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夏生詩集3

絶対安全圏

作者: 夏生

絶対安全圏から

世界をみていた


泣いたり怒ったり

羨んだりしながら


絶対安全圏から

出ることなど考えて

いなくて


出る必要もないと

思っていた


私の中でひとつ、またひとつ

小さくなるのを感じていた


かつてはとても大きく

潤うこともあれば

熱を帯びることもあった所

痛みかなしみ

苦しみをおぼえた所でもあって


それが少しずつ小さくなって

形だけ残って

クナクナと動くほどになって


それでいい

それじゃダメなんだ

何度も行き来して


大きな流れに遭って

数年分泣き明かしたら

絶対安全圏から

出てみたくなって


声を出してみたくて

触れてみたくて

確かめたくて


怖いを胸奥に結んで

傷つくより傷つかないまま

生きる方がよっぽど怖いと

言い聞かせて


ぎこちない踏み出し

早速転んでしまったけれど

気を取り直して


クナクナ動くものが

ポキリと折れるかも

しれない

一歩引き下がる足


折れたら治せばいい

いくらでも何度でも

一歩前へ出る


成るように成さ












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― 新着の感想 ―
[良い点] この詩を読んで、「傍観者」というワードが頭の中に表れました。 心地良い居場所があるから、その先に進む決断は難しいと感じました。
[良い点] 絶対安全圏にずっと居られたら、少しずつは薄れていったとしても、穏やかな幸福の中で生きることができるのかもしれません。 それでも、安全圏を出ることがどんなに怖くて震えても、苦しくても、自…
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