3000通のクリスマスカード1
3000通のクリスマスカード1
2190年12月24日、18時45分。青葉家。
テーブルには、クリスマス・イブらしい豪華な品々が並んでいる。青葉美紀は料理が得意で、どれもおいしそうだ。ラザニア、グリルドチキン、フライドポテト、ナゲット等全て手作り。青葉涼も料理の手伝いをしていた。グラスに飲み物を注ぎ、乾杯する。
「さすが、どれもおいしそうだ。美紀も涼もお疲れ様。」
メタボ気味で、ヘルシーな料理を余儀なくされている隆も、今日ばかりは我慢しない。
「涼もだんだん、手際が良くなって来たわね。彼氏にも喜ばれるわね。」
「涼。もう彼氏がいるのか。」
咳き込みながら、父が尋ねる。
「残念ながら、いません。」
涼がむくれながら答える。
「ふ~ん、そうなんだ。でも、彼氏が出来る日もそう遠くないわよ。涼にちょっかい出してくる男の子がいるらしいじゃない。」
けしからんな、と言う父は寂しそうだ。
「あらあら、お父さん。今からそんなだと、結婚する時大変ね。」
美紀はコロコロ笑っている。
「そう言えば、俊介。この前、清水さんと何か秘密の話をしたそうじゃないか。」
父がさらりと話題を変えた。
「う~ん。秘密という程の事ではないんだけどね。アルバイトを紹介されたんだよ。あの研究所関連のカウンセラーのお手伝いらしいんだけど、体調が安定したらやってみないかって。」
「なるほど。カウンセラーの手伝いか。面白そうだけど、やるとしても無理するなよ。」
「うん。ありがとう。清水さんは体調の事も考慮してくれるみたいだから、大丈夫だよ。まだ、詳しい話は聞いてないんだけど、今度聞いてみるよ。」
そうか。どんなアルバイトなのかな。そう言いながら、色々と想像を巡らせているようだった。