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25の4 カルルの憂鬱…①

7月下旬


旦那の方も金を払うと言ってから数日が経ち、俺は女に呼び出された。


金を工面するにしては早ぇ気がする…。


もっと時間が掛かると思ったが…アレか?泣き落としで勘弁してくれってやつか?


減額、それとも気が変わって払わないって言うかも知れねぇな。

舐めたこと言うようなら力ずくで犯す!

女にぶち込んでやる。



ああ…たまんねぇ。


金を払わねぇのは許さん。

でも、舐められたら手ぇ出しても仕方ねぇよなあ?


ターゲットの女を思い出すと下半身が疼いて歩きにくくなった。

呼び出しの理由は分からねぇが、気分はヤルつもりで滾ってきたな!


しばらく妄想で下半身を肥大させていると、少し冷静になってきた。


呼び出した理由か…あまり良い話じゃあねぇんだろうな…。

行ってみたら白金貨5枚をサッと払って来るとかなら最高だけどな。


そしたらそのまま娼館に直行できる!


俺も嬉しい女も不幸から開放されて嬉しい、最高の展開だ!

俺はあの女の不幸を見なくて済むしな!


まあ、あの女は家族ごと詰んでる。

俺の損は心配する必要ねぇだろう。


「それにしても…暑いな…」


なんだこの暑さは!

このクソ暑い中歩かせやがって…胸くらい揉ませやがれ!


ユーゴは地のマフィアに飼い殺されてる半グレだ。


俺は日中の行動が極端に少ないんだよ!

目立てば奴等にボコボコにされるからな…クソ野郎共が!!


俺みたいな屑は、どいつもこいつも暗くなってから蠢き出すんだよ。

ああ暑い…嫌になるほど暑い!


もう夏だから暑いのは当然だが、当たり前でも平気じゃねえ、暑いものは暑いんだよ!


こんな暑い日に歩かされ、俺は嫌な話を聞きに行くんだぞ?

女にぶち込むくらい、屑の行動なら可愛いもんだろうが!


言っとくが、地のマフィアどもより俺の方がマシだからな!





「それで?金の用意が出来たから呼んだんだろうな?」


全く期待してねぇが、プレッシャーは掛けとかねぇと。

女だけかと思ったら、旦那まで居やがる…これじゃあ襲えねぇだろうが!クソが!


俺の前にはカルルという女、それからシークスという旦那だ。

見えないが、奥にはシャルルという娘も居るだろう。


「あ、あの…」

「その事なんだが」


女が上手く話せないのを見越して、旦那の方が俺に話し掛けてきた。



「支払いを少し延ばして欲しい」


やはりな…。

くそ!旦那がいるから襲えねぇ!!

イライラさせんじゃねぇよ!!


「それは無理だ!俺にも都合があるって言っただろうが!相手だっているんだぞ!?」


俺の相手は地のマフィアだぞ…。

俺みたいなちんけなチンピラじゃねぇんだ!!

お前らが払わねぇと、俺が死ぬ方がマシな目にあうんだよ!!


「勝手な事を言いやがって!お前等の娘がぶつからなかったらこんな事になってねぇんだよ!」


女を取り上げられたせいで、苛立ちが止まらねぇ!!

微塵も感じていねぇ憤りを演出するのも面倒くせぇ!!


面倒くせぇが、この苛立ちをぶつけりゃ勝手に勘違いすんだろ!!


このまま優位に運んでやる…!


「仕事を増やしてお金を払う。今日まで1週間だが白金貨2枚分は用意した」


「はぁ…?」


そう言って旦那は俺の前に中身の詰まってそうな小袋を『ドンッ』と置いた。


「は…?」


何だこれは…?これが白金貨2枚分…?

凄ぇ大金じゃねぇか!?

いや…違うだろ!そうじゃねぇよ!!


これだと足りねぇ!

俺が奴隷コースだろ!?



「ダメだ!1か月しか待てない!俺だって支払いがあんだよ!」


絶対に折れねぇ!全額1ヶ月で支払わせてやる!!


「もう2か月待ってくれるなら、白金貨を、あと5枚払える」


「は…?」


白金貨5枚って何だ?

あと5枚ってのは追加で5枚って事か?

何だそりゃ…馬鹿にしてんのか??

お、落ち着け、何か間違ってんじゃねぇか??


「……もう2ヶ月待って5枚?」


合計5枚か……?

いや、あと5枚?追加で5枚??

くそ!こんがらがってきた!!

ムカつくぜ!!


「この白金貨2枚とは別に用意する」


「ちょっと待て!!は、白金貨5枚ってのは合計で…7枚か…?」


「そうだ」


「そんな…」


なんだ?何を企んでいる?

そんな美味い話があるか……?

怪しい!こいつは絶対に罠だ!!


とりあえず今ある金は回収しておかねぇと…。


ユーゴがお金に手を伸ばすと、旦那のシークスがスッとお金の入った小袋を自分の方へ引き寄せた。


「てめぇ!舐めてんのか!!」


「支払いを延ばせないなら、このお金は一か八かで増やすのに必要になる。だから渡せない」


「馬鹿かテメェは!?一か八かだとぉ!?ギャンブルでもするつもりかよ!!」


頭イカれてんのか!?

ギャンブルなんかで金が増えるかよ!



「もちろん可能性は低いだろう。だが、時間の猶予は貰えないのだろう?なら、それが確率の高い唯一の方法だろう」


小癪な…!

このままだと白金貨2枚がギャンブルに消えちまう!!

何だコイツは!馬鹿なのか!?!?


「残りの時間で白金貨をあと3枚用意するのは無理だ。足りなければ0と結果は変わらないんだろう?ならこの2枚が有っても意味は無い」


変な覚悟を決めやがって!!

どうするどうするどうするどうする!?


お、落ち着け!

いったんきちんと考えろ…!


この家族が文無しでも、奴隷に堕とせば白金貨5枚には恐らくなる。


ここで白金貨を2枚手に入れて…3か月後に白金貨5枚なら、用意出来ても出来なくても…計画より白金貨が2枚多く手に入る…。




……何だ?そんなに悪くねぇのか?


それに…支払えるなら、俺もこれ以上罪悪感に悩まされない…。

…悪く…無いよな?


いや!いやいやいやいや!

騙されるな!!

そんな美味い話があんのか!?


でも白金貨2枚分の金は、確かにここに有る…2ヶ月後?

こいつらが文無しでも奴隷に落とせば白金貨5枚……。


損はしねぇな…?


「よーし分かった!そこまで言うなら待ってやる!!けど2ヶ月だ!それ以上は絶対に待てねぇからな!」


「分かっている………。このお金も必死に用意したものだ…残りも必ず…」


今だ…!!


「へっ…!お前が自分から言ったんだ…白金貨5枚。必ず支払ってもらうぞ………このお金があれば、向こうも俺の言い分を聞いて2ヶ月くらいなら待ってくれるだろう」


もうここにいる意味は無ぇな!

用は済んだ、サッサと帰ってこの金の使い道を決めねぇと!


そうしてユーゴは白金貨2枚分のお金が入った小袋を受け取って、カルルの家を出た。

お金の入った小袋を懐にしまい、熱い直射日光を浴びながら考える。


悪い話ではない。

受け取った金の中から幾らか地のマフィアに渡せばいい。

渡す金額についても大体の当たりはついている。


『お前なんか奴隷に堕ちても良くて金貨2枚か3枚だろ。それ以上勿体無くて出せねぇよ!はははっ!』


これは飲み仲間の奴隷商人から言われた事だった。


つまり、今回の件で失敗したとして、俺が奴隷になっても組織が手にする金は、多くて金貨3枚が限界って事だ……。


なら俺が金貨5枚渡せばどうだ?


俺を奴隷にした場合より、お金を多く手にする事になる。

組織に損は無いはずだ。


それから2か月待てば白金貨5枚…。


行けるんじゃねぇか?

たぶん……交渉はできる。


自分の考えを整理しながら、ユーゴは実現可能だと納得していた。

そして、少しずつ心が浮ついてくる。


組織に金貨5枚渡したら、まだ残りの白金貨が1,5枚も有るじゃねぇか!?

それにしても暑い…。


死ぬほどダルい暑さだが…ははっ!

ビールだ!!今日はビールをたらふく飲んでやる!!


この暑さに冷えたビール…。

上手いだろうなぁ…。

あー早く飲みてぇな!!


飲んだら次は女だ!!

いや?女が先か??

まさか俺が、こんな贅沢な事で悩むなんてな!!


ユーゴは太陽を見てニヤけていた。


真っ昼間だけどよ…酒を飲むには明らかに早過ぎる…。

こんな時間に飲む酒は格別に美味いんだよなぁ…。


金ならある!

組織に渡してもたっぷり残るぜ!!

ははは!!俺にもついに運が回ってきたかぁ!?


ユーゴは今しがた手に入れた、金の入った小袋を、服の上から『パンパン』と叩いてほくそ笑んだ。


『パンパン』『パンパン…』『パンパン……』『…………』……??

あれ…?確かに…ここに入れたよな…?


そこにある筈の、懐を暖める金の感触が無く、代わりに不安がユーゴの胸の中で大きく膨らんでいく。


嘘だろ…?


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■内容はほぼ同じですが、性的描写を省いていないバージョンです


【R18】因果の否定、混沌の世界でハッピーエンドを渇望する物語



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