20.沿海の決戦 その後①
柔らかな感触と明るい日差しが心地よい。これならいつまででも眠れそうだ。
…はっ。
「どうなった!!」
起き上がると仲間たちは砂浜で日光浴をしていた。と言ってもコマ、レオ、コトシロのみだ。
「タケルよ、目が覚めたか。」
コトシロが声をかけてくる。無事でよかった。
「ミュイとガトウは念のため村で治療をお願いしたぞ。山の精もそっちについている。」
レオも少し気が抜けているようだ。二人を運んでくれたのだろう。
…てことはこの柔らかかった感触は…?
「はーいっ!河童のモモちゃんだよ!!助けてくれてありがとう!」
………はい?
ちょっと世界観が追い付かない。この世界はもっとなんというかシビアな感じかと思ってるんだが。なんかコマとかとは違う感じでタッチが違う。落書きみたいと言えばいいのか、明らかに浮いている。
「河童って…海にいるっけ?」
「モモちゃんは海にも川にもいけるよっ!」
「ええ…この世界の河童はそんな色なんだ…」
「モモちゃんは桃色だから特別!桃色だからモモちゃん!!」
頭が痛くなってきたから考えるのをやめよう。というか河童ってペンギン的な肌触りなのね…。
「モモちゃんはタケルに救われたからまたタケルのことも助けるねっ!いい寝顔だったよっ!みんな話したいから船においで!」
言われるがままに砂浜の船に乗った。ほかの三人も促されて黙々と従っている。もしかしてみんなちょっと苦手というか逆らえない何かを感じているのか。
船に乗ると見上げるほどの大きな龍が現れた。
「此度の働き、誠に感謝する。わが眷属達もいくつか解放された。それに伴い当方の力も完全にとは言わないがかなり戻った。」
まさかの沿海の精だった。本当にしっかり龍だった!ごめんなアナコンダとか思ってて。
「実は黒い影に襲撃されいち早く取り込まれていたこの宝亀が、拉致されてくる眷属達を自分の体内で保存していたらしく、影から解放されたとともにかくまっていた仲間も放出したようだ。」
それでいろいろな海の物の怪たちが同時に現れたのか。
宝亀は大きな体に黄金の輝き、名前に負けない立派な姿だ。顔は優しそうで…ん?こちらを見ている。
「何か言いたそうにしているか?」
「ふむ。あの黒い影から出てきた者を体内に封印しているらしい。そなたが望むようにすると。」
あの一瞬でそんなことをしていたのか。立派な奴だ。
「会話はできるはずだが…?」
コトシロの権能は働いているはずだ。
「恥ずかしいらしい。」
なんと。その荘厳な姿でそのギャップ…海の眷属達は面白い奴が多いな。
さて、脇道はこのあたりにして影の主と対面するか。
俺は宝亀に彼の者を開放するように伝えた。




