28 差し出される手…①
身体が熱い。
これは…体調を崩しているのは明白ね。
はぁ………はぁ………。
身体の節々が痛い…。
「ザハグランロッテちゃん。美味しいデザートの店があるらしいから行ってみようよ」
これは…現実なの……?
この手は…私に…?
現実味のない光景だ。
私に伸ばされる手……?
そんなものはまやかしだ…少し目を逸してから見れば、どうせ幻のように消えている。
私の欲しかったもの……。
夢のような…幻のような…。
ありもしない伸ばされた手を…私はやれやれと仕方なく掴む。
あ……。
消えてしまった。
分かっていた…それでも寂しい…。
私には無いものだ。
初めから…そんなものは無いのだ。
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ここ…は……?
ああ、そうか…私は熱にやられているのだ。
どうという事も無い。
喉が…痛い………水、少しだけ冷たい水が欲しい……。
一人は嫌だ…一人は……。
ああ…水…水だ……。
少しだけ冷たい……………………。
「今日も仕事かぁ。俺が仕事してる間、暇じゃない?今日も先に本を借りに行こうか」
落ち着く声……私の好きな声…。
身体が熱い…このまま一人…私は一人………。
手だ…差し出された手だ……私に…?
まぼろし…どうせまぼろし……すぐ消える…。
………?
何も考えられない……頭がぼーっとしている……。
朦朧……………………。
「お腹空いたなぁ…ザハグランロッテちゃんはお腹空いてない……?今からご飯食べに行こうか」
お前は……まぼろし…。
都合の良い……消える…がつけば…。
幻でも…私は……。
どうすれば消えない……?
手を……私の…。
「楽器弾きたいけど街中だと怒られちゃうからさ、山に行こうと思うんだけど一緒に行こう!」
幻だ…消える……嫌だ…消える…私は一人……?
いつ……?
怖い…消える手が……私の幻が……。
熱……?長い…いつまで…?
手だ……あいつの手が見える…幻の…いつか消える………。
「仕事も終わったし、お風呂入りたいな。火の縄張りに温泉があるらしいよ。ザハグランロッテちゃんも行こうよ」
なん、だろう…いつも……私だ…いつも。
手を…消えないように……。
幻でも……。
嫌だ……嫌だ…消え……。
「そろそろ新しい服を見に行こう…え?大丈夫だよ!ザハグランロッテちゃんの服なら何着あってもいいと思うよ」
そんなもの……私は……お前が、…。
「今日は夜の『木かげ』、居酒屋にご飯食べに行こうかな?ザハグランロッテちゃんはどう思う?」
幻……どうせ幻だ…私の…私に……そんな…、…どうせいない…。
その手を……掴めば…消えない?
「あーあ、また仕事かぁ。いつもの本屋に行こう。結構長い時間待たせてるけど、仕事待ってるのつらくない?」
そんなの……私は…一人……いつも一人…………。
また手を……引かれ…。
幻…どうせ消えるまぼろし………。
「ザハグランロッテちゃん…」
私は手を…引かれる。
嬉しい……私は、この手が……私を引っ張るこの手を手放したくない




