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ソウル2  作者: 宮川心
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NO.xji4321新井愛華事件1

 NO.xji4321新井愛華事件1


 2190年12月24日、20時34分。SE監視機関 会長室。


 清水恭介はデスクであるレポートを読んでいた。NO.xji4321新井愛華事件。何度も読み返し、事件解決の糸口を掴もうとしていた。



 NO.xji4321新井愛華事件。2180年6月1日発行。この報告書は、当機関に所属していた新井愛華について解説したものである。彼女は死亡後に、自我を持ったリバーシとして転生したとみられる。現在の行方は不明。新井愛華は2157年4月1日に誕生。父親は当機関に所属の新井智弘である。2176年4月1日に当機関に入隊、新井智弘の弟子である坂上陽一さかがみ よういちに指導を受け、二刀流使いとなる。


 新井愛華のリバーシ転生の引き金になったのは、恋人の死であると推察される。新井愛華の恋人、江川徹えがわ とおるは高校教師をしていた。彼は学校の問題児である川上圭吾かわかみ けいごが所属するクラスの担任であった。彼は川上圭吾と真剣に向き合い、更生に尽力していた。


 しかし、ある日、川上圭吾が高校に持ち込んだタバコを江川が没収、その事で口論になる。階段近くで川上圭吾と掴み合いになり、はずみで江川は突き飛ばされ、階段から落ち、頭を強打し、瀕死の重傷を負う。病院に運ばれた江川は、駆けつけた新井愛華に対し、川上をかばう言葉をかける。治療の甲斐なく2179年5月2日に、江川徹は死亡した。新井愛華は江川の思いを汲んで、川上に憎しみを抱きつつ、その気持ちを抑え込んでいた。川上圭吾は江川の死により、今までの行いを反省し、更生したかに思えた。


 事件からしばらくたった後、川上が新井愛華に対して、謝罪に訪れた。江川の家にも線香をあげにいった事が確認されている。川上が反省の色を見せ、更生へと向かっている事を感じ、川上に対して恨みを持ちながらも、江川の思いは伝わったのだと納得した。


 しかし、その後の2180年5月14日。新井愛華がファミレスで食事をとっていると、川上とその仲間が来店、川上は新井に気づかなかった。川上はひそひそ声で話を始めた。その内容は、江川が死んでせいせいしたというものだった。新井の所に謝罪に行ったのも、江川の家にも線香をあげたのも、形だけの謝罪であり、更生している振りをしているだけだった。

 

  それを知った新井は、ファミレスに置いてあったナイフで川上を襲うが、もみ合いになり、ナイフは新井の胸に刺さる。救急車で病院に運ばれたが、新井愛華(23)は死亡した。川上は新井を刺した後、逃亡。新井愛華が刺されたとの連絡を受け、両親とSE監視機関の新井愛華と面識のある隊員数名が駆け付けた。駆けつけた隊員は、溝端明みぞばた あきら寺田満てらだ みつる坂崎綾香さかざき あやか伊東美咲いとう みさきの計4名。


 新井愛華死亡から2時間後、新井が刺されたファミレス付近にて、リバーシの出現を確認。そのリバーシのSEパターンが、当機関に登録済みの新井愛華のSEパターンとほぼ一致した。その報告を受けた新井智弘と溝端、寺田、坂崎、伊東の計5名が、簡易型ノアを使用し、第二世界層へ移行した。第二世界層へ移行した5名は、速やかにリバーシを追跡、発見した。発見場所はファミレスの北、4キロ地点にある倉庫街。第13倉庫内にて、既に死亡したと思われる川上圭吾と、リバーシを発見。リバーシが川上圭吾を殺害したものと思われる。


 発見されたリバーシは記憶の混乱が見られるものの、SEパターンや言動などから新井愛華と推定された。新井愛華はファミレスでの出来事を証言し、川上圭吾を殺害した事を認めた。新井愛華は、混沌の中で救いようのない穢れた魂の数々に出会った事。その体験や川上圭吾の件から、腐った人間はどこまでも腐っている、その事が良くわかった。そう証言し、これからは腐った人間を排除する事を宣言した。

 

 立ち去ろうとする新井愛華を止めようとしたが、失敗。新井智弘、溝端明、坂崎綾香、伊東美咲が死亡した。4名については、DNA判定、指紋等から本人であると確認された。寺田満は重傷を負ったものの、生還している。リバーシとなった新井愛華の様子は、生還した寺田満の証言を元に作成した。


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