トイレに現れる妖怪は少ないんだよ
弾丸がいくつか体をかすり、体が震えてしまう
「やっぱ人間の体じゃ、動きにくいなぁー」
いくつも空いた風穴から、見える浅田さんは、自分の頬をぷにぷに触りながら、、拳銃に弾丸を詰めなおしている。弾丸がやんだのを確認して、あずきは風穴に拳銃を突きつけ、躊躇なく浅田さんに引き金を引いた。浅田さんは人間とは思えないようなうねりで、次々とあずきの弾を避けていく。
すべて弾を打ち尽くしたが、太ももに一発だけだ
「ちょっと、やめてよ。この人クラスメイトなんでしょ?気づつけずに仲良くいこうよー」
浅田さんは血が流れる自らの太ももを指で触り、口に運んだ。いつもの素朴な笑顔が一転して、恍惚とした顔で体を震わせた
「あずき⋯浅田さんってもう⋯」
「まだ死んで無い、乗っ取られてるだけ」
リロードを終え、あずきは今度は扉を開け、浅田さんを狙う。
「きゃあーやめてよー」
作ったように感じる悲鳴で、両手をあげながら浅田さんは、玄関の方へ逃げていく。
乾いた銃声が何発も連続で繰り返されるが、照明やインテリアに当たるばかりで、浅田さんに当たることが無いまま、浅田さんは玄関を出た
「あずき、追うか?」
あずきは弾を拳銃に込めながら、
「それはそうだけど。何かおかしい」
「というと?」
「あめふらしが妖怪度1にしては強すぎる。私の弾を避けることができてたし」
「あずきのエイムがさがったんじゃないか?」
最初合った時も何発も学校に向かって撃ち続けていたし、あずきの銃の精度は正直、そこまで良いとも思っていない。
「ならいいんだけど」
ところどころ弾丸が撃ち込まれて散らかった、ガラスの破片を慎重によけながら玄関を出た
来るときは雲一つない快晴だったのに、外に出てみるとさっきまでのが嘘だったかのように、大粒の雨が降っている。きっと逃げたあめふらしの仕業だ。
エレベータが一下がっているのを見て、あずきは非常階段を指さし、そのまま二人は階段を走り降りる
「ていうか妖怪って言う割にはサンタもアメフラシも近代武器使いすぎじゃないか?もっとこう妖怪的なのを期待してたんだけど」
「近代武器を好んで使う少数派だよ。サンタクロースは私が迫撃砲使ったから、それを壊すためにプレゼントで武器を出したみたいだったし、あめふらしは、多分あれが初めての射撃だよ。至近距離で場所も狭かったのに、全部外れてたから、多分銃の反動になれてなかったんだよ」
「けどあれも怪異かなんかで銃出したわけだろ?」
「いや、アメフラシの妖術じゃ銃を出すことはできない。あの銃は私のやつだよ」
「え?」
素の声が漏れ、雨の冷たさか背筋がぞっと寒くなる
「多分どこかで盗まれたんだと思う。けど弾は私じゃないと出せないから、撃ち切ってないもできなかったんだよ」
「じゃあずっと俺たちのこと知ってたってことか?」
「多分はじめからバレてたと思う。きっとトイレで話してた時も、あいつは盗み聞きしながら
トイレに銃を構えてたんじゃないかな。正確な位置がわからなかったから撃たなかっただけで」
首筋が震えたのが分かった。浅田さんを殺す殺さないのことを言っていた時も、浅田さんはそれを聞いて、俺たちを殺そうと銃を構えていたのか⋯
「あめふらしは準地縛霊みたいな感じで、とりついた人間が良く行くところしか基本的に行けないから、まだ近くにいるよ」
階段を降り切り地上荒くなった息を直して終わると、あずきはすぐに動き出す。
黙ってその後を追いかけていく。体を濡らす雨がどんどん強く、次第に痛く感じできた
「もう近いよ」
左右に分かれる道をあずきは迷うことなく右に曲がる。あずきはすぐ足を止めた
目の前にはいきなり柿の木が現れた。木の枝で浅田さんは首をつっていた




