2/24
不確かな生きる覚悟1
不確かな生きる覚悟1
2190年12月。あの8月の暗闇の中、不思議な老人との出会いから数か月が経過した。清水さんと出会わなかったら、今頃どうしていただろうか。あのまま死んだように生きていたか。生き地獄から解放されて、永遠の安息を迎える事になっていたか。どちらにしろ、今の自分は存在しなかっただろう。
不思議な老人がもたらした新たな選択肢は、吉か凶か。やっぱりあの時死んでいれば良かったと、思うかもしれない。道のりは途方もなく長く、険しいだろう。でも、せっかく拾ってもらった命だから、こんな自分でも大切に思ってくれる人もいるから、今は生きてみようかな。
後ろ向きで、なんとも不安定な生きる覚悟だ。しかし、それでも生きている。それで十分なのよ。宮田小百合はそう言っていた。