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22 転換期…②/③

「くふふ…。なるほどぉ…このイビル種を人型に戻したいと…くふふ…」


「…………!?」


リヴァイアスの言葉に、ロスは聞き逃せない大きな引っかかりを感じた。


こいつ今なんて言った…?


頭に滑り込んだ言葉は、理解するよりも速く『ミカドを牽制しろ』と本能が訴えかけてくる。


ミカドは…!?

抑えないと…!

いや、手は動かねぇんだ…!?


磔にされていて手足が動かせない事を思い出したロスは、焦りながらミカドに視線を向ける。


ミカド…!

今は落ち着け……!


そんな心配を、ロスの大事なザハグランロッテが先回りして、代わりに解決してくれていた。



「おい…お前は大人しく黙ってなさい。それともお前が喋れば状況が良くなるとでも?」


今にも食って掛かりそうだったミカドを、ザハグランロッテが冷たく止めた。


冷たい声色、冷たい澄まし顔で、たっぷりと皮肉を効かせながら、前のめりになっていたミカドを黙らせていた。



流石にもう少し手加減してあげて…?


結果はともかく、ザハグランロッテの発したキツい言い方と言葉は、ロスには我が事のように感じられた。


キツい…。


まるで自分の心をゴリゴリと削られている様な錯覚で居た堪れない。

せめて本題に集中しようと意識をザハグランロッテから切り離した。


蛇ちゃんの事に集中……。

集中だ…。


「人型に戻せる…のか?」


そもそも元は人間だった…のか……?

あいつ…『人型に戻したいのか』と言ったよな…。

それって……。


イビル種の蛇ちゃんが、元は人間だった…という可能性を想起させる。


確かに、ミカドは蛇ちゃんが元々人間だったという感じの話をしていた。


半信半疑で聞いてた…。

それにプラスで大精霊の言葉である。


俄然信憑性が増してくる。

ミカド程では無いだろうが、ロスの中に『人に戻してやりたい』という気持ちがムクムクと大きくなっていった。


蛇ちゃんのために…。

ミカドのために…。


頼む…!!



「くふふ…出来ますよぉ…」


「マジか…ははっ!」


ロスは思わず笑い声を上げた。


蛇ちゃんが人に…?


ミカドが人の姿の蛇ちゃんと笑い合う姿がロスの脳裏を掠めた。

とても幸せそうな場面だった。


ホセが、エニアが、〇〇が、△△が、□□が、✕✕が、……みんなが笑っている場面だ…。



…………。


何だ…今の…??

思い出のような記憶に、ロスは強い疑問を感じた。

思い出みたいなイメージか……。


とにかく…出来るのなら頼みたい。

そう思うロスより速くリヴァイアスは続く言葉を喋りだした。



「ですが……それは、私だけでは無理ですねぇ…くふふ…」


は…?

何だよそれ……!?

いや、できないとは言ってない…。


ここに来て、ミカドと蛇ちゃんの助けになりたいロスは思っていた。


必要な情報と、それを得るための手段を模索し、そして逃さないようにとロスの頭は高速で回転を始めていた。


リヴァイアスだけでは無理…?

もしそうなら条件が厳しすぎる…。



確認したい…。


「リヴァイアス……無理ってのは、お前以外に誰か一緒にいないと出来ないってことなのか……?」


もしもそうなら条件がキツい…。


「それとも、お前が何かした後、他の人にも頼まないとダメなのか?」


こっちなら…。


「くふふ…」


勿体ぶるようにリヴァイアスは笑っている。



「大精霊のくせに情けないわね。実は小精霊なのかしら?」


ロスの疑問と被るようにザハグランロッテの声が耳に届いた。


独り言みたいだけど…。

ザハグランロッテちゃん、今リヴァイアスを煽るのは止めてほしい…。


大精霊が相手でも変わらない態度の彼女がとても愛おしく見える反面、恐ろしくもある。



人に戻す条件…。

ここはハッキリとさせておきたい。

前者なら難易度が高すぎて実質不可能…。

後者なら難易度は高いが達成の可能性はある…。



「くふふ…私に出来るのは大きさを人型の質量まで戻すくらいですねぇ…くふふ…」


それってつまり…。


「小さくなるって事か!?」


「そうなりますねぇ…くふふ…」


よし…!

悪くない……!

それなら…街に入れるかも知れない…。



「一度小さくなるとどうなる?」


「小さいままですよぉ…?もう大きくはなれませんねぇ…くふふ…」


大きくなれない…。

つまり…大幅な戦力ダウン…。


ロスの中で、この時点で小さくする案は消える。

戦力ダウンすればザハグランロッテを危険から守れないからだ。


でも…今回はミカド達の事だ…。

俺の利益は関係ない…。



リヴァイアスが蛇ちゃんを小さく出来るなら…。


「人型に戻すのは、誰に頼めばいい?」


おおよその見当は付いているが、一応確認が必要だった。


「くふふ…それは他の大精霊どもですねぇ…くふふ…」


予想通りの答えに、目的の難しさが如実になった。


さて…どうしようか…。

この案件で、ミカド達の扱いはかなり難しくなってしまった…。


今回の件を実行すれば、ロスがミカド達と関係を維持する一番の理由、都合の良い戦力が無くなってしまう。


個人的にはデメリットが大き過ぎる…。

けど、恐らくミカドは蛇ちゃんを人に戻したいと思うだろう…。


自分の利益を度外視しても…。


人に戻すのは無理じゃないか…?

大きい蛇ちゃんがいないと他の街には辿り着けないんじゃないか…?


ホセとエニアはどう考える…?

ミカドは一人でも行きそうだな…。

戦力が落ちるからやめた方がいい…とは言えないしな…。


さて…。




これはミカドたち次第だな……。


「お前らはどうしたい…?」


「そんなの…ミカドの為だ! やるに決まってるだろッ!?」


「…私も、そのほうが良い」


真っ先に答えたホセに、ロスはため息が出る…空気は読めないけど、ホセは仲間思いなんだよな…。


ホセもエニアも反対の素振りさえ見せなかった。



「なら、問題も考えないとな」


そう言ってロスは事実と問題点を一つずつ簡潔にあげていった。


蛇ちゃんは人型に戻れる

戦力が大幅ダウンする

他の大精霊に会わなくてはならない

他の街に辿り着く戦力が無い


ミカド達の問題だ…。

自分達で決めるのが良いだろう…。



「関係無ねぇよ! 俺は仲間が喜ぶ方がいい!!」


「私も…それに蛇ちゃんだって私の仲間だから…」


一番の問題である他の街に辿り着けない…というのは、取り敢えず棚上げには出来る。


無理そうなら諦める…という選択も…落ち着いた時なら出来るかもしれない…。



だから…。


「良いんじゃないか? ミカド」


ロスはミカドの本音を引き出そうとした…。


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■内容はほぼ同じですが、性的描写を省いていないバージョンです


【R18】因果の否定、混沌の世界でハッピーエンドを渇望する物語



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