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花火大会

作者: 尚文産商堂

花火大会があるという。

そのことを俺は、友人からのメールで知った。

そして、こないかの文字。

どうせ、男ばかりだろうと思って、適当に付き合ってやるかと考えた俺は、そこらにあった半袖パーカーを着込み、待ち合わせ場所へと向かった。


「うぃーっす」

待ち合わせ場所では、3人ほどいた。

「おう、待ってたぞ」

メールをくれた当人が、喜んでくれている。

それはいいとして、女が一人いた。

「で、こちらはどちら様?」

俺が聞くと、友人が紹介してくれる。

「ああ、俺の従兄妹。高見っていうんだ」

友人の紹介で、彼女を見る。

高校生の感じがする。

「同い年なのか」

俺は、友人の背中に隠れ、じっと見ている高見を見た。

「いや、1歳下になるな。妹みたいに可愛がっててな」

はっきりいえば、この時の友人のデレ顔を写真にでもとっておけば良かったと後悔している。

それほど骨抜きにされていた。

「住んでるのは全然違うところなんだがな。今日は遊びにきてくれたんだ」

俺を警戒しているようで、友人の背中から出てこようとしない。

「それで、花火大会ってのは」

俺は高見から話題を変える。

「おう、1万2000発の大花火大会さ。午後7時半に開始で、その30分前から開場だそうだ」

今は午後6時前だ。

そうなると、1時間ほど暇になる。

「出店とかもかなり出てるから、見回るだけで十分楽しい物だよ」

友人が教えてくれる。

「他に誰か来るのか」

「ああ、何人かメール回しておいた。もうちょっとしたら来るだろうさ」

その言葉通り、6時になるまでにさらに3人やってきた。


「場所取りは任せろ。いい席を確保しておけるからさ」

そう言って友人は、さっさと会場へと向かって行った。

高見はゆ人についていったので、ここにいるのは野郎ばかりである。

俺らも、散り散りになって、それぞれ何かを買って、花火の見物会場のところへと急ぎ足で向かう。

後10分だ。


「おう、待ってたぞ」

友人が、会場の入り口のところで待っている。

まだ半分ほど埋まっているぐらいだ。

「買ってきたぞ、諸々な」

とは言っても、一人1種類、人数分を買うことになっているから、それぞれバラバラのものを買ってきているはずだ。

「焼きそば、たこ焼き、オムソバに、牛串焼きだな、今のところ」

「牛串焼きか、それ、俺全部もらうわ」

「買ってこいよ」

俺が友人に行ったら、笑って返された。

「あ、場所はあっちな」

指さした先は、関係者席と書かれていた。

「おまえ、関係者だったか」

「ちょっとツテがあってな」

詳しくは聞かないことにした。


俺と入れ替わりに友人は、何かを買いに行った。

すでに何人かがパイプ椅子の一角を占めている。

「こっちこっち」

誰かが呼ぶ声が聞こえる。

振り向くと、高見が手を振って呼んでいた。

その横には、もう買い終わった奴らが座っている。

「おまたせ。ほれ」

俺が買ってきたのはお好み焼きだ。

「7人分ともなると、かなり高くなるな」

「花火大会の見物料としては、まあまあでしょ」

誰かが俺に返すが、薄ぼんやりとしている席だ。

誰が話したか、いまいちわからない。

空いている近くのパイプ椅子に腰を沈めて、戦利品をみんなに分ける。

今回の集まりの主催者の分は、高見に渡しておく。

「んじゃ、よろしく」

「わかりました」

一応受け取ってくれるが、それからは、なんとなくそわそわしている。

なにか声でもかけてやろうかと思ったが、やめておいた。

可愛い子に嫌われるのはゴメンだ。


「おーう、もうすぐ始まるな」

友人が帰ってきて、フランクフルトを食べながら話した。

「あと2分てところかな」

時計を確認して俺が言う。

「んじゃ、それまでに」

全員に、そう言いながらフランクフルトを配る。

「あんがとな」

そのころまでには、一通り食べ終わっていたから、そのままフランクフルトを食べ始める。

カラシがかかっていないのがありがたかった。


2分後、放送がかかる。

「ただいまから、観光花火大会を始めます」

それから1発目が光る。

「緑色…緑色って何だっけ。硝酸バリウム?」

「そ」

友人に聞くとそっけなく答えられる。

それからは、黙れと言う目線に圧倒されて、何も言わずに綺麗な花火を見続ける羽目になった。


「楽しかったねー」

高見が興奮気味に言う。

みんなが帰っている中で、俺たちはまだ座っていた。

「炎色反応の話は、無しな」

俺が言う前に、友人からくぎを刺される。

とはいっても、それ以外の話だ。

「これからどうするんだ」

「カラオケにでも行くか、このメンバーで」

「オール?」

オールと言うのは、簡単に言えば、朝までカラオケするということだ。

オールナイトの略だとかいわれているが、真偽は定かではない。

「いいけど」

俺はみんなの顔を見る。

すっかりと電気がついて明るくなっている会場で、みんなは行きたいと言う顔をしていた。

「じゃ、行くか」

友人が言うと、すぐそばのカラオケ屋を携帯を使ってチェックを始めた。

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