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ヤンでれ…  作者: XXXX
6/32

震・ヤンでれ…夕食…

「ここか」


 辿り着いた凛の家は、将の家の前に建っているマンション


「…ってうちの前かよ!」


「うん」


 眩しい笑みを放ちながら返事をする凛とは反対に、静香は心底嫌そうな顔をしながら、


「最悪…」

 

 と呟いていた。


「それはこちらの台詞です」


「ふん」


 こ、こいつらめんどくせぇ


「ん?」


 なんとか二人が仲良くする方法がないか考えていると、凛が制服の端をちょいちょいと引っ張ってきた


「あの、将君にお願いがあるんだけど」


「なんだ?」


 凛は少し脅えながらゆっくりと言った。


「今日夕飯食べにいっていい?」


「ダメにきまってるじゃない」


 俺じゃあないぞ


「あなたには聞いてないわ」


「まぁまぁ、別に飯くらいいいじゃないか」


 なんとかまた戦闘になることだけは避けるため、落ち着かせる。


「む……お兄様がそういうなら」


 そういいながら渋々引き下がる静香。


「じゃあとりあえず家入ろうか」


 そう言って3人で家のチャイムを鳴らした。







 現在家のリビングです。簡単に説明すると、今リビングではとても悪い空気が充満していた。


 ――おかしいぞ、俺の計画では、


『ただいま、千鶴さん』


『お帰りなさい将くん、あら? そちらはお友達?』


 奥からエプロン姿の千鶴さんが出迎えてくれた。


『うん、幼馴染なんだ』


『あらそうなの? 良かったら夕飯食べていって~』


 ――のはずだったのに…


「ただいま、千鶴さん」


「お帰りなさい将くん、あら? そちら生ゴミ?」


 奥からエプロン姿の千鶴さんが出迎えてくれた。


「っていや違うよ! 幼馴染ですよ!!」


「そうなの? まぁ何でもいいけど早く帰ってくださいね」


「どうしたんですか千鶴さん!?」


 いきなりなにそのボディーブローばりの台詞!? 


 そんな身もふたもないことを言う千鶴さんを何とか説得し、一緒に夕飯を食べることになったのだが、


「……」


 無言の食事が続いております、正直味がわかりません。


「お?」


 そんなとき、こんな状況でも一心不乱にオムライスを食べている弟の顔に、ケチャップがついているのを発見する。


「実、ケチャップついてるぞ」


 そう言って頬についていたケチャップを掬い、自分の口に運ぶ。


「ありがとう! お兄ちゃん!」


「ああ」


 笑顔で返事をする実にほっこりする。


 むむ、やはりケチャップは少ししょっぱいような、


 パキンッ


 金属音?


 突然の金属音に、その音の方向を見ると、にっこり笑った表情の3人が、スプーンを握り折りながらこちらを見ていた。


「え~と……ああ! 新しいスプーンとって来るな!」


 はい、すいません逃げました。


 結局その空気に耐え切れなくなった将は、その場を立ち上がりそそくさと離れていった。


「っていうかスプーン折るって…俺の周りには普通の奴はいないのかよ。…しかもさりげなく千鶴さんまで」


 とりあえず人数分のスプーンを持ち、リビングに戻ると、さっきまでと違うことに気づいた。


 なんでみんな頬にケチャップついてんだ?


 さっきまで何もついていなかった顔に、赤い点がついている。


「ほい、静香、スプーン」


「ありがとうございますお兄様」


「それと、ケチャップついてるぞ?」


 一応気づいているとは思うが、報告しておく将、しかし静香は、


「どこですか?」


「いやそこに」


「どこですか?」


 何回いっても”どこですか?”のみ。あくまでわからないを通すらしい。


 もしかして取れ、といっているのだろうか?


「ほい」


 ようやくそのことに気づいた将は指で掬うと、ティッシュで指を拭く。


「…ありがとうございます」


 あれ?


 これであっていると思った将は、全員分のスプーンとケチャップ掬いをおこなかったが、三人とも不満があるのか、少し覇気を出しながらもくもくと平らげていく。


 なにか失敗したか?


「あ、実また」


 自分の失敗を考えていると、また実がケチャップをつけている。そのケチャップを取りなめる。


 バキンッ!!


「「「ご馳走様」」」

 

 すごい音をたてて立ち上がる3人、その3人の手元を見て冷や汗が流れるのがわかった。


 スプーンが皿を貫通して机に突き刺さっている。


 怒らせないようにしよう。そう決意をあらためた瞬間でした。

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