クリスマスには大切な人にハートを捧げよう1
クリスマスには大切な人にハートを捧げよう1
2190年12月24日、22時16分。浅間第二小学校 体育館。
青葉隆は体育館の入口に立っていた。
「いったいなんで、俺はこんな所にいるんだよ・・・。」
警察署から連絡を受けて、クリスマスケーキを電光石火の勢いで食べてから、体育館へと向かった。何でも、大規模な殺人予告があったらしい。殺害予告を受けたのは全国で総勢3000名・・・。そのせいで、イブを楽しんでいた大勢の警官が招集され、こうして警備している。
「どうせイタズラでしょう。3000人なんて、バカげてる。何でいちいちそんな事に真面目に対応してるんだか。」
隣で警備している同僚が文句を言っている。
「何か確証があるんだろうな。上は何も教えてくれんが。確証もなく、こんな物騒な警戒態勢を敷くはずないからな。」
体育館の警備は厳重だった。怪獣でも攻めてくるのかと突っ込みを入れるほどだ。ここの警護対象人数は63名。警備にあたる警官は、拳銃やらマシンガンを装備している。狙撃手も配置されている。体育館周辺道路は封鎖されている。嗅ぎつけたマスコミも、包囲網の外で騒いでいる。警察はマスコミに対して、テロリスト襲撃に対する訓練とか説明しているが、苦しい言い訳にしか聞こえない。こんな日の夜に訓練など・・・。
「しょうがない。こんな大事になっているんだ。何かある事は確実とみていいだろう。気を引き締めよう。」
「真面目だな。青葉さんは。まあ、そうですね。」
一体何が攻めてくるのだろうか。ありもしないような敵を想像して、自分の妄想に青葉は苦笑した。