クリスマスには大切な人にハートを捧げよう5
クリスマスには大切な人にハートを捧げよう5
2190年12月24日、23時45分。SE監視機関。
敵の猛攻はすさまじいものだった。数が多いだけでなく、個体差は見られるが、今までに観測されたリバーシが比較にならない強さだった。防衛ラインを守るのは、優秀な隊員ばかりだか、じりじりと押されている。
「本部より連絡。1100mラインが押されている。SEPが危険レベルに達している者も多数報告されている。1100mラインは放棄する。危険レベルに達している者から優先的に、800mラインへ後退を開始せよ。」
寺田満は険しい顔をしている。
「遠距離攻撃でだいぶ消せたが、まだ9万はいるな。」
本部の通信員は、現場に休む事無く指示を出している。負傷者が増え、隊員の顔にも焦りの色が見えている。しかし、死亡者はゼロだ。新井愛華の指示で、殺す事を禁止されているのだろうか。負傷者を必要以上に追撃する様子も見られない。
「リバーシのSEパターンの解析は進んでいるか?」
「残存リバーシ9万2310体の内、7万126体のパターンを特定しました。」
分析員長が汗を拭いながら答える。100%ではないが、これ以上は待てないな。
「SEパターン認識ミサイルを使用する。隊員は直ちにリバーシから距離をとれ。」
SEパターン認識ミサイルは、対象のSEパターンを入力すると、その対象を追尾するミサイルだ。対象を正確に狙い撃ちする事ができる。そちらが手加減していても、こっちは手加減するわけにはいかない。悪いね。寺田はスクリーンを睨んだ。