33 ホセ…②
…俺たちは、宿屋に戻ってこれからの行動計画について話し合いをしてる…んだけど、全然進まねぇ……!!
「いや、もしかしたらユーゴが見つけるかも知れないだろ?俺はユーゴも信じる!」
「…ホセがそう言うなら私は見つからないと思う」
「何でだよ!?」
「そこは見つからないと考えて決めた方が俺は良いと思う…かな?」
「…だよね。ホセのは只の考え無し」
「だから何でだよ!!」
…ミカドはともかく、エニアの意見は絶対におかしい。
…何で俺だと絶対に間違ってる感じなんだよ。
俺が正解の時だってあるはずだろ……!
ホセはエニアに腹を立てたが、力関係では絶対に勝てないので口に出せなかった。
「まあ良いや…でも、地の縄張りに行くって考えたとして、どんな感じで行ったら良いんだろ……?」
…行ったら敵がわんさか?いるんだよな?
「あそこ嫌いなんだよなぁ」
「嫌いっていうか…厄介な所」
「厄介…分かる!そう、厄介なんだよな!コソコソ嫌がらせしてくるし。しつこいし…。ギルドに手を回しやがって…あいつ等のせいでロス兄から睨まれたんだよ!」
…金…あいつら金しか見てねぇもんな。
少し考えただけで、ホセもミカドもエニアも…地の縄張りの奴らに対する、負の感情が溢れてくる。
『地の縄張りの奴らはムカつくからといって殴り掛かってくるタイプじゃないからな』
「ロス兄はああ言ってたけど…。俺は…アレコレ裏でコソコソと動くような奴らは苦手だし嫌い!」
「私はホセくらい苦手かな…」
「おい!エニア!ちょいちょい俺を弄るなよ!」
「うーん…じゃあどうする?」
「うーん…いやいやエニア!?どうするって…俺に聞かれても困るって!ミカドは…!?」
良い考えが浮かばないホセはミカドの意見に頼りたいと思って顔を見た。
「ん、ユーゴに聞くのがいいと思う。元々地の縄張りにいたんだし、子供を隠す場所に心当たりとかあるかも…」
「だよな!俺もそう思う!」
…流石ミカド、良い考えだ。
自分よりも頭の良い仲間がいると、本当に助かるなぁ……。
「エニアは?何か無いのかよ?」
「…私は…ロスさんに聞くのが良いと思う」
…ここでまた、ロス兄かぁ。
…エニアはロス兄の事をかなり頼りにしてるよなぁ…まぁ、俺もそうなんだけど……。
「ロス兄…確かに相談できれば俺達だけで考えるより、もっと凄え案を考えてくれそうだけど…」
「うん、でもロスさんは今回関わりたく無さそうだったし…」
「……だよなぁ」
ロスの事が話題に出ると、ホセもミカドも途端に口が重くなる。
2人とも、失敗したと思っているのだ。
そして…話し合いが進まないまま、ユーゴが合流する時間になってしまった。
…進まなかったのはエニアのせいだ!
…ロス兄と行動するようになって、俺達は大事なことは全部ロス兄に相談してきた。
…そしたら全部簡単に解決するんだからびっくりするし、知らず知らず任せっぱなしにしてた。
…前は俺たちどうやって決めてたっけ?
ロスに任せきっていたせいで、以前の事がうまく思い出せなくなっていた。
「それで?やっぱり居なかった?」
「いやいやミカド!?ユーゴだって見つけてるかもしれねぇじゃん!?」
「あぁ見つからねぇ。もう捜すっていってもどうすりゃいいか…ヘクターの爺さんも元気がないしよ…」
「ほんとに見つかってないのかよ…」
…まあ、ユーゴも元気が無いみたいだし、がっかりしてるんだろうな…。
…ロス兄の仕事仲間を脅して金を騙し取ろうとしていた悪党だけど。
…心の底からクズじゃない…と思う。
…ミカドはまだ信用するなって言ってたけど……俺は信用したいんだよなぁ。
ホセはミカドほど現実主義者ではない。
どちらかといえば感情で動き、人情で判断するタイプなのだ。
「心配すんなよ!次は地の縄張りに子供を捜しにいくからな!」
「え…それは…」
…何か反応がいまいち?
「え?何か嫌だった?怪しい奴の本拠地だぞ?調べれば見つかるんじゃないか??」
「ホセ、ユーゴは行きたくないんだよ。えーと、俺達は地の縄張りに詳しくないから教えて欲しいんだけど、何処かここならって心当たりとかない?」
…そうか、ユーゴは行きたくないのか。
何で……?
ホセの疑問は解消されないまま、どんどん話は流れていく。
「あんなとこ…危ないのに…。俺は絶対に止めた方が良いと思う!」
…うおっ!
いきなり大っきな声出すなよ…びっくりするだろ……!?
「…ユーゴ、うるさい」
「あ…あ……」
「ふはっ…エニアにビビってるなぁ。まぁ、気持ちは分かるけどよ。ユーゴは頭を潰されたもんな」
これまでの経験から、ホセは妙な親近感をユーゴに感じる。
…ふっ…エニアが怖くてビビる気持ち、俺もよく分かるぜ…?
「それで?どこか知ってる?」
「あ、あぁ。…でも基本的に俺らはギルドにしか呼ばれた事が無かったからな。ギルド以外は…」
…考えるユーゴを見てたら、何かこう…閃きそうな……そうじゃな……!
…えっと…ギルド以外…ギルド…!?
「分かった!!一番怪しいの、ギルドの中じゃね!?」
「…!?ギ、ギルドの中!?!??」
「何それまんまじゃん」
「何だよエニア!あ…はは〜ん、お前、俺の天才的な閃きに嫉妬してるんだろ!ぶははは」
「ぶん殴る…今からホセを…!」
「あ、いや…何でもありません…すみませんでしたぁ…ちょっと、ちょっと調子に乗っただけだろ……」
…な、何だよエニアの奴…そんなに睨まなくても良いだろ?
「そうは言うけどよ、エニアだって他に思い付かないだろ?それに、合ってる気がすんだよな…そう思うだろ!?」
…俺の意見だっておかしくないはずだ、そうだろ?ユーゴ…。
「いやいや…あの、さぁ?それはちょっと分かんねぇけど。どうだろうな…?」
「なんだよ!違うのかよ!?乗ってくれねぇのかよ!?」
…俺の意見にユーゴなら乗ってくると思ったのにな…。
「ユーゴでも分からないか…。なら、やっぱり直接探らないと無理かぁ…」
…ミカドの奴…凄え嫌そうだな…。
…でも、逃げてたらいつまで経っても見つからないんだよな………。
「やっぱ、簡単には解決できねぇのかな…?くそ…だからってこのままじゃ…何も変わらねぇだろ!?」
…迷っても分からないなら!
…やるしかねぇ!!
「どっちにしても動かないと何にもなんねぇんだ!やるしかねぇんだよ!」
「「「……………」」」
「な…なんでみんなして無言なんだよ!
動かねぇと何も起こらないし、変えられねぇだろうが…!」
…え?だからさ……?
…いや、だってそうだろ……?
自分の熱い想いにみんなが乗ってくれなくて、ホセは段々とトーンダウンして行く。
「あ、あれだ!よ、夜になったら俺は行くぞ!?」
…なんだか反対されそうだけど、俺は…ここは譲らないからな…!
「…はぁ」
「おま…!…いや…く」
…くっそエニアの奴!
…もしも俺がエニアより強かったら絶対にキャンキャン言わしてやんのに…!
…怖くて文句言えねぇから今回は許してやるけどよ…?
…まぁ?反対はされなかったし、夜に様子を見に行くってのは決定か……?
「ホセの案だし不安だけどさ、他に出来ることが無いのも確かなんだよな…。今回はホセにかけてみようか…みんなどう思う?」
「…かなりギャンブルだと思う」
「お、俺はよく分かんねぇけど…行くんなら覚悟決めて行くぜ?」
「よし、じゃあ…一か八か。ホセの案で動いてみよう!」
「お、おう…?これ、喜んで良いんだよな?な??」
「…………」
…な、なんで無視すんだよ。
寂しいだろ……?
そうして微妙な雰囲気のまま、夜まで時間を潰す事になった。




