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虚像3
虚像3
「皆、弱い部分を持っているのよ。俊介君の目には強く見えても、強く見えているだけの事。本人にしてみれば、様々な葛藤を抱える不安定なもの。心とは不安定なものよ。」
宮田小百合が優しい口調で言った。
「不安定な心を守る為には、テクニックも必要ね。」
「テクニック・・・ですか。」
宮田小百合は大きく頷いた。
「人から何か言われた時、環境によりプレッシャーを感じた時。心に対する攻撃がなされた時、それを受け流したり、受け身をうまくとる事が重要だと思うわ。俊介君は何事も、真正面から受けてきた。それは真摯に生きてきたと言えるけど、無抵抗に攻撃を受け続ければ、いつか限界を超えてしまう。これからはもっと自分を大事にね。」
「その通りじゃ。うまく防御し、理不尽な攻撃に関して、カウンターを打てるようになれば、上出来。相手の心配ばかりしていては、身動きが取れなくなる。どのように防御するのかは、経験によって学ぶ事ができる。カウンターの力加減もな。」
清水は悪戯っぽく笑った。