3000通のクリスマスカード3
3000通のクリスマスカード3
2190年12月24日、20時19分。SE監視機関 最高評議会。
To 親愛なるSE監視機関の皆様
今夜0時。クリスマスを迎える瞬間、3000の穢れた魂を狩ります。我々の邪魔をするならば、迷いなく剣を抜く事になるでしょう。穢れた魂を守る為に、命を捨てる覚悟があるのなら、気が済むまで盾となるが良い。しかし、彼らに守る価値はありますか。今夜、裁きを受ける3000名のリストを添付しました。どのような判断を下すのか、慎重に議論して下さい。
From 新井愛華
最高評議会には重苦しい空気が立ち込めていた。
「悪戯ではないでしょうな。各地に脅迫文が送られていると、政府から報告がありました。彼女は本気でしょうな。」
議長が緊張した声で言った。
「なめられたものですね。こんなに丁寧に予告するなんて、彼女に勝算があるとは思えないけど。」
「彼女は機関に所属していた。我々の兵力は良く理解しているはず。そして、彼女は聡明な人物だった。対策は十分に練った上で、挑発してきたのだろうな。真意は何だろう。」
「真意は何にせよ。やる事は決まっているでしょう。彼女のターゲットをなるべく、避難所等に集約し、その施設に隊員を派遣する。3000人を個別に警護するほどの人員は割けませんからね。」
同意の声があがる。
「SE監視機関の警備も強化する必要がありますね。3000人をフェイクにして、こちらを直接攻めてくる可能性もありますから。」
わざわざ、クリスマスの日を選んだ理由はなんだろうね。苦笑まじりに誰かが言った。
「理由を考えるのは、後にしましょう。とにかく時間がありません。まずは、ターゲットの所在を確認。その後、ターゲットを臨時の避難所に誘導する。ここまでは警察に任せましょう。我々はそれぞれの避難所にチームを派遣。SE監視機関の周囲にもチームを配置する。この案に賛成の者は挙手を。」
全員の手が挙がる。
「それではこの方向で作戦を進めます。」