14.沿海の決戦②
幸い影は結界を超えられないようだった。少し大きくなったように見えるが…違和感が強い。
「みんな…しばらく動けないからしっかり警戒しておいてくれ。何が起こるかわからないから攻撃はするな。わかったことがあったら教えてくれ。」
「タケル!どこかけがをしたか!!」
「そんなものだ!じきに動けるようになるから少し待ってくれ!」
とりあえず腰が抜けている間にいろいろなことを整理しよう。コマの言葉に含まれた嫌な情報は2つ。1つはあの影たちはコマの優秀な索敵にかからないこと、もう1つはガトウとミュイの気配が今海の遠くへあるということ。いつの間に海へ?考えられるとすればワープしたのか、すごい勢いで海の方へ飛ばされたか。いや、海というと引き込まれた想像のほうがしやすいな。
「コマ、気配があるということは生きているということか?」
「死んでいるとその気配は感じられないはずだ。だから2人が生きているのは間違いない。」
俺はひとまずほっとした。
「ガトウは夜になる前から他の何かと入れ替わっていたという説はないか?」
「私が一緒に釣りをしていた際には間違いなくガトウだったはずだ。」
「オレも変な感じはしなかったぞ。もちろんミュイもな。」
コトシロ、レオも今さっきまでの二人は本物だっただろうと太鼓判を押した。ということは、やはり今さっき魔法のように二人が消えてしまったということか。…この世界に魔法ってあるのだろうか。聞いてみたいところだが聞く相手がいない。…いや?もう一人規格外のやつがいたような。
「山の精っ!!!」
「………………」
山の精を呼んでみたが返事はない。どこで何をしているのだろうか。まさか影にやられたりしていないよな?よく考えたらあいつはあんまり何も教えてくれていないな。もう少し何か聞いておけばよかった。
「よし、そっちへ戻るぞ。」
色々と考えてきたらようやく立てるようになった。その間も影は動いていない。やはり攻撃してくるそぶりもない、ということはカウンタータイプなんだろうか。そういえば沿海の精が「攻撃したものは体調を崩す、攻撃していないものも消える」と言っていた。今回は攻撃した者たちは体調を崩しているわけではない。遅延性のものだろうか?…いや、攻撃したミュイも消えている。ということはその前提も間違っているのだろうか。
わからないことが多すぎる。
一応結界を張ったまま移動し、三人のもとに戻ってきた。
「主よ…山の精も沿海の精も海にいるようだ。」
コマがまた訳の分からないことを言っている。これ以上混乱させないでほしい。
「どういうことだ…?」
俺はコマと顔を見合わせた。コマもやや困惑した表情をしている。眷属となったコトシロ、コマ、レオは暗闇の中でもはっきりと浮かんで見えている。
「何やらその二つの気配はガトウ、ミュイと共にあるようだ。すべて同じあたりに感じる。」
でもつまり、全員無事ということか。それはそれで安心した。
「主様!!」「タケル!!影が!!」
影を見やると、影は3つに増えていた。




