表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ソウル2  作者: 宮川心
6/24

不確かな生きる覚悟5

 不確かな生きる覚悟5


 名前を呼ばれ、診察室に通される。失礼します。声を掛けてから中に入ると、いつものように、優しい微笑みを浮かべた宮田小百合が応じた。


「こんにちは。青葉君、体調に変わりないかしら。寒くなってきたから、喘息が少々心配だけど。」

「喘息の方は落ち着いています。生活習慣もあまり変化してません。23時頃に寝て、9時くらいに起きる感じです。」


 小百合は頷くと、母親の方にも俊介の様子を確認する。


「喘息で苦しそうにしている場面は無かったと思います。ただ、睡眠時に大きな呻き声を上げる事があって、それが心配です。」

「なるほど。これまで積み重なっていたストレスや、今の心の葛藤も影響しての事だと思います。俊介君、朝起きてから寝るまでの間に、眠気や疲労感を感じる事はありますか。」


 再び俊介に顔を向けた。


「疲労感や眠気を感じる時がありますが、以前ほどではありません。日中は本も読めているし、集中力は持続していると思います。」


 8月の段階では、本も読まなかったし、テレビを見る気にもなれなかった。集中力が続かないし、何もしていないのに体が疲れていた。テレビでも、今年の就活の様子だとか、経済の話題が出ると、気分が果てしなく沈むので、見る気にはなれなかった。最近は徐々に慣れてきている。ような気がする。


「そうですか。睡眠の質も大きく悪くなってるわけでは無いようですし、特に治療方針も変える必要は無さそうね。うん、順調にエネルギーは回復してきていると思います。薬は前回と同じです。それでは、また2週間後にお会いしましょう。」


 ありがとうございました。母親と俊介が診察室を出ようとすると、小百合が慌てた様子で引き止めた。


「あっ、ちょっと待って下さい。忘れる所でした。今日は俊介君にお客さんが来てたんだ。少々お時間頂いて良いかしら。」


 俊介は困惑顔で頷くと、母親、俊介、宮田小百合の三人で診療所の駐車場へ向かった。小百合さんの今日の診察は俊介が最後だったらしい。駐車場に目を向けると、7人は乗れそうな黒塗装の車が止まっていた。窓も黒く、中の様子は窺えない。その車の後部ドアが静かに開く。


「久しぶりじゃの。青葉俊介君。」


 車から降りてきたのは、清水会長だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ