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妖し少女あずき  作者: 椎名 園学


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13/13

高いマンションに住んでる人は地震とか考えないのかな

「⋯それって言うのは人間の死ぬみたいな感じで?」

「妖怪がどんなふうに死ぬって思っているのか知らないけど、人間の死ぬってこと。二度と動くことは無い」

「⋯それ以外の方法はないのか?」

仲が良いわけでもなく、自分が好意をもっているからという薄い理由でもなく、ただ身近な人が死んでほしくない。⋯ばまだ好意を持っているという理由の方が深い気もしないではない⋯ただ、自分が関わったせいで、知っている人が死んで欲しくない。今までのようにいて欲しい。それだけ軽いもの

「アメフラシは妖怪度が1と示すように戦闘能力自体は決して強くない。君でも殺すことができる。ただ特性として人間にとりついたら心の内部まで入り込み、宿主に害を与えずに殺すのは難しい」

あずきは俺にYES.NOで答えない。それは絶対的にNOであるということを示す⋯

「アメフラシって名前の通りただ雨を降らせるだけなんだろ?」

視線を合わせず、トイレのタイルに話しかけるように聞く。あずきはしっかり俺の目を見て

「少し違う。本体だけならできることは何もなくて、人間にとりついて初めてその人の周りだけで雨を降らせることができる。とりつかえれた人がいわるゆ雨女、雨男になる」

「なら別に殺さなくてもいいんじゃないか?雨男女って言ったって、ちょっと気分が下がるくらいだし」

「ここに来るときも言ったことだけど」

あずきはトイレから立ち上がり、表情を殺すと

「私は今回のアメフラシを人間に害をもたらすから殺しに来てるんじゃない。殺せば報酬が出るから来てる。ただそれだけ」

「依頼金は二万円だよな⋯もし俺が二万円をあずきに払ったら殺さなくても済むのか?」

多分俺の声は震えていたと思う。あずきの非人間味が個室の中で、漂って俺に伝わってきた

「殺さないメリットが、依頼金額を含めて私がもらうはずだったメリットを上回らない限り殺す。依頼金2万円はベースとして、私はこういった少額の依頼を平均して月に五回受ける。少額な依頼は受けたからにはこなせて当然と思われている風潮があるから、もしここで依頼をこなさなかったら、今後評判が落ちて依頼が回ってきにくくなる。仮に月平均3回に落ちるとして、今の私の状態上月五回は今後5年間は確実にこなせるから、得れるはずだった二万円×ニ回×12か月×5。240万円は払ってもらう。さらに、生きていく以上お金は必要だから、妖怪度の高い妖怪の殺害依頼を受けることになり、それでかかるであろう治療費10万×12か月×5年で600万。現在計842万円。さらに妖怪度の高い妖怪には徹底した調査が必要だから調査費用が⋯」

「あ。やっぱり殺してもらって結構です」

話途中からどんどん口が開いていき、瞬きしかできることがなくなってからは、もう浅田さんのことより払うかもしれないお金のことで頭がいっぱいになった。どうせ浅田さんと付き合えることは無いし、もし死んでも、俺の頭の中で生き続けてくれるから、夜布団で困ることは無い。うん、大丈夫。

諦めたらすっと頭が楽になり爽やかな気分になった

「そういう諦めが良いのは一見人間味が無いように見えるかもしれないけど、実は一番人間臭いね」

あずきは高島さんの顔に戻してトイレの水を流す。

「じゃあ山田君が気を引いてる瞬間に私がやる作戦で!!」

天然に見える人口の笑みを見せて、あずきは扉を開けた。目の前で浅田さんが拳銃をこちらに構えていた

引き金は扉が開ききるより先に、放たれる。弾丸が俺の脳天に当たる寸前にあずきは俺の袖を引っ張り、弾丸は頬をかすめた。

「あ⋯やっちゃった。人間の体はやっぱり動きにくいねえ」

あずきはすぐさま扉を閉める。浅田さんいつもの素朴な顔で笑って見せて、さらに引き金を引き続けた




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