7.山の民⑥
豪勢な食事が準備されていた。肉、魚、野草、芋のようなものもある。大男たちはすごい勢いで食べ進めていた。我々もご相伴に預かったが、どれも美味しく、久々にいろいろな種類の料理を楽しんだ。大男たちの食欲が少し落ち着いたころ、ミュイとリィダ、もう一人すらっとした男が飛び込んできた。
「村長!タケルのいう通りだった!みんな連れて帰ってきたよ!」
「なんと!すぐに行く!!」
ミュイが報告するとダリクとラトゥ、他の男たちも飛び出していった。
後について外に出ると、100人ほどの大人たちと多くの荷物があり、皆が抱き合っていた。すまなかった、すまなかった、とダリクは泣きながら繰り返し謝り、相手は無事だったからよかった、村長はきちんと判断したのだ、とこちらも泣きながら喜んでいる。皆かなりやつれているようだ。見ていて俺もぐっとくるものがあったが、レオとコトシロはしっかりもらい泣きをしている。レオはまだしも、コトシロもこういうのに弱いのか、意外だった。
一通り再会の挨拶を終えた後、ダリクが皆で飯を!と叫んだ。人々が家の中から出てきて、広く開けたところに集まっていった。到着した大人たちが持ってきた魚、木の実、多種の野菜なども調理され、汁物や炒め物、麺類のようなものなど先ほどに増して多数の料理が作られては消え、作られては消えていった。料理が尽きてきてその場所で眠るものが出てきたころ、こちらにミュイと、二人の大人が向かってきた。
「タケル!朝からミュイ、リィダ、その夫で一番に目覚めたシノウで遠征隊を探しに行ったんだ。そしたらすでに二つの隊は合流していて、持っていた食料を全部持って戻ってきたの!こちらが今回の「清き流れの山」隊のラコウ隊長、「豊穣の山」隊のノシャ隊長だよ!お話ししたいでしょ!」
おせっかいだがいい仕事をする。二人は俺達の正面に座り話し始めた。ラコウは体格のいい若者で、ノシャは髪の長い女性だ。
「あなたが恩人のタケル様ご一行ですね。僕はラコウ、「清き流れの山」へ遠征していた隊の隊長です。言葉が通じずここに入れなくなってから一度「豊穣の山」に寄ってやはり言葉が通じないことを確認し、「清き流れの山」の拠点に戻り生活していました。我々の隊の中で言葉の混乱はありませんでした。ひと月ほど前に異変が起こったのです。山から突然生き物がいなくなり、種類豊富だった植物も何種類かを残して消えてしまいました。これでは生活ができないため、「豊穣の山」方向の隣山へ狩猟採集するようになりました。途中から拠点も移してしまい、粛々と生活しながら、隣にいるノシャ隊の動向も逐一チェックしていました。」
「私はノシャ、「豊穣の山」隊の隊長です。概はラコウ隊と同じような経過ですが、「豊穣の山」では異変が起こらず、作物を収穫し狩猟採集を行いながら遠征の延長のような暮らしをしていました。そうすると昨日の夜に突然ラコウ隊の隊員がこちらに接触してきたのです。通じなかった言葉が通じる!と判明して今朝ラコウ隊と合流したところにミュイ達が現れ、その足でここまで帰ってきたのです。」
二人はわかりやすく話してくれた。
「ラコウ、君の隊は洞窟の前で焚き火跡を見つけなかったか?俺が残してしまったものなんだが。」
「ありました!僕の部下が見回り中に見つけていたのですが、そのころ黒い獣に追い回されていたのもあってすぐに撤退したんです。タケルさんの痕跡だったんですね。実はずっと引っかかっていたのでほっとしました。」
これでほとんどの住民の動きがわかった。さらに情報収集を進めよう。




