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転生してもホラーにビビりまくるとは!?  作者: 半田捨句
プロローグ ~旅立ち~
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3.洞窟探検

 色々な葉や木を燃やしていると、生(?)でもよく燃え、火の消えにくい木を見つけた。可燃性の物質を分泌するタイプだろうか。つまりこの枝は光源となる。ということで、俺は洞窟に向かうことにした。正直滅茶苦茶怖いが、雨風を凌げる拠点とできる可能性のあるところは早めに確認しておきたかった。この気温で雨でも降ろうものなら凍死してしまうし、貴重な火種も失ってしまう。

 洞窟は岩が削れたような雰囲気で奥へ向かって川が流れてている。入り口を超えると鍾乳洞のような見た目に変わり、壁はやや白っぽく地面は濡れており、天井から水もしたたっている。ここで生活するのは難しそうだ。失望して入り口に戻る途中で岩の隙間の穴を見つけた。入り口から進む分にはまず見つからず、たまたま自分の影に驚いて退避し踏み抜いた箇所から奥に広がっていた。鍾乳洞のような白の洞窟は水場が続いているため、もう片方の黒い洞窟の方へ進むことにした。

 まず火のついた木片を投げ入れ、可燃性ガスや二酸化炭素の溜まりがないことを確認した。本当はカナリアがいたらいいらしい。昔に炭鉱を掘る際、毒ガスに敏感なカナリアを先行させて弱ったら引き返すようにしていたそうだ。今はそんな贅沢を言ってられないのだが、そういえば鳥の鳴き声は森でも聞こえなかったような。そして洞窟といえばコウモリとかいないのだろうか。川に魚もいなかったし、生き物の気配がしないのはなんとも不気味だ。この世界で生き物は俺だけとか…ないよな?

 そんな不安を抱えながら洞窟内を進んでいく。やはり洞窟内の方が暖かい。洞窟を拠点とするメリットは雨風を凌げることと、内部の温度が一定に保たれていることだ。しばらく進んでみたが奥は延々と広がっており、えらく静かだ。恐る恐る歩いていくとものすごく不気味な形をした岩が鎮座していた。どう見ても人の形ではないのに人のように見え、そう捉えてしまうと顔もついてるように感じてしまう。怖い怖い怖い怖い…もう無理だ引き返そう。

 黒の洞窟の入口まで叫びながら走り、反響する叫び声に驚きスリッパは脱げて転倒し、火が消えなかったことに安堵した。白の洞窟から分かれた入り口付近は横穴が広がっており、ちょうど何人か入れるほどのスペースがあった。そこに焚き火をうつしてひとまずの拠点とすることにした。

 横になり休むといろいろな考えが頭を巡り始めた。ここはどういう世界なんだろうか。普通転生ならなにかのスキルが付与されるとか、赤ちゃんから始まるとか、そもそも神様的な存在から説明があるだろう。身体はどう見てももとの自分の体だ。ということはもしかすると転生ではなく眠らされて連れてこられただけなんだろうか。実は荒野で目覚めてすぐに神よ!、メニューオープン!、スキル!、ファイヤー!、〇メ〇メ波ァ!!、波〇拳!!、、、、など思いつく限りなにか起こりそうな言葉を叫んだり色んなポーズを取ってみたりしたがなにも起こらなかった。走っても転ぶし、転ぶと痛いし、普通に疲れる。持ち物のレシートも、小銭も、タバコを再度確認…まあとりあえず一服するか。ライターもタバコも勿体なくて吸っていなかったが、こういう時こそ落ち着かなければらない。タバコはいつもの味がして、まだ一日も離れていない日常が恋しくなった。日記を書く習慣はないが、手帳に日付を付けておこうと開いた時、なにか違和感があった。白マジックで書いた自分の名前は変わっていない(ということは俺そのものの存在が変わったということではない…だろう)し、走り書きのメモもそのままだ。が、順番にめくっていくと最後のプロフィール欄が読めなくなっている。もともと俺はプロフィール欄になにも書かず、誰が見ても分かるよう黒い手帳の外側に名前を書くだけにしている。そのページがよく分からない文字で埋め尽くされている。怖い怖い。なんだこれは。寝ぼけて書くには緻密すぎるし、アルファベット、ギリシャ文字、キリル文字、タイ文字、アラビア文字、ヒエログリフなど思いつく文字のどれとも違い…いや、実印とかで使う篆書体には少し似ているかもしれない…が、いずれにせよ全く読めない。まあ、ギリシャ文字だ!となっても読めないんだけどね。

 でもこの感じは、やはり死んで異世界転生という筋が強いかもしれない。せっかくなら高身長美形で万能スキルにしてくれればよかったのに。美少女とまで望まないがせめて案内人を、というか話し相手が欲しい。一人は不安だし、怖いし、ネガティブになってしまう。

 そんな事を考えながら、疲れた体は次第に眠りに落ちていくのだった。

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