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転生してもホラーにビビりまくるとは!?  作者: 半田捨句
プロローグ ~旅立ち~
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4.邂逅

 焚き木の爆ぜる音で目が覚めた。火はちゃんと消えずに残っていて安心した。手帳を再度確認したが、内容が追加されていることもなければプロフ欄が読めるようにもなっていなかった。

 草を敷いて作ってあった寝所の横穴から洞窟入り口を経て外に出ると朝の明るさだった。人間、規則正しい生活をしていると同じ時間に起きるものだ。顔を洗おうと白の洞窟との分岐部へ向かうと、なにか足音のようなものが聞こえた。人がいるかも!と思い救われた気持ちで急いで飛び出そうとしたが、自分が毒を盛られたかもしれないということを思い出し踏みとどまった。岩陰から音を殺して気配のする方へ向かうと、何人かが焚き火の後を調べていた。どう見ても人間に見えるし、まず人間と思うのだが、異様に体格がいい。肌寒く感じられるような気候だがかなりの薄着で、肌は顔も体もタトゥーのような紋様で覆われている。皆が同じものではないようだ。そして、最悪で絶望的なことに、話している言葉が()()わからないのだ。なんとなくの言語イメージってあると思うが、アジアっぽいとかそういうことすらわからなかった。

 棘のない対応に徹していた俺からすると、コミュニケーションを取れないということは自分を説明できないということだ。つまり今の段階では敵対する可能性が非常に高く、俺が出ていくことは悪手と考えられた。考えてみてほしい。山の中で服装も雰囲気も違う人間が一人で現れ、会話ができない。そのような者を丁重に扱う理由がどこにあるのか。よく眠れたのか我ながら冷静な頭で助かった。

 隠れながら見ていると彼らは昨日俺が使った焚き火跡について調べたあと、森の方へ意識を傾け、大声で何かを叫んでいた。そして1人が叫びながら走り出し、あとの3人もその後をついてすごい勢いでどこかへ去って行った。

 声が遠くなって聞こえなくなり、しばらく息を潜めたあと俺は恐る恐る洞窟の外へ出た。彼らは何者だったのだろうか。ひとまず川で顔を洗い口をゆすいですっきりした。昨日はそのまま寝入ったため頭も流していると耳元で声がした。

「お主は何者だ。」

「お世話になっております私X社のカミモトタケルと申します!」

 脊髄反射で答えた、というか背筋が勝手に伸びて答えてしまった。その声はそれほどに自然で、威厳を感じさせた。

 驚いて顔を上げると、なんというか、世界観が違う感じタッチと言えばいいのか、短めの角が1本生えたもふもふクリクリの犬…?のような生物が険しい顔をしてこちらを見ていた。全身は灰色の短毛で覆われ、首周りには青い長毛が巻いており、境界が黒くぼやけて見える。これはもしかして…

「狛犬…?」

「然り。我を知っておったか。」

「知ってるも何も…見たまんま…」

 話しているうちに険しかった顔は優しくなり、オーラのようなものも消えた。心を許してくれたのだろうか。

「声をかけても皆攻撃してくるため難儀していたのだ。」

「それは多分、日本語が通じていないのかと。さっき逃げていった人達は知らない言葉を話していました。」

「なるほど…それで槍を投げられ逃げられていたのか。敵ではない!と叫び続けていたのだが。」

「…知らない言葉で叫ばれると襲われていると考えちゃうでしょうね。」

「…彼らには申し訳ないことをしたな。しかし(ぬし)は我になぜ敬語なのだ?」

「いやなんとなく神様みたいなもんですし、絶対年上ですし。」

「我は神ではなく神の地の守護者である。そして、なぜか今は(ぬし)の守護者となったようだ。されば(ぬし)は我に命令こそすれ敬語は不要よ。」

「ええ…慣れないなぁ。でもそんな変な顔するなら敬語は使わないでおくよ。しかし、いつからなんで俺の守護者に?」

「我がいつから神の地を離れここに居るかは定かでないのだが、主の守護者となったのはさっき話している時に実感した。」

「さっき!?…ホントによくわからないなぁ…。そういえばここになにが書いてあるかわかる?」

 俺は手帳のプロフィール欄を見せた。

「いや…見たことあるような気がするが我には読めぬなぁ…」

 狛犬はしょんぼりしている。

「しかし読めるかもしれぬ者を知っている。我の相方を探そうぞ。」

 狛犬が仲間になった!

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