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転生してもホラーにビビりまくるとは!?  作者: 半田捨句
第一章 落星盆地の安寧
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5.山の民④

 水平線の上に星々が瞬いている。うとうとと眠りそうになっていた時、ぐぅ、とお腹の音がした。もちろん腹が減るのはこの中では俺だけだ。保存食でも食べようと収納から干し肉を出そうとしたところで、門番の二人がこちらをじっと見張っているのに気が付いた。…この状況ではあまり怪しい動きをしない方がよさそうだ。

 門番のうち一人がこちらに近づいてきた。比較的小柄だが短髪で手足が長く、顔の模様も相まって猫を思い起させる。先ほど最も鋭い殺気を放っていた女性だ。レオの髪がふわりと膨らみ戦闘態勢をとる。彼女は俺に向かい声をかけた。

「先ほどはありがとう、タケルだったか。自分は先の村長ダリクの娘、ミュイ。苦しむ父の姿を見て介錯するつもりだったところにお前たちが現れた。お前たちのせいだと聞き全員殺そうと考えていたが、結果父を助けてくれた。我等の取り決めで尊属殺は最も重い罪だ。つまりお前たちのおかげで父も自分も救われたのだ。」

 ミュイといった彼女からは非難するような感情は見受けられない。レオは戦闘態勢を解いた。

「腹が減っただろう…これを食べろ。特製の香りをつけた肉の燻製だ。量は持ってこれなかったから少しずつにはなるが分けて食べてくれ。ラトゥには内緒だが、そこにいるリィダとは話をつけている。あそこにはリィダの夫もいて同じようにお前たちに感謝している。投獄まではしなくても…と思ったが、建前上仕方ないことなんだ、許してくれ。ラトゥも我々をつけたということは、案外脱獄してもいいと思っているのかもな。」

 よく喋る子だ。ずっと話したかったのかもしれない。肉を一切れずつ分け合って、まずはレオがほおばった。何も言わないが毒は入っていないのだろう、目を輝かせて食べている。食べる前からすでにいい匂いがしている。これは…絶対にあれだ、と確信し俺もかじってみると、やはりカレー風味だ!噛めば噛むほど旨味がどんどん出てくる。これはすごい…

「美味いだろ。リィダと父から草の知識を叩き込まれてミュイが一番詳しいんだ。ある植物の種を砕くと独特の風味が出て、肉をなんでもおいしくしてくれるのだ。それにいろいろと混ぜ込んだ特製の粉を揉みこんだ肉を燻製にすると極上の旨味が出てくるのだ。」

 ミュイは得意げに話していて、いつの間にか一人称もミュイになっている。…これが地の姿で、頼れるものが少なくなりかなり無理していたのだろう。しかし、つまりはカレー粉を自前で一から作っているのだから大したものだ。事実としてめちゃくちゃ旨いし、珍しくコマがもっと食べたそうな顔をしている。かなり気に入ったようだ。

「この世界にきて一番うまい…また作ってくれ。」

 素直に褒めれると思っていなかったのか、ミュイは顔を赤くして、寝ろよな、と声をかけ元の位置に戻っていった。

 俺は少し腹が膨れ、しばらくするとより強い眠気が出てそのまま眠りについた。


 -----------


 「お前たち!!早く出ろ!!目が覚めはじめているぞ!!」

 テンションの高い女性の声で覚醒した。

 「早く早く!兄たちに会ってくれ!」

 声の主はラトゥだ。すごい勢いで牢から出された。門番の二人、ミュイとリィダの姿はない。俺達は最初に訪れた家へと引っ張られていった。

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