かつてはとても大きく
潤うこともあれば
熱を帯びることもあった所
痛みかなしみ
苦しみをおぼえた所でもあって
それが少しずつ小さくなって
形だけ残って
クナクナと動くほどになって
それでいい
と
それじゃダメなんだ
を
何度も行き来して
大きな流れに遭って
数年分泣き明かしたら
絶対安全圏から
出てみたくなって
声を出してみたくて
触れてみたくて
確かめたくて
怖いを胸奥に結んで
傷つくより傷つかないまま
生きる方がよっぽど怖いと
言い聞かせて
ぎこちない踏み出し
早速転んでしまったけれど
気を取り直して
クナクナ動くものが
ポキリと折れるかも
しれない
一歩引き下がる足
折れたら治せばいい
いくらでも何度でも
一歩前へ出る
成るように成さ