私だって死ぬよ?
あずきは体をだらんとさせ椅子から滑り落ちる。上向きに地面に倒れたあずきの胸には黒い血が流れ、口元からも真紅の血が垂れている。
「⋯あずき?」
あずきの瞳は静かに閉じた
「あずき!!」
そばに膝を下ろして、あずきの体を揺らし、人形のように白い頬をぺちぺち叩く、あずきの眉にしわができ、微かに目を開けて、中指を立てた
「痛い。あと静かにして、今死んだふり中」
それだけ言うと目を閉じる。
「まずいところを撃たれたからいったん死んだふりして、他に気を取られた隙に、あいつを撃ち殺す」
あずきは唇を閉じたまま、弱い風が吹けばかき消されそうな声で俺に伝える
そういうもあずきの胸の出血は止まる気配が無く、まだ血は流れ続け俺の服にまで届いている。
死んでいるような顔つきをしているので、喋っていなければ今実は死んでいるのではと、焦燥感にかられる
「生きてる⋯よな?」
返事は帰ってこない。きっと完全にサンタが見なくなるまでずっとこうしているつもりだ。そう信じたい
「あずき」
小さい声で呼んでみるもあずきは返事をしない
怒られてでもいいからあずきの頬をもう一度叩いて、生きているか確認したい。
そう思い、あずきの頬に手を伸ばした、その時、スナイパーライフの銃声が響いた。
そして、あずきの頭に弾丸が撃ち込まれ完全にあずきは動かなくなった
「あずき!!!」
どれだけ体を揺さぶっても、頬をきつくたたいても。何も生きている様相を見せない
頭の中でなぜか、いつも友達とやっていたゲームが思い出されれる。
「何がなんでも確殺はしろよー。そうしないと、だましてくる敵もいるからな」
俺が良く言っていたことで、仲間に徹底させていたことだった
「ああ⋯なら」
その言葉には続きがある
「確殺したら残る敵を殺して終わりよ」
トナカイが投げるプレゼントの爆発音が響く。
殺される前にサンタを撃てばいい。もちろん操縦経験は無い。それでもこれまでやってきた数々のゲームで何百人もの敵をこういった重工型で殺してきた。
体が勝手に動き気づいた頃にはすでに銃口をサンタに合わせていた。サンタも俺を狙っている
二人の引き金は同時にひかれた
迫撃砲反動は簡単に俺の体を吹き飛ばし、地面にたたきつけられた。
瞼が重く、消えていく視界の中で、サンタクースが燃えているのが見えた
やったのか⋯⋯いや、そう言ったら、また新しいサンタがやってくる気がする⋯
俺はそっと目を閉じた
「ここは⋯」
体が重い。ゆっくり視界を見渡すと見慣れた自分の部屋だった
「あいつ夢落ちは無いって言ってたのに結局夢じゃねえかよ」
目を擦り、スマホを見ると、時刻は午前6時半、一時間くらいにしては濃い夢だった。
「どうせ夢ならサキュバスの方がよかったなー。いやあずき洗いでもロリと喋れたのはデカかったか」
お姉さんもいいが、やっぱり幼女系も捨てたもんじゃない。家をでるまであと一時間くらいあるので、楽しもうかと、常備してあるティッシュに手をやると、小豆が落ちていた
「え⋯」
恐怖で体が固まる。すると上から小豆が落ちてきた。一つ⋯二つ。どんどん勢いを強め、滝のように落ちてくる。そして、小豆の滝の中からあずきが出てきた
「ひぎゃ!!」
あずきは俺の口を冷たい手で抑え込み黙らせる
「夢落ちエンドは無いって言ったでしょ」
「え、じゃああれはガチ?」
「二回目にサンタクロースが私を撃った時、私の体はすでに死んでたんだよ」
あずきは自分の物のように虹色に光る俺のゲーミングチェアに座る
「だから君の体に憑依してサンタクースを撃った。たまたま君もサンタクロースを撃とうとしてたから気づかなかったと思うけど、勝手に体が動いたでしょ?」
「まぁそう言われれば」
「君は思ってた以上によくやっただから君は私の家来にしてあげる」
「いや、そういわれても俺まだ学生だし」
あずきは椅子から立ち上がり、俺に近づき拳銃を突き出した
「私の家来になるか、妖怪の存在の口封じのためここで死ぬか」
選択肢は無いに等しい
「なります。ならせていただきます」
あずきは俺の答えを知っていたかのように、頷いた。
これが俺と妖怪⋯いや、あずきの気に触らないようかっこよく言えば
「妖し少女あずき」との出会いだった




