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妖し少女あずき  作者: 椎名 園学


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5/10

じゃあ今までもらったプレゼントは誰からもらったと思ってるの?

「あずき!!」

「大丈夫。まだ遠いからもう一発撃つ時間はある」

ほぼ反射のように、あずきの名前を呼んでしまう。けれどあずきの顔は変わらず冷静でやはり妖怪らしく、血が通ってないように静かな顔をしている。

迫撃砲の着弾地点は白い泡を上げながら海面が丘の形をして吹き上がる。その上空をサンタクロースはトナカイに鞭を打って通り過ぎる

「あの、だいぶ早そうだけど⋯」

「大丈夫。一発目はあえて外すのがあずき洗いの礼儀だから。今度は外さない」

あずきはその小柄な体でスコープ付近についている歯車を回すと、機体からぎりぎり機械的な音が鳴る。

後ろに積まれていた弾倉銃弾を穴に詰め込む。

「打ち方よし」

そのまま、操縦席に乗り込むと取り付けられている持ち手を力いっぱい引いた。

爆音とともにでる威力が機体が後ろへ下げ、弾丸が放たれる。弾丸雲ができ、そのまままっすぐサンタクロースに命中した。当たるないなや爆発を起こし、空中に煙や赤い炎が舞い上がる。トナカイや焦げたそりがボロボロ崩れ落ち日本海に墜落していった

「やったか⋯」

「その呪いの言葉を言ったら失敗するよ」

あずきが手を払いながら操縦席から降りてくる

「けどあれは確実にやっただろ」

「まあ、あいつはやったよ。あいつはね」

何か意味ありげな言葉であずきは終わったのにも関わらず、また弾丸を手に抱え穴に詰め込む

「なんだ確キルもあずき洗い流の礼儀なのか?」

「君が兵隊だとして、敵基地に襲撃するとき一人で挑むことは無いでしょ?」

いやな悪寒が背中に走った。勘違いであることを深く望んでゆっくりと再び広大な海に目をやった。確かに撃墜したサンタクロースを海上で煙をあげて燃えていた。だが、薄灰色の雲から、さらにいくつかの影が姿を見せた

「⋯あれ全部サンタってことは無いよな⋯」

「当たりだよ。私が今回叩くサンタクロースは計四体。そのうちの残るは三体」

当然かのようにあずきは言う。すでに雲から現れた赤いサンタは先ほどの者とは比べ物にならないほど速く向かってきていた

「ペンギンは安全かわからないとき、弱い個体をまず初めに海に飛び込ませる。そんな感じでサンタクロースも最初に来るのは遅くて弱い個体」

つまり今から来るのは速い個体⋯

何をすべきか生き延びるため最善がわからず、喉の奥から重い焦りがやってくる

先頭でやってきたサンタクロースがついに陸の上空を過ぎたとき、再びあずきは引き金を引いた

爆音の迫撃砲など気にもならず、俺はただ迫ってくるサンタクロースを見続けていた

サンタクロースは爆音に反応して、向きを変える。だが弾は微かにトナカイに当たった

当たった途端先ほど同様爆発が起こる。黒くやけたサンタが落ちてきた

「⋯ま、まああずきが来る前に全員打ち落としてくれるよな」

あずきの言った通り、弾は確実にサンタに当たっている。この調子で行けばサンタクロースがこっちに来るまでに全員撃ち落される⋯

視線は依然サンタにやったまま、掌を当てて祈った⋯⋯が、嫌なものが見えた

残る二人のサンタは白く大きい袋に漁り、リボンで閉じられたプレゼントを乱雑に破り捨てると、中からからライフルを取り出しこっちを狙った。俺が狙われていると直感で感じ、電信柱に身を隠していると⋯弾丸は鋭く放たれ迫撃砲を貫いた。迫撃砲はさっきのサンタクロースのように音をあげて爆発する⋯

「あずき!!!」

最初にあずきが弾を外した時とは比べ物にならないほどの声が喉から出てきた

返事はない。ガソリンの燃える汚い匂いと、燃えている機体があるだけだ

「あずき⋯」

出会って数時間しかたっていないがあずきがいなければ勝てない相手であることは、体が分かっていた⋯

茫然と立ちすくみ、目が焼ける迫撃砲を離さない。すぐに黒い煙が目に入り、痛みの涙が垂れた

「私が死んで悲しんでるの?」

後ろから声がし体がびくっと跳ね電信柱から飛び出る。跳ねた体を俺の体をあずきは掴み、電信柱の影に連れ戻した。間髪を入れず弾丸が飛んでくる⋯弾丸は見事に俺の体が出ていた場所に突き刺さっていた

「これで貸し1だね」

「いや、そんなことより生きてたのか?」

「私を見捨ててすぐに隠れた君みたいに、私も迫撃砲をすぐに見捨てて、すぐに隠れたんだよ」

顔も声も平常。だが言い方が絶対に怒っている⋯⋯

「すいません⋯」

「ここからが君の出番だよ」

あずきは俺の顔を見て

「っさおとりの出番」

何を言うよりさきに、あずきは強く俺の胸を突き放した





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